2022/05/28

追加料金いただきます

世界的にもコロナは「おさまってきた」という認識で、徐々に海外渡航が自由にできるようになってきたよね。
日本はまだ厳しいけど、国によってはPCR検査や隔離措置を求めないところも出てきて、夏休みに海外に行きたい、と考える人も増えているそうなのだ。
人気なのはハワイやタイだって。
ワクチン接種が証明できればかなり自由に入国できるから。
でもでも、実は航空チケットを抑えるなら今月中にしないとまずいみたい。
というのも、来月から燃油サーチャージで一気に航空料金が上がるから。
2~3割増しくらいになるみたいだよ!

この制度は、もともとはオイル・ショックに端を発する原油価格高騰に対応するため、海運の分野で導入されたのだ。
あらかじめ輸送料金を設定して契約しているわけだけど、その後燃料代が高騰してしまうと下手すれば赤字にもなりかねないので、そういう燃料価格の変動に柔軟に対応できるよう、一定基準を超える価格変動があった場合は運送料金にその差額を反映できるようにしたのだ。
日本で航空分野にこれが導入されるのは21世紀になってから。
航空機燃料であるケロシン(石油系燃料)型ジェット燃料の市場スポット価格が一定額以上の場合、差額が上乗せになるのだ。
今回は、ロシアのウクライナ侵攻に伴う原油価格の高騰のあおりでこの市場価格が高騰していて、その調整が6月から適用されるので、今月中に発見しないと、ということらしい。
ちなみに、原油価格が基準価格以下になれば「上乗せ」はなくなるわけだけど、制度導入後、ごくごく短期間なくなった期間はあるものの、ほぼほぼ常に「上乗せ」分はあるようなのだ。
そういうのって基準額を見直した方がいいんじゃないの?、とも思うけど、航空料金の場合、基準価格を下回ってもマイナスの調整は行われないようなので、低めに設定しておいてもらった方がいいみたいだ。

これと同じような制度が電気料金にもあるんだよね。
それが「燃料費調整制度」。
もともと電気事業は地域独占が認められた公益事業で、厳しい料金規制が行われていたのだ。
電気料機を値上げしようと思うと国(資源エネルギー庁)に新料金案を申請して認可してもらわないといけなかったんだよね。
でも、火力発電の燃料である原油価格はけっこう変動するので、その価格変動に合わせていちいち国の認可を取らないと電気料金に反映できないのでは困るわけ。
燃料価格が上がれば電力会社のリスクになるし、燃料価格が下がれば顧客である需要家にとっては損している形に。
そこで、燃料価格に一定基準を設けて、その歯煮を超える価格変動があった場合は自動的に電気料金に反映できる仕組みを入れたんだよね。
それが燃料費調整制度。

これが電力全面自由化後も大手電力の料金体系には残っているのだ。
電力会社だけでなく、新電力と言われる新規参入事業者でも、インフラ系企業が電力分野に進出したガス系の新電力の場合は同じような制度があるよ。
そもそもガス料金でもそのむかしは規制料金で、同じような天然ガスの市場価格に連動させて自動的にガス料金を調整する仕組みがあったからだと思うけど。
なので、こういう事業者から電気を買っている場合、電気の使用量が減っても電気料金が上がることがあるのだ。
っていうか、現在はまさにそういう状態。
でも、実はこれはまだましな方なんだよね。

最近問題になってきているのは、格安の新電力と契約していたら電気料金が一気に跳ね上がったという話。
ここで問題になっているのは「市場連動型プラン」と言われる契約なんだよね。
電力の部分自由化が開始されてから、新規参入者を増やすため、自前で発電所を持っていなくても市場から調達できるよう、卸電力取引所が整備されたのだ。
で、このプランというのは、その卸電力取引所でのスポット価格に連動させて従量料金が変動するというもの。
電気が余っている状態、つまり、供給過剰の場合は、市場価格は下がるので、格安の電気料金となるのだ。
一方で、需給が逼迫すると市場価格は高騰するので、電気料金は上がるわけだよね。

現在の状況で言うと、原子力発電の再稼働が送れているので、日本全体で供給力が下がっていて慢性的な需給逼迫状態だったんだよね。
それに加えて、ロシアのウクライナ侵攻によって原油価格が高騰したため、さらに市場価格が押し上げられたのだ。
この市場には基本的に「余っている」(=自家消費を超える余剰分の)電気が売りに出るわけだけど、原子力が止まっている今、そのほとんどは火力発電の電気。
原油価格の高騰はこの市場価格にダイレクトにきいてくるのだ。

つまり、この「市場連動型プラン」を選んでいた場合、需給逼迫と原油価格高騰のダブルパンチで電気料金が跳ね上がったわけ。
報道では2~3倍になった例もあるとかいうよね。
さすがにそのまま請求できないと言うことで暫定的にもう少し小規模の値上げだけですませた事業者が多いみたいだけど、それって単純に事業者側でリスクを取っているだけなので長続きするものではないのだ。
このため、新規契約停止とか、電気事業からの撤退みたいなことになっているんだよね。
で、撤退されてしまうと、新たな事業者と契約しなくちゃいけないわけだけど、多くの事業者は新規契約停止になっているので、「詰んだ」ということになっているのだ。
原子力の再稼働でなくてもいいんだけどm早く供給余力を大幅に上げないとこの状況は回復しないんだよなぁ。
でも、いわゆる再生可能エネルギーと言われているやつは発電容量も小さいし、発電量も安定しないから、あまりよい選択肢ではないんだよね。

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