イスとりゲームじゃない
今年はサンマが豊漁だそうで。
脂がのっていて大振りのものが安いのだとか。
最近は獲れなくて高いことが多かったから朗報だね。
庶民の味方だったサンマはここのところ高級魚と化していたから。
そこで思いだしたのが、サンマが獲れなくなった時、代わりにサバやイワシは獲れるようになったとか言ってた報道。
同じ青魚だし、似たような海域に棲んでいるし、「イスとりゲーム」にようなもので、ある魚種が増えると相対的に他の魚種が増えられなくなる=減る、という単純な図式を想定したのだ。
でも、そんな単純な話じゃないらしい。
まず、前提としてデータを調べてみたのだ。
水産庁の公表している水産白書の資料編には魚種別の生産量のデータがあるので、それを2015年~2024年の10年間で追うことにしたのだ。
対象魚種は、それぞれトレードオフになっていそうな、サンマ、サバ、イワシ。
それと、あまり直接は関係しなさそうな比較用の魚種としてカツオ。
この4種の生産量の推移を単純に折れ線グラフにするとこんな感じ。
もともとの生産量の絶対量に差があるからよくわからないなぁ。
なんとなく魚種の谷と山がが連動しているようにも見えるし、うまくかみ合っているようにも見えるし。
単純な「イスとりゲーム」なら、サンマ、サバ及びイワシを足し合わせた総量は横ばいくらいで、その中でそれぞれの魚種の増減が組み合わされる、という感じで見えるはず。
そうなっているのか、いないのか?
そこで、もう少し工夫して、基準年の2015年の生産量を100とした場合の生産量の相対量を折れ線グラフにしたのがこちら。
増減は見やすくなった気がする。
イワシが増えて、サンマとサバが減っているのはよくわかる。
カツオがサバと同じような動きをしているのはよくわからないなぁ。
2021年なんかはサバが少し回復してサンマはまた下がっているから、サンマが不漁でサバは去年より獲れてる、みたいな感じなのかな。
断片的にみると報道で言われていることが当てはまるようだけど、全体のトレンドとして見た時にそこまでぴったりと当てはまる気がしないなぁ。
で、ググって検索してみると・・・。
AIさんが「サンマとサバは、一般的に同じ海域に多く出現するわけではないため、サンマが大量に獲れる年はサバの漁獲量が少ない傾向にある、というわけではありません。それぞれの魚の生態や回遊パターン、漁獲状況は異なります。」とまとめてくれたのだ。
一方で、農水省のHPのQ&Aの「サンマの不漁が続いているが、どうしてですか。」という質問に対する回答は、「また、日本に近い海域では、他の浮魚類(イワシ類やサバ類など、海の表層近くを主な生息場所とする魚種)が増加したことにより、サンマが日本の近くで回遊しにくくなっている可能性も考えられます。」ということも書いてあるのだ。
でも、もっとその前に「日本でのサンマの漁獲量の減少は、2010年に突然起きた分布の沖合化が契機と考えられ、
2010年以降も海洋環境や餌環境の変化により、沖合化と資源減少が進行しています。」というのがあって、これが主要因で、他の魚種の影響もあるかも、ちう程度だけど。
さらに調べていくと、水産資源管理学の世界では、青魚の「魚種交替」という考え方があるらしいのだ。
これはあたまたまどれかの魚種が増えたからほかが減るとかいう話ではなくて、数十年レベルの周期で大気や海洋の環境に変動があって、その影響でそれぞれの魚種にとって棲息環境も変動する、というもの。
もともと青魚は繁殖力が強くて生息環境の変化が大きな変化として見えやすい、というのがあるみたい。
平たく言えば、海水温やらプランクトンの量やらが周期的に変動して、それに合わせてその時々に繁殖しやすい魚種が変わる、ということ。
これだけで言えば、次に増えるのを待っていればいいはずだけど・・・。
当然そうはいかないわけで。
もともとサンマはほぼほぼ日本人だけが消費していたような魚種だけど、最近は中国や韓国でもたくさん食べるようになり、資源量が減っているのだ。
この影響がさらにかぶさってくるので、周期的な変動に合わせて待っていればよい、ということでもないんだよね。
もう少し複雑な懐石をして資源量を管理する必要があるようなのだ。
sのうち、本来はサンマが増えるタイミングのはずなのにサンマが獲れない、みたいなことも起きてくるかも・・・。
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