2023/04/15

黄色い風

 黄砂の季節になったのだ。
天気予報ではかなり詳しく到達予測をしているよね。
ま、来るのは防げないから、対策をするしかないのだけど。
それにしても、はるか中国の内陸部から砂が飛んでくるというのはすごいことだよね。
それがひどい場合には大気もけぶるんだから。

黄砂は、東アジア中央部、主に中国の砂漠地域の砂が風に巻き上げられ、偏西風ジェット気流に乗って東に飛来していくもの。
重い砂粒から落ちていくこともあり、日本海を越えて日本列島まで来るのはかなり小さな砂粒。
花粉の数分の1の大きさだそうなので、目の粗いマスクでは防げないのだ。
砂粒自体はただの砂なんだけど、これが飛んでくる間に大気中の汚染物質などを付着させてくるらしく、健康被害にもつながると言われているのだ。
空気がきれいな頃ならそういう弊害はなかったんだろうけど、今は中国も工業化が進んでいるからなぁ・・・。

年中飛んできてもよさそうなものだけど、偏西風の強さには季節変動があって、半年間隔で強弱があるしいのだ。
夏至と冬至の頃がピークですっごい強風。
逆に言うと、春分や秋分のあたりは弱くなっているんだよね。
どうも、この弱い時期に砂が巻き上げられ、はるか上空の偏西風に乗ってしまうようだよ。
タクラマカン砂漠なんかは高い山々に囲まれた盆地的な砂漠で、そこに秒速10m以上の風が吹くと、数km上空まで砂が巻き上げられるんだって。
それが偏西風に乗るのだ。
偏西風が強すぎるとうまく偏西風に砂が乗らないなんてことがあるんだろうね。
そうすると、秋にも飛んできそうだけど、秋くらいになると東アジア中央部はの内陸地域は相当冷え込んでいて、すでに積雪が始まっているらしく、砂が巻き上がりにくくなっ手いるんだって。
なので、風の条件と砂地の条件が合わさった春に多い、ということみたい。
春の風物詩なんだよね。

かつては、黄砂が来ると環境放射線が上がるというデータが出て、中国による核実験の影響ではないか、と見られていたのだ。
その影響はゼロではないのかもしれないけど、黄砂が環境放射線の数字を上げている主な原因になっているセシウム137を調べてみたところ、どうも核実験由来のものではなく、過去の原子力事故等で上空に舞い上がり、地上に降下したセシウムの残りだったようなのだ。
通常は水分とともに地中に吸収されていくのだけど、降水がほとんどない砂漠地方では表面にうっすらつもったままになっていて、それが風で巻き上げられる、ということみたい。

ここまではネガティブな話ばかりだけど、黄砂が飛来すること自体は悪いことでもないみたい。
例えば、日本海に落ちる砂もあるんだけど、それは海に貴重なミネラル分をもたらす存在であり、日本海における豊富なプランクトンの栄養素になっているみたい。
陸域では、今では有害な微粒子扱いだけど、人間を無視すれば、土壌にミネラル分をもたらす存在として意義があるみたい。
桜島の火山灰も人の生活だけで見ると邪魔なものだけど、周辺の生態系にとっては必ずしもデメリットばかりのものではないのだ。
来るのは拒めないので、そういう広い視点を持って、広く受け止めるしかないね。

0 件のコメント: