2024/03/02

うるおいを測る

 冬の乾燥に弱いボクとしては、天気予報の湿度情報が非常に大事。
乾燥してくるとすぐに手がカサカサになるんだよね。
指先はざらざらになる。
なので、乾燥しそうな日は、よくよくハンドクリームを塗りこむのだ。
今のお気に入りは馬油入りクリーム。
これがしっとりするんだなぁ。

で、ふと思ったんだけど、デジタルの湿度計ってどうやって計測しているんだ?、ってこと。
小学校高中学校の理科で習ったのは、緩急温度と湿球温度の温度差から湿度を求めるもの。
普通の温度計と、常に水にぬれている状態の温度計の温度差を比べることで、湿度=水の蒸発のしやす=気化熱の奪われやすさがわかるんだよね。
湿球温度の温度が低めに出れば出るほど乾燥しているのだ。
これはわかりやすい。

ちょっと調べてみると、思い当たるのがあった。
それは、髪の毛などの湿度によって伸び縮みするものの長さを測定して湿度を測るもの。
そう、博物館や美術館で展示ケースの中に入っているやつだ!
これは機械式測定器というらしい。
常にぴんと繊維を引っ張っておいて、その引っ張りに要する力で湿度を計測するのだ。
湿度の経時変化を用紙に記録できるのも便利なんだよね。
これもわかりやすいっちゃわかりやすいけど、伸び縮みと湿度の変化を較正(キャリブレーション)するのが大変そうだよね。
ピアノの調律みたいに放っておくとずれてくるんじゃないのかなぁ?

こういうものにたよらないのが、空気の熱伝導率で測る方法。
湿度が高くなる(=空気中の水蒸気量が多くなる)と、熱伝導率が少し下がるんだって。
湿った空気の方が熱を伝えづらいのだ。
熱は赤外線によって伝えられるけど、この赤外線を水分子が吸収してしまうんだよね。
同じように、赤外線よりもう少し波長の長いマイクロ波(電子レンジで使う周波数帯)も吸収されるのだ。
なので、赤外線やマイクロ波の吸収度合い(=空気中でどれだけ減衰するか)を見ると、空気中の水蒸気量がわかるのだ。
人工衛星の中には地球の大気中の水蒸気量を計測しているものもあるんだけど、それはこの方法だよ。


でもでも、さすがにこの方法ではスマホやスマートウォッチで湿度を測れないのだ。
中に髪の毛が入っているわけじゃないし、熱伝導率や赤外線・マイクロ波の減衰も計測するのにそれなりの装置がいるからね。
どうしているかというと、湿度センサというものがあるらしい。
大きく分けると抵抗式と容量式で2種類だって。
これらは素子化できるので、小型電子機器に組み込むことも可能。
やっと計測できる!

抵抗式は、セラミックや高分子の素材で、吸湿・脱湿により抵抗値が変化するものを使う方法。
まわりの水蒸気を吸うと抵抗値が変わるのだけど、ばらつきが大きく精度に欠ける点があるのと、どうしても応答性が悪く、リアルタイム計測できないみたい。
大量に安く作れるんだけどね。
もうひとつの容量式は、吸湿・脱湿により静電容量が変化する高分子膜を使う方法。
こちらは薄い膜なので応答性もよく、静電容量と水蒸気量がきれいに相関しているので、センサとして優秀みたい。
当然、コストは少しお高めとか。

というわけで、デジタルの湿度計はきっとこういうセンサを使っているのだ。
これらセンサだと電気的に計測できるから出力もしやすいしね。
iPhoneの中に温度計が二つ入っているわけではなかった!

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