2013/08/03

アゲアゲ

先日伊勢丹新宿店の沖縄展で「かまぼこ」を買ってきたのだ。
沖縄のかまぼこは、小田原名物のかまぼこや仙台名物の笹かまぼことは違って、揚げたもの。
むしろ鹿児島名物の薩摩揚げに近いもの。
ただ、本場の薩摩揚げはかなり甘みがあるし、色も茶色いんだけど、沖縄かまぼこはきつね色くらいで、味付けも強くはないのだ。
なので、そのまま食べるだけでなく、チャンプルー(炒め物)や沖縄そばの具なんかに使われるんだよ。

もともとかまぼこは魚をおいしく食べるために考案されたもののようなのだ。
平安初期の文献にすでに現れるらしいんだけど、この頃はナマズなどの淡水魚を使っていたみたい。
ま、京都が都だから、琵琶湖や鴨川なんかでとれた淡水魚の方がよかったんだろうね。
というのも、かまぼこは生魚ほどではないにしても傷みやすい食材・・・。
干物みたいな保存食とは違うのでそんなに遠くには運べないのだ(>o<)

このころのかまぼこは、棒に魚のすり身を巻き付けてやいたもの。
見た目が「蒲の穂」や「鉾」に似ているので、「がまほこ」になって、これが「かまぼこ」になるのだ。
漢字では今でも「蒲鉾」だよね。
後にいたにすり身をつけて蒸す製法が開発されると、棒につけて焼く方は「竹輪蒲鉾」と呼ばれるようになり、それが単に「ちくわ」になったみたい。
笹かまぼこみたいに今でも棒につけて焼いたものが「かまぼこ」の名を冠している場合もあるけどね。
一方、蒸す方は板についているので「板かまぼこ」。

一般には白身の魚で作られるけど、むかしはスケトウダラやサメなんかが大量に水揚げされることもないので、実は高級品だったらしいよ。
今ではおせち料理の中で脇役的な扱いだけど、実はかまぼこは紅白で縁起もよいし、高級な食材だったのだ。
でも、実は高級な白身魚を使わないかまぼこもあって、静岡の黒はんぺんとか、愛媛のじゃこ天なんかはその代表例。
どちらも色がちょっと灰色っぽいのだ。
でも、これはもっと身近な魚を使っているので、庶民の味だったはずなんだよね。

ここで、焼く、蒸すに次ぐ第三の調理法として揚げるが出てくるのだ。
一般には薩摩地方の名物なので「薩摩揚げ」と呼ばれるけど、鹿児島ではつけ揚げ、沖縄では「ちきあぎ」と呼ばれているよ。
語源や発祥もあまり定かではなく、「つけ揚げ」自体も沖縄の「ちきあぎ」から来ているんじゃないかと言われる位なので、ひょっとすると、沖縄経由で中国大陸の調理法が入ってきたのかも。
もともと肉団子などミンチした肉を油で揚げる調理法があるからね。

一般名称としては「揚げかまぼこ」と呼ばれていて、すり身だけを揚げたものと、具材を混ぜて揚げたものなどバリエーションは様々。
形も、四角いもの、丸いもの、球状のもの、棒状のもの、円筒状のもの、成型していない不定型なものなどこっちもいろいろ。
沖縄には、じゅーしー(味付けごはん)を包んだ揚げかまぼこもあるんだ。
特に具材を巻いたものや、具を混ぜたものは「天ぷら」と呼ばれる場合も。
東京だとゴボウ天うどんは、ゴボウの天ぷらが入ったうどんだけど、九州だとゴボウ入りの薩摩揚げがのったうどんの場合もあるので注意が必要だよ。
ま、どっちでもおいしいんだろうけど(笑)

揚げかまぼこの次の革命は魚肉ソーセージ!
戦後すぐのころは遠洋で獲れたマグロを冷凍して持ってくる技術がなかったので、氷冷だったんだって。
そうすると、どうしても鮮度が落ちてしまってよい値がつかなかったそうなのだ。
そこで考案されたのが、そういう魚肉を使ってハムやソーセージを作ってはどうかというアイデア。
基本はかまぼこと同様にすり身にするんだけど、そこにブタの脂やスパイスを加え、ビニールに包んで加熱殺菌したもの。
すると、殺菌されているので日持ちもよくなって、まだ肉が高かった日本の市場で大きなブームが起きたのだ。
最近はかなり減ってきたみたいだけど、今でも時々食べたくなるあじだよね。

その後も、スケトウダラの冷凍すり身化技術の確立とか、かに風味かまぼこの開発など、技術革新が進んでいるそうだよ。
やっぱり日本の食卓には欠かせない食材となっているんだねぇ。
おでんに揚げかまぼことか竹輪が入っていないのは想像できないし。
米国では豚肉のミンチを使ったミートローフがまさに国民食となっているけど、海とともに生きてきた日本人にはやっぱり魚肉すり身だね♪
低カロリー高タンパク食品として見直されてきているし、これからどんどんかまぼこを食べよう。

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