2023/03/25

Everyone has a beautiful name!

 フジテレビの社会部記者の女性で、「中澤しーしー」さんという人がいるのだ。
レポーターとして現場取材をすることもあって、それでニュースに出てくるとそのたびに話題になるんだよね。
名前のインパクトから。
で、ここで気になったのは、名前に使ってもじって確か法令で決まっているけど、長音符「ー」っていいんだっけ?、ってこと。
この「しーしー」さんは本名だそうなので、使えるということなんだろうけど、気になったので調べてみたのだ。

今はきらきらネームの関係で人名用漢字がよく話題になるけど、そのおおもとは戸籍法。
戸籍法では、戸籍の記載に使ってよい字に関する規定があって、第50条第1項で「子の名には、常用平易な文字を用いなければならない。」とした上で、続く第2項で「常用平易な文字の範囲は、法務省令でこれを定める。」ろしているのだ。
これを受けているのが戸籍法施行規則で、第60条で3つの類型を示しているのだ。
それは、
①常用漢字表(平成二十二年内閣告示第二号)に掲げる漢字(括弧書きが添えられているものについては、括弧の外のものに限る。)
②別表第二に掲げる漢字
③片仮名又は平仮名(変体仮名を除く。)
というもの。

常用漢字は文化庁がちょいちょい更新しているけど、よく使う感じを定めていて、新聞では常用漢字表にない字や読みの場合は仮名書きにする、みたいなルールがあるんだよね。
学校で習う漢字も基本は常用漢字表にあるもの。
もっとも身近な漢字のカテゴリーだよね。
でも、歴史的な経緯もあって、常用漢字表だけでは足りないのだ。
その集まりが②の別表第二。
よく見る字だと、「乃」、「也」、「之」、「弘」、「杏」みたいなやつ。
有名な話だと、しょこたんこと「中川翔子」さんの本名は「中川しようこ」なんだけど、もともと「薔子」と名付けようとしたら、「薔」の字が人名に使えないと言われ、「しょうこ」と書いたつもりが「よ」が大きく書かれすぎていて「しようこ」で処理された、ということらしいのだ。

ひらがな、カタカナも簡単ではなくて、ワ行の「ゐ/ヰ」、「ゑ/ヱ」、「を/ヲ」は使っていいよ、と明示的に通達で示しているんだよね。
明治期に仮名を一音一文字に定めて変体仮名を使わないようにしたので多少混乱がある、ということだと思うのだ。
で、その同じ通達で、どう考えても上の法令では読めないような気がするんだけど、4つの記号は使ってもいいよ、となっているんだ。
それが、長音「ー」、畳音「ゝ(ひらがな)/ヽ(カタカナ)」とその濁音の「ゞ・ヾ」、踊り字「々」だよ。
なので、最初の例の「しーしー」さんは人名に使っていい字だけを使っているのだ。
仮に「ー」が使えないと、ヾ読みにしようとすると「しいしい」みたいになるわけだよね・・・。
ちなみに、これらの記号は、限定的な使い方に限り認められる、という整理になっていて、長音の場合は前の音を引き延ばす場合、畳音の場合は前と同じ仮名を繰り返す場合、踊り字の場合は前の漢字を繰り返す場合だよ。
「金子みすゞ」みたいな例は最近はないけど、「奈々」みたいなのはたくさんあるよね。
正直、長音はあまり見ないけど、これからはフジテレビの「しーしー」さんがその代表例になるのだ(笑)

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