2024/09/28

やめへんでぇ

 兵庫県知事は不信任決議を受けても辞職はしない、ということを表明したのだ。
でも、議会を解散するわけではなく、期日までに議会を解散せずに自動的に失職したうえで、その後に行われる知事選挙に改めて立候補するんだって。
ん?なんだこれ・・・。
だったら辞職したうえで、いわゆる「出直し選挙」をしたらいいんじゃないの、と思うのだけど、それは違うようなのだ。
さすが元総務官僚。
こういうところのルールには詳しいみたいだよ。

いわゆる「出直し選挙」の場合、当選後の任期が「もともとの任期満了までの残余の期間」となるのだ。
今回の場合、2021年8月1日付で知事に就任しているので、もともとの任期は2025年7月31日まで。
なので、いったん辞職して「出直し選挙」に出て、当選した場合の任期は、この来年7月末までのままなのだ。
そう、「出直し選挙」をしても1年弱しかないわけ。
せっかく選挙をするのにコスパが悪い!

で、失職してからの知事選の場合、当選後の任期は4年きっかりもらえるのだ。
今の見込みだと11月中旬くらいの投開票のようなので、2028年の11月中旬まで知事でいられるわけ。
「出直し選挙」だろうが仕切り直しの知事選だろうが、有権者の受け止めは変わらないだろうから、現職の知事にとっては厳しい選挙であることは必至。
それを勝ち抜いた後に待っている任期の長さが4倍も違うんじゃね。
この選択はそこだけ見ると頭がよいように思う。

このルールの隙間をついたような話は、公職選挙法の規定によるものなんだ。
公職選挙法第259条の2は「地方公共団体の長の任期の起算の特例」を規定していて、「地方公共団体の長の職の退職を申し出た者が当該退職の申立てがあつたことにより告示された地方公共団体の長の選挙において当選人となつたときは、その者の任期については、当該退職の申立て及び当該退職の申立てがあつたことにより告示された選挙がなかつたものとみなして前条の規定を適用する。」となっているのだ。
何が書いてあるのかわかりにくいけど、現職の地方公共団体の主張が辞職して行われる選挙にその現職首長が「出直し選挙」として立候補し、当選した場合は、その任期はもともとの任期のままとする、ということだよ。

首長の辞職はいつでも任意でできるわけで、任期満了の前に他の候補予定者が十分に準備できないうちに「出直し選挙」に持ち込むことが可能なので、その場合は圧倒的に現職が有利なのだ。
それなのに、その当選後に人気がリセットされるとけっきょく現職が居座り続けることにもなりかねな、ということで1962年(昭和37年)の改正で導入された条項なんだそうだ。
なので「条の2」ということなんだけど、公職選挙法(1950年公布)とか地方自治法(1947年公布)は戦後すぐの法律だから、10年くらい運用してすでに悪いことをし始めた不埒な首長がいた、というこなんだな・・・。

ちなみに、現職の知事が辞職又は失職し、改めて選挙で選ばれた場合、地方自治法では不信任決議が可決された場合にしか首長は地方議会を解散できないので、県議会の構成は変わらないまま。
つまり、民意がどうであろうと、首長と議会の対立は続くんだよね・・・。
今の議会は昨年4月の統一地方選で選出されているので、残りの任期は2年半ある。
その間、ずっと知事と議会が対立し続けると・・・。
まだ知事を続けたいなら、本来は議会を解散したうえで自分も辞職して、すべてを民意に問う、というのがいいのかなぁ。

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