2024/03/09

漏れ注意

 いよいよ、日本でも4月から肥満治療薬が一般販売されるのだ。
まさに話題になっているのは、大正製薬が一般用医薬品(OTC)として製造承認を受けたアライ(薬品名はオルリスタット)。
ガスターと同じで、薬剤師がいないと売ってもらえないタイプだよ。
一応適用に条件があって、薬剤師から確認を受けたうえで販売されるようなのだ。
でも、飲むだけで痩せる薬と言われると魅力的だよね。
ところが、そうそううまい話がころがっているわけはないはず・・・。

この薬の作用機序は、腸管での脂肪の吸収阻害。
脂肪の多くはグリセロールに3つの脂肪酸が結合したトリグリセリドの形で摂取されるんだけど、これは膵臓から分泌されるリパーゼ(脂肪分解酵素)によりグリセロールと脂肪酸に加水分解され、それぞれが小腸から吸収されるのだ。
この薬は、そのリパーゼの分解を阻害し、体外から摂取した脂肪の吸収を抑えるというもの。
ということは、そもそも糖質は関係ないので、デンプンなどの糖質については自分で節制しないといけないわけだ。
でも、それだけならまだよいのだけど、この作用はほかにも影響してくるのだ。

ひとつは、ビタミンA(βカロテン)やビタミンD、ビタミンEなどの脂溶性のビタミンの吸収率が下がること。
この薬を服用中は気を付けて多めに摂取しないといけないんだけど、これらの脂溶性ビタミンはもともと過剰摂取の弊害もあるので、その辺のバランスをとることが必要だよ。
まあ、OTCで売られる場合はそこまで有効成分が多いわけじゃないから欠乏症が出るほどではないと思うけど。
なので、これは気にしておけばいいくらいの話。

もう一つの方が、けっこうクリティカル。
それは、便がゆるくなる、ということ。
吸収されない脂肪がそのままにゅるっと出ることになるのだ。
よく、深海魚のアブラソコムツやバラムツを食べると、人間に消化できない脂(ワックス)のせいで無意識で大きい方をもらSぢてしまう、という話を聞くけど、それと似たようなことが起きるらしい。
なので、服用当初は、おむつシートの利用も含めて気を付けた方がいいんだって。
おならだと思ったら、の危険性もぐんと上がるようなのだ!
これは人間の尊厳として危険。

なので、購入時には薬剤師から、あまり脂肪の多いものは食べないように、という注意喚起があるんだって。
でもでも、その脂肪の吸収を抑制して痩せる原理なわけで、脂肪の摂取を抑えられるくらいの人ならこのくすりにそこまで頼らなくてもいいんじゃないのか、という気はするよね(笑)
それに、脂肪を抑えて糖質を増やすとけっきょく太るし。
なので、実は販売の条件で、もともと運動や食事制限など生活習慣改善の取組を行っていること、というのが入っているのだ。
ずぼらな、だらけた生活でも、この薬さえ飲めば、ということではないらしいよ。
ま、「漏れ」さえ気にしなければ、いくらでも脂モノを食べられる、ということかもしれないけど・・・。

ちなみに、1日3回1錠ずつで90カプセル入りが8,800円。
年10万円くらいの負担なのだ。
けっこうそそる値段設定ではあるよね。
購入に向けてのチェックシートや生活習慣記録シートなどを記入したうえで薬剤師に確認を受ける必要があるそうなので、購入したい場合は今から用意しておく必要があるよ。
https://brand.taisho.co.jp/alli/

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