2021/12/25

石にてこ入れ

全国宝石卸商協同組合が63年ぶりに「誕生石」を改訂したようなのだ。
もともと米国の宝石商組合が定めたものに、日本らしい珊瑚や翡翠を1958年(昭和33年)に制定したのがはじまりなんだって。
その後、他の団体も独自に導入していったため、宝飾関係の業界全体で統一されておらず、消費者の混乱を招いていたので、全国宝石卸商協同組合が日本ジュエリー協会と山梨県水晶宝飾協同組合の賛同を得て改訂したんだそうだよ。
ちなみに、他の国でも米国版をオリジナルとしつつ、いろいろ足したりしているそうで、世界的に統一されてはいないようなのだ。

現在の誕生石の一覧は次のとおり(【 】が今回追加されたもの)。
1月: ガーネット
2月: アメシスト、【クリソベル・キャッツアイ(猫目石)】
3月: アクアマリン、珊瑚、【ブラッドストーン】、【アイオライト】
4月: ダイヤモンド、【モルガナイト】
5月: エメラルド、翡翠
6月: 真珠、ムーンストーン、【アレキサンドライト】
7月: ルビー、【スフェーン】
8月: ペリドット、サードニクス、【スピネル】
9月: サファイア、【クンツァイト】
10月: オパール、トルマリン
11月: トパーズ、シトリン
12月: トルコ石、ラピス・ラズリ、【ジルコン】、【タンザナイト】

今回追加されたものにはいくつか類型があって、アレキサンドライトやスピネル、タンザナイト、ジルコンなどは米国で採用されているものの追認。
日本独自に追加したのは、猫目石、生尾ライト、モルガナイト、スフェーン、クンツァイトの5つ。
なんとk、2月の猫目石は、2月22日が9「猫の日」だからだって!
残りのブラッドストーンは、公式発表資料に「歴史的背景も考慮し」とあるんだけど、これがよくわからないんだよなぁ・・・。

ボクが断然注目しているのは8月。
だって、8月生まれだから。
これまではペリドットとかサードニクスとか、いまいち地味だったんだよね。
しかも、お値段もかなりリーズナブルな部類。
そこに「スピネル」が入ってきたのだ。
あまりなじみのない名前の宝石だけど、わりと高級なものなんだって。

化学組成は MgAl2O4で、ここに微量のクロムが混ざると赤く発色するのだ。
少ないとピンク、多いと真っ赤。
特に赤くて透明度の高いものが高級で「レッド・スピネル」と呼ばれるのだ。
ミャンマー産が多いらしいよ。
で、このレッド・スピネルは長らくルビーと混同されていて、英国王室の戴冠式に使われる「黒太子のルビー」は実はレッド・スピネルで、あそこまで大きくて発色がよいものはめちゃくちゃお高いよ。
(小さなものは「ルビーの偽物」的な見方をされて、希少な宝石なんだけど価格があまりあがらなかった歴史的経緯があるようだけど。)
これはエドワード黒太子が入手した宝石なのでその名前があるんだけど、赤くてきれいな宝石なのでルビーとされてきたのだ。
後世になってスピネルであることがわかったんだって。
それでも、世間一般では「スピネル」という宝石名称はまだまだ一般的でないし、すでに有名になってしまっているので名前は変わらないみたい。

ルビーと混同されるのだけど、ルビーはコランダムと呼ばれる酸化アルミニウム(Al2O3)の結晶のうち、微量にクロムを吹くんで赤を呈色しているもの。
スピネルではアルミニウムだけでなくてマグネシウムも混ざっているんだよね。
で、ルビーのモース硬度は9.0だけど、マグネシウムが入っている分スピネルは少し柔らかくて、モース硬度は7.5~8.0なのだ。
それだけ傷つきやすいので扱いは注意しなきゃいけないんだよね。

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