2017/09/16

ケトルの中が、鍾乳洞やぁ

フランスの水道水は硬水。
日本と比べてめちゃくちゃ大量のカルシウムイオンが含まれているのだ。
なので、洗濯物はごわごわになるし、髪はばさばさになるし、軟水に慣れた日本人には悩みの種・・・。
でも、カルシウムがたくさん含まれているんだなぁ、と何より実感できるのは、電気ケトルの中にできる「水垢」(ライムスケイルと呼ばれるみたい。)。
っていうか、「水垢」というより、石灰の結晶が析出しているんだよね!
まるで鍾乳洞の形成を見ているようだよ。

水道水中のカルシウムは、多くの場合炭酸水素ナトリウム(Ca(HCO3)2)の形で溶けているのだ。
すなわち、二酸化炭素が溶け込んだ炭酸水の中にカルシウムが溶け込んでいる状態。
ところが、この水を熱すると、二酸化炭素の溶解度が下がって水の中から抜けていってしまって、炭酸イオンがすくなくなるため、不溶性の炭酸カルシウム(CaCO3)=石灰になってしまうのだ。
これが「水垢」の正体。

内面に石灰が析出しているわけだけど、これが意外とがっつりと張り付いているんだよね。
洗い物用のスポンジでこすった程度ではなかなか落ちなくて、メラミンスポンジを使ったり、クレンザーをつけてがりがりこすれば落ちなくはないんだけど、内面に傷がついてしまうのだ(>_<)
しかも、そうやって傷ができると、その凹凸のあるところにまた石灰が析出しやすくなるんだよね・・・。
というわけで、物理的にはがすのはあまりよい方法ではないわけ。

では、どうすればよいかというと、化学的な反応で出てきたものなら、化学的な反応で除去すればよいのだ。
炭酸カルシウムは水には溶けないけど、酸には溶けるし、水中に炭酸水素イオンが大量にあれば、炭酸水素カルシウムとして再び水に溶けるようになるので、それを使えばいいわけ。
酸としては、手軽に使えるのはお酢。
食用酢に含まれる酢酸と炭酸カルシウムが反応して、水溶性の酢酸カルシウムと炭酸になるので、石灰を溶かすことができるよ。
酸性雨が石灰岩やコンクリートを溶かしていくのと同じ。
でも、反応はそんなに早くないし、強くもないので、できれば熱を加えた方がよいのだ。
少量の酢を溶かした水をケトルに入れて、沸騰させてからしばらく放っておくわけ。
においは酸っぱいけど、けっこう落ちるよ。

炭酸水素イオンを添加する簡単な方法は重曹(炭酸水素ナトリウム=NaHCO3)を使う方法。
こちらの場合、あまり熱をかけると炭酸水素イオンが二酸化炭素として抜けていってしまうので、ぬるま湯程度がおすすめ。
ぬるま湯にたっぷりの重曹を溶かしたものを入れて、がしがしと振るとよいのだ。
これは、小学校の理科の実験で、石灰水に息を吹き込むと最初は白く濁るけど、さらに息を吹き込み続けると又透明になるのと同じ原理だよ。
石灰水は水酸化カルシウムの水溶液で、ここに息を吹き込むと呼気中の少量の二酸化炭素が水に溶け込み、炭酸カルシウムが析出して、白濁するのだ。
さらに二酸化炭素を加えると、水に不溶の炭酸カルシウムが水に可溶の炭酸水素ナトリウムになるので、濁りが消えるわけ。

実は、この方法は水垢だけでなく、茶渋にも有効なんだよ。
茶渋は茶に含まれるポリフェノール類とカルシウムが反応して固まったもの(カルシウムを中心にポリフェロールがキレートで重合するのだ。)。
なので、ここからカルシウムをはがしてやればよいわけ。
やっぱりカルシウムイオンが水により溶けやすい状況を作ればいいので、お酢や重曹が有効だよ。
がっつりと茶渋がついてからだとなかなか落ちないけど、初期の段階でケアしてあげればかなりきれいに落とせるみたい。
やっぱり早め早めの対応が大切だよね。

2017/09/09

ひょっとすると北よりこわい?

日本時間の9月6日夜、太陽表面で大規模なフレアが観測されたのだ!
太陽の表面で起こっている爆発現象で、水爆の10万~1億倍の威力と考えられているよ。
大きな爆発が起きると、それに伴って大量の電磁波や放射線が発生し、それが地球に届くと様々な影響があるのだ。
まずは光である電磁波が数分で届くんだけど、通信障害などが起こるのだ。
数時間のレベルでは放射線(ガンマ線を除く粒子線)が届き、数日後には荷電粒子が届くのだ。

放射線や荷電粒子の影響は、フレアの規模によって変わってくるんだけど、通常は驚くほどのものではなくて、オーロラの原因になったりするくらい。
ところが、今回くらいの大規模なフレアが発生すると、その影響は無視できないレベルになることも考えられて、ニュースになっているのだ。
こういうことがあるから、日本や米国は太陽観測衛星を飛ばしているし、地上からも常に太陽の活動を観測しているんだよね。

実際には、放射線や荷電粒子が来ると、空気中の分子と反応して「電磁パルス」が発生するのだ。
そう、最近北朝鮮が攻撃に使おうとしているやつだよ!
「電磁パルス」というのは、ごく短時間で発生する大規模な電磁気のことで、自然界で言えば雷がそれに当たるよ。
雲の中で分子が衝突したりして静電気が発生し、電位差(電圧)が一定以上になったところで短絡(ショート)し、瞬間的な大容量の電流が流れるのだ。
太陽フレアによる「電磁パルス」はそれが静電気ではなく、外から来る放射せにゃ荷電粒子により引き起こされるものだよ。
太陽表面の爆発で瞬間的に大量に放出された放射線や荷電粒子が地球に届き、届いた瞬間に周りの空気分子と反応し、電磁場の大きな乱れが発生するというわけ。

雷による電子機器の被害もわりと知られているけど、これは、雷が落ちた瞬間、そこに瞬間的に大きな電位差が生まれ(まさに「パルス」)、本来流れないような量の電流が発生するため。
これは「サージ電流」と呼ぶのだ。
通常電子機器の中野半導体や電子回路には、電流が流せる上限というのが決まっているので(これは材料的に大量に電気を流すとジュール熱で溶けてしまうなどの理由だよ。)、それを越える電流が流れると、壊れたり、壊れなかったとしても誤作動が起きたりするんだよね。
これを防ぐため、家電でも冷蔵庫や電子レンジにはアースをつけて設置し、過剰電流が流れる場合は、電子機器の中に入らないようにしているのだ。

フレアによる「電磁パルス」も全く同じで、空中で異常な電磁場が発生し、それが地上の電子機器等に影響を及ぼすわけ。
しかも、太陽は地球よりはるかに大きいので、雷のような局所的な話ではなく、地球全体の話になってくるのだ・・・。
すると、ここの電子機器にももちろん影響が出るんだけど、送電線などの電気系統にも影響が出てくるよ。
下手すると、送電線に異常電流が流れ、系統が落ちて大規模停電になるのだ。
現代はいろんなものが電気で制御されているから、広範囲で大規模な停電というのはしゃれにならない話なんだよね。
そして、地球のまわりを回っている人工衛星も壊れる可能性があって、そうなると、気象や通信・放送、測位(GPS)で障害が発生しかねないのだ。
そう、軍事目的に偵察衛星や早期警戒衛星もダメになるので、ミサイル防衛とかにも影響が出てくるよ・・・。

今回は大規模なフレアなので、一般の人でも影響を感じる可能性があるよ、ということで大きく報道されたんだよね。
特に、GPSなんかも狂うので、飛行機や船舶の運航にも支障が出るおそれがあるので、その影響はあるかもしれないのだ。
持っている電子機器hが壊れることはないんだろうけど。
しかし、太陽がめちゃくちゃ大きいこともあって、フレアが発生すれば、必ず地球に影響があるわけでもないんだよね。
地球に電磁波や放射線が届くような場所で爆発が起これば影響は出るけど、関係ない場所なら心配する必要はないわけ。
一方で、太陽活動の指標にはなるし、どこで爆発が起きるかなんてわからないので、常時太陽の活動を観測しておく必要はあるのだ。

2017/09/02

カナブンはなに持ち?

夏休みが終わった・・・。
ま、社会人だから関係ないけど(笑)
でも、この季節になるとちょっとせつない気持ちになるよね。
やはり子ども時代にすり込まれた感情かな?
こんなときに思い返すのは、やはり自由研究。
ドリルなんかはどうにかなるけど、自由研究だけはどうしても時間がかかるもの。
自由研究の王道と言えば、適当に捕まえてきた昆虫をとりあえず標本にする昆虫採集だよね。

で、そんなときにあるニュースに目がとまったのだ!
日本のコガネムシが海外で外来種として農作物に深刻なダメージを与えていると。
ああ、あの緑のやつか、昆虫採集では雑魚だよな、と思ったんだけど・・・。
あれ?、コガネムシとカナブンってなんか違うんだっけ?、と気になりだしたのだ。
これが、当たり前のことなんだけど、調べてみると違うんだよね。

コガネムシは甲虫目コガネムシ科の昆虫で、カナブンは甲虫目コガネムシ科ハナムグリ亜科の昆虫。
種としては同じ経統だけど、けっこう離れているのだ。
見た目も似ているようだけど、コガネムシが玉虫と同じような緑を基調とした虹色に輝く金属光沢なのに対し、カナブンは地味な緑褐色の金属光沢。
どちらかというと、カナブンの方が黄色くて、黄金色に見えるんだって。
ボクは緑の方がカナブンとばかり思ってた!
形状も、カナブンが扁平で頭も角張っているのに対し、コガネムシは全体に丸みを帯びていて、頭の形状も丸いのだ。
というわけで、よく見れば写真でも十分に見分けがつくみたい。

実際に外で見たときに注目すべきは、飛ぶ姿。
コガネムシはカブトムシなんかと一緒で、固い前翅を広げて中にある透明な後翅を広げないと飛べないのだけど、カナブンは前翅を折りたたんだまま、隙間から後翅を広げて飛ぶことができるのだ。
なので、飛んでいるときに、固い羽が開いていたらコガネムシ、閉じていたらカナブンだよ。
一般にカナブンの方が飛行能力が高く、足場がないところからも離陸できるんだとか。

食性も大きく違って、コガネムシが葉を食べるのに対し、カナブンはカブトムシと同様に木の樹液を吸うのだ。
なので、カナブンは脚には鋭い爪がついていて引っかかるようになっているよ。
無理矢理木からはがそうとすると脚がとれるんじゃないかというくらいの強いグリップ力。
昆虫採集でカナブンが雑魚扱いされるのは、夜のうちに樹液に糖液などを塗っておいて早朝に見に行ったとき、カナブンもそこにいるからなのだ。
子どもだったら角があるカブトムシの方がいいよね(笑)
カナブンの幼虫についてはよくわかっていないらしいのだけど、カブトムシやクワガタ同様に腐植物を食べているみたい。

一方、葉を食べるコガネムシは、害虫なんだよね。
しかも、幼虫は根を食い荒らすらしいのだ。
幼虫でも成虫でも農作物にダメージを与えるというわけ。
コガネムシはそういう性質もあって、けっこう研究が進んでいるみたい。
駆除するのは大変みたいだけど。
たちが悪いのは、固くておいしくないらしく、あまり鳥も食べたがらないみたい。
特に、海外に渡った場合は天敵がおらず、すぐに繁殖するようなのだ!
家にブドウの木なんかがあるとよく葉や実を食い荒らしていく虫が来るけど、あれはカナブンではなく、コガネムシなのだ。

童謡では「コガネムシは金持ちだぁ♪」なんて歌われるし、カナブンは昆虫採集での雑魚という認識なので、むしろコガネムシにいいイメージを持っていたんだけど、悪い奴らだったんだね・・・。
むしろ、カナブンはなにも悪くなくて、フォルムがカブトムシやクワガタに比べてださい、というだけなのだ(笑)
これからは認識を改めて、カナブンを必要以上にさげすまないようにしないと!
カナブンは地味だけど、悪いやつじゃないのだ。

2017/08/26

保存するは我にあり

夏休みにポルトガルに行ったのだ。
いやあ、魚介類がおいしい♪
フランスもわりと魚を食べる方だと思うけど、鮮度が違うし、魚の扱いもポルトガルの方が上だよね。
きちんと「だし」概念が理解できているし、何より、火の通し方がちょうどよくて、ぱさついたり、かたくなったりしていない!
そんなポルトガル料理でメジャーな食材と言えば・・・。
タラの塩漬けの干物のバカリャウ。

内臓や骨、浮き袋をとってひらいたマダラ(タイセイヨウダラ)=codを塩漬けにしてから乾燥させたもの。
フランスでよく食べるスケソウダラ(pollock)じゃないよ。
もともとミニ水分が多くて傷みが早い魚ので干物にしたようなのだ。
スペインではバカラオと呼ばれていて、イベリア半島がメインだけど、地中海沿岸の南仏やイタリアでも食べられるようなのだ。
ラテン系の明るい連中の食べるものだよ(笑)

非常に保存が利くので、大航海時代ポルトガルやスペインが船に積んでいたので、本来北半球にいるタラの産地からは遠い、ブラジルや西アフリカでも食べられているんだって。
三角貿易でも取引されていたらしいよ。
今は北欧や北米で生産されているらしいんだけど、タラがあまりとれなくなって、庶民の安い食材から少し高級な食材へと変化しているみたい。
それでも、ポルトガルではこれでもか、というくらいバカリャウの料理が多いのだ!
実際に自宅で食べているかはわからないけどね。

保存食だけ合って大量に塩が使われているので下ごしらえとして、食べる24時間くらいまでに水で塩抜きをする必要があるんだって。
途中で水を替える必要もあって、一度塩抜きするともう保存性がないので、すぐに食べないといけないみたい。
ポルトガルでは、塩抜きしたバカリャウをオーブンで焼いたり、玉子と野菜ととじたり、グラタンやコロッケの材料にしたりと、いろいろな料理に使うのだ。
それにしても、どの料理の場合もふっくらと仕上げるんだよね。
おいしく食べる方法を熟知しているよ。

イベリア半島はカソリック教徒の多い土地だけど、謝肉祭の翌日から復活祭までの40日間(四旬節)は鳥獣の肉が禁忌になるんだよね。
そうなると、魚が重要で、それでバカリャウの料理が広まったという部分もあるみたい。
嫌々魚を食べるんじゃなくて、少しでも工夫をしておいしく食べようという精神が素晴らしいのだ!
それが中南米にも伝わっているんだって。

で、このバカリャウに似たものが日本にもあるのだ。
それは「棒鱈」。
やはりマダラの干物なんだけど、塩漬けにせず、そのまま極限前乾燥させたものだよ。
もちろんそのままでは食べられないので、何日もかけて水を替えながらあく抜きをしつつ戻して、どの後に煮物などに使うのだ。
バカリャウと違って焼いたりはしないのだけど、これは塩漬けをしているかしていないかでタラの状態が違うからだろうね。
棒鱈の場合は、戻すと実がほろほろと崩れる感じになるので、ふっくらとはいかないのだ。

それにしても、ポルトガル人も日本に到着して驚いただろうね。
なにしろ、自分たちが食べているバカリャウのようなものが日本にもあったんだから!
ポルトガルとは鉄砲伝来などでもともと関係が深いけど、これでさらに親近感がわくよ。

2017/08/19

うまみの果実

フランスではいろんな種類のトマトが売っているのだ。
赤、黄色、緑、黒。
形も様々で、大玉、中玉、小玉、細長いの、扁平なの。
それぞれに特徴があって、サラダに使ったり、ソースに使ったり、使い分けがあるみたい。
中でも、加熱調理用のトマトは、そのままで食べても酸っぱいんだけど、トマトソースにしたり、煮込み料理に使うとおいしいのだ♪
これはトマトに大量に含まれるうまみ成分「グルタミン酸」のおかげなんだよね。

実は、トマトは昆布並みにグルタミン酸を含んでいるのだ。
なので、「だし」がでるんだよ。
トマトベースのスープやソースには意味があったのだ。
肉類や魚介類に含まれるイノシン酸などのうまみ成分と一緒になることで相乗効果が出るので、まさにベースにぴったりなんだよね。
これが世界中で消費される理由。
実は、このトマトからも「だし」をとることができるのだ。

わかりやすいのはドライトマト。
イメージは昆布といっしょだよね(笑)
そのまま具に使って煮込んでもいい「だし」がでるんだけど、だしだけ使いたい場合は、常温の水又はぬるま湯にしばらくつけておくとよいのだ。
できあがりの「だし」は黄色みを帯びているよ。
そんなにトマトの風味はなく、あっさり系の「だし」で和風の料理にも使えるんだって。
「だしがら」のトマトの実は、そのままオリーブ油に漬ければまた食材として活用できるのだ。
ちなみに、すでにオイル漬けのものからは「だし」はとれないので、乾燥させたかぴかぴのやつじゃないとダメだよ。

かつおだし風のイメージなのは、煮出す方法。
へたをとってざく切りにしたトマトに約2倍量の水を加え、弱火でじっくりと煮出すのだ。
あんまり強烈に沸騰させない方がよいみたいだけど、あくをとりながら5~10分煮立たせればできあがり。
やっぱりうっすらと黄色くなるのだ。
これもトマトの風味はほとんどないので、いろんな料理に使えるよ。
ちなみに、「だしがら」のトマトはぐちゃぐちゃになっているので、せいぜいカレーに入れたりするくらいかな。
うまみをとってしまっているので、トマトソースにするにはきついのだ(>_<)

最後は一番手がかかるんだけど、トマトのうまみが凝縮された「だし」をとる方法。
フレンチの手法らしいんだけど、まず、へたを取ってざく切りにしたトマトに少し塩を加えて、フードプロセッサーでピュレ状にするのだ。
これをさらしでこして、透明な液体成分をとるのだ。
これが「トマト水」。
ドライトマトの戻し汁やトマトを煮だしたものとは違って、トマトの甘味や酸味も含めて抽出されるよ(~8時間くらい)。
生だから当たり前なんだけど。
残ったトマトはもはや「ぬけがら」状態なんだけど、カレーなんかに入れて使えるみたい。
って、カレーが多いね・・・。

どの方法でもけっこうな手間のような気もするけど、トマトの底力を改めて知ることができるので、試してみるとおもしろいのだ。
日本食材がなかな手に入らない場所でも、トマトなら手に入りやすいから、そういうときは便利なはずだよね。
どこまでそんな需要があるかはわからないけど(笑)

2017/08/12

チェコの誘惑?

夏休みにチェコの首都のプラハに行ってきたんだけど、そこにおどろきのおみやげが!
なんと、大麻キャンディ、大麻クッキー、大麻入りウォッカなどが並んでいるのだ・・・。
調べてみると、チェコでは2010年に大麻所持・栽培が「非違法化」され、個人であれば5株までの栽培、大麻たばこ20本までの所持が罰せられなくなったのだとか・・・。
オランダと違って、カフェなどで吸引できる、というところまではいっていないようだけど、衝撃的だったよ。
でも、気になったのは、こういうおみやげを買ったとしても、持って帰れるのか?、という点。
日本もそうだけど、多くの国で大麻の所持等は禁止されているはずなので、まずいんじゃないかという気がするんだよね。

日本について言えば、大麻の取扱いは「大麻取締法」により規制されていて、所持、栽培、譲り受け、譲り渡し及び研究のための使用が原則禁止されているよ。
都道府県知事の許可を受けた大麻取扱者のみが、繊維や種を取るために大麻を栽培したり、研究用の大麻の栽培・使用が認められる仕組み。
以前、総選挙で「医療用大麻解禁」みたいな公約を掲げている候補がいたけど、日本では医療用の大麻使用は禁止されているよ。
米国など一部の国では認められているみたいだけど。
それと、法律を注意して見るとわかるけど、「所持」と「研究目的使用」が禁止されているけど、「個人の使用」が必ずしも禁止されていないのだ・・・。
すなわち、森に自生している大麻草の葉っぱを乾燥させて自分で楽しんで使い切った場合、「所持」の現行犯では逮捕できなくなるみたい・・・。

ここで重要なのは、この法律で規制がなされている「大麻」というのは、第一条でしっかりと定義されているということ。
「大麻」とは、「大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品」とされている一方で、「大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く」という除外規定もあるのだ。
これは、繊維としての「麻」と食品として使われている麻の種(七味唐辛子に入っているよ。)はこの法律の規制対象外ということなんだ。
ただし、栽培自体は規制されているので、許可を受けて大麻取扱者となった農家しか大麻草は栽培できず、そこから繊維や種を取ることもできないというわけ。
ちなみに「成熟した」とわざわざあるのは、未成熟なものにはそれなりの量の向精神性を持った成分のテトラヒドロカンナビノールが入っているから。
製品から樹脂が除かれているのは、まさにその樹脂の中にこの成分が抽出されるからだよ。
でも、やっぱり成分が多いのは、葉と花穂で、これが国際条約でも規制対象になっているんだ(葉と花穂を乾燥させたものが「マリファナ」と呼ばれるものだよ。)。

それと、この法律の珍しいところは、国外犯処罰規定があること。
規制の実効性は別として、日本国民が大麻が課金されている海外の国で「所持」や「譲り受け」をした場合、理論的には罰せられるのだ!
オランダは合法化されているから、とかいって、そこでマリファナを買って持ち歩いたらアウト。
カフェで吸引だけする分には微妙かもしれないけど・・・。
はっきり言って、勧められたものではないよね。
海外で大麻を楽しむ指南書・サイトみたいのもあるようだけど。

で、問題の大麻入りのおみやげはどうなのか。
実は、飴やクッキーは大麻の種が入っているだけで、問題がないようなのだ。
毒々しいパッケージにはしてあるけど、七味唐辛子のついたせんべいとなんら扱いは変わらないもの。
これは持って帰ってもOK。
一方で、お酒は注意が必要で、多くの場合、乾燥した葉っぱが酒に漬け込まれているため、「大麻草の製品」と見なされるのだ。
なので、これは譲り受け、所持した時点でアウト。
海外にいる間は実際上は取り締まれないから別だけど、日本に帰国しようとした場合は「所持」の現行犯になるよ。
それと、米国なんかで売られているという大麻チョコも要注意。
これは大麻から抽出したテトラヒドロカンナビノールが入っている代物らしいのだ。
そうなると、これも「大麻草の製品」に当たるのでダメ。パッケージをよく見て、種が入っているだけなのか、葉っぱは入っていないのか、抽出成分は含まれていないのかを確認する必要があるというわけ。

ジョークグッズ的に買うのもあるかもしれなけど、やっぱりこういうものには手を出さないというのがベストなんだろうなぁ。
米国のものなら英語なのでまだわかるけど、チェコ語で書かれても読めないしね。
「李下に冠を正さず」、疑われるようなことはしない、怪しいものには近づかないのがよいのだ!

2017/08/05

もはや代用品ではない

欧米の人って、実は日本人よりカフェインに弱いと言われているんだよね。
それもあってか、カフェインレスのものがメニューにちゃんとあるのだ。
デカフィネイティッド(カフェインぬき)のカフェはどこにでもあるよ。
お茶についても、ハーブティー(infusion)を飲む人も多いのだ。
で、そんな中で、地位を上げた飲み物があるんだよね。
それは「代用コーヒー」。

名前のとおり、もともとは「代用」なので、本物がないから仕方なく飲むもの、というものだったのだ。
最初に出てきたのは18世紀のプロイセン。
当時のドイツはコーヒーの産地を植民地として持っていなかったんだけど、コーヒーの消費がどんどん上がっていたようなので。
その輸入超過のせいで、かなり外貨が失われてしまうことを憂えて、時のプロイセン王のフリードリヒ大王は、コーヒーの高い関税をかけ、庶民が飲めないようにしたのだ。
ここで発展したのが代用コーヒー。

その後、南北戦争時の米国や、第一次大戦下のドイツ(また!)、第二次大戦下の日本やドイツ(またまた!)などで代用コーヒーが飲まれるようになったよ。
いずれも、コーヒー豆が手に入らなくなったので、何か別のものでもいいからコーヒー的なものを飲みたいという発想なのだ。
それにしても、そこまで人々を引きつける嗜好品としてのコーヒーの魅力はすごいものだね。
でも、やっぱりコーヒーの代用なので、本物のコーヒーが手に入るようになると廃れていったのだ。
ところが、近年の健康ブームにより、カフェインを含んでいない代用コーヒーに注目が集まるようになったよ。
特に、大豆を煎って焙煎したものから作るものは、大豆の難い栄養価とも相まって、むしろ本物のコーヒーより高く売られているそうなのだ。
なんか、これだけ見るときなこをお湯に溶かしたもののようだけど・・・。

日本でもおなじみなのはタンポポ茶。
これは19世紀の米国で考案されたもので、刻んでから水にさらしてあく抜きしたタンポポの根を更に細かく刻んでから乾燥させ、それを煎って作るのだ。
コーヒー豆にも含まれるクロロゲン酸を含んでいるので、ちょっとコーヒーっぽい風味がするのだとか。
って、最初にタンポポの根を煎じようとした人がすごいけど(笑)
第二次大戦中はドイツでかなりメジャーだったんだって。
日本でもオーガニックにこだわってマクロビのお店とかによくあるよね。
ドングリを使ったものもあって、やはりアク(渋味のもとのタンニン)をよく抜いてから、乾燥させ、焙煎するのだ。
これもやはり第二次大戦下の日本とドイツで飲まれていたって。

欧州でメジャーなのは、「焙煎穀物飲料」としての代用コーヒー。
穀物を焙煎した煎じたものの総称で、麦茶なんかもこのカテゴリーに入るんだけど、代用コーヒーの場合は、多くは大麦を煎ったものにチコリーなどで苦味を足しているんだ。
普通に粉状のお湯に溶かすだけのものが売られていて、見た目には普通のインスタント・コーヒー。
ポーランドの引火・コーヒーなんかが有名だよ。
冷戦下の時代は、ソ連に与した東側諸国はどうしても物資が不足していたので、発展したんじゃないかな、と思うんだよね。
戦後だけどものがないところだったから。

でも、これが今や健康食品として注目を受けているのだ。
妊婦さんや子どもなどにはカフェインはよくないけど、やっぱりコーヒーが飲みたいという需要もあるんだよね。
もともとカフェインに弱い欧米の人からすると、夜にコーヒーを飲みたいけど、眠れなくなっちゃうから、と言う場合にもいいし。
というわけで、「代用品」という枠を越え、カフェインを含んでいないコーヒー的な嗜好品としての立場を築いているのだ。
たぶん、今の技術もあるから、味も調えられて、おいしくなっているというのもあるんだろうけどね。