2013/11/02

アルカンターラは電気牛の夢を見るか?

最近新しく革靴を買ったのだ。
まだはき慣れてないのでちょっと硬いし、足にもフィットしていない感じ。
でも、天然皮革の靴の場合、履いているうちに徐々になじんできて、履き心地がよくなるんだよね♪
その分手入れなどで面倒なことがあるわけだけど・・・。
一方、数年前に買った合皮のダウンジャケットは表面が少しぼろぼろになってきたんだよね。
合皮の運命とは言え、悲しいのだ(>o<)

天然皮革より安価で、手入れや加工がしやすいものとして登場したのが「人造皮革」というもの。
合成皮革と人工皮革に分かれるんだって!
合成皮革は天然の布地の表面に合成樹脂を塗布したもの。
人工皮革はマイクロファイバー(ナイロンやポリエステルなどの極細の合成繊維)の布地(通常は不織布)に合成樹脂を含浸させたもの。
そのまま使うか、表面にさらに合成樹脂を塗布するのだ。

合成皮革の方が歴史的には古く、19世紀中頃には登場したんだって。
最初は布地にニトロセルロースを多層にわたって塗布したもので、自動車のシートや屋根に使われたんだって。
でも、ニトロセルロースはよく燃えるので、第二次大戦後は難燃性のポリ塩化ビニルが使われるようになるのだ。
この頃の合成皮革はとにかく通気性が悪いので、衣服や靴だと蒸れに蒸れてしまうので使えず、やっぱり自動車のシートとかそういうものに使っていたみたい。
さらにその後、人工皮革が登場するんだけど、その頃にはかなり改良されていて、通気性や耐久性がよくなり、衣服や靴を含む様々な分野に進出するようになったんだ。
日本初の人工皮革としては、自動車のシートに使われる東レのエクセーヌ(ブランド名はアルカンターラ)や、ランドセルでもおなじみのクラレのクラリーノなんかがあるよ。
アルカンターラはスウェード状の表面加工で、クラリーノはつるつるぴかぴかの銀面加工というやつなのだ。

一般に人造皮革は、品質が均一で、動物由来ではないのでどんな形にも対応可能、染色も容易と、加工性に優れたところが大きなメリット。
安価で水をはじき、手入れも簡単。
ドライクリーニングもできるのだ。
でも、天然皮革に比べると劣化が早いと言われているのだ。
天然皮革も何もしなければかびたり、硬くなってひび割れたりするけど、保革油という油をしみこませて手入れをすることで長持ちするわけで、そういう手入れをしない人造皮革は長持ちしない、というのは当たり前なのかも。
特にポリウレタンを塗布したものは劣化が早く、数年で表面がひび割れ、ぽろぽろと樹脂がはがれてくるのだ。
これはもう運命的なものなので、そういうものとして使わないといけないんだよね。

そのほかにも、やっぱり肌触りや通気性では劣るところがあるのだ(>o<)
天然皮革だと多少ながらも水分や油を吸い取るから、「手になじむ」んだよね。
これが独特の手触りになるのだ。
また、触れたときにあたたかみがあるんだよね。
これは熱伝導の違いかな?
ポリ塩化ビニルだと、長時間接触した状態にするとくっついてしまい、表面がはがれたり、色移りしたりするから、しまい方も気をつけないといけないんだ。

何よりの違いは、使い込んでいくうちに「なじみ」や「風合い」が出てくることだよね。
人造皮革は布地や不織布が基材になっているので、基本的に形状が変わることがないのだ。
逆に、天然皮革だとタンパク質の繊維が三次元でからみあっているんだけど、使い込んでいくうちにフィットするように変形していくんだよね。
これは革靴や革手袋でよく言われる話なのだ。
「風合い」も油がしみたり、色が落ちたりの積み重ねで出てくるもの。
人造皮革は水をはじき、汚れにくいが故にこういう変化もないのだ。
変化が出るほど長く使えるわけでもないしね。

というわけで、なんだか天然皮革の方がいいような気もするけど、やっぱり手入れが楽で安価というのは大きな魅力なんだよね。
だからこそ今でも人造皮革が使われるわけで。
用途用途で使い分けるっていうのが賢い使い方かな。

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