2015/05/02

「新」の意味するところ

春になると出てくるのが、「新タマネギ」や「新ジャガイモ」。
最初はただ単に収穫したてを出荷しているものだと思っていたんだけど、どうやらそうではないみたいなのだ。
そもそも、「新」がつかないものとは栽培種として違うみたい!
これはけっこう個人的に衝撃的な事実だったんだよね。

まずタマネギから。
一般的にタマネギというと、茶色くて固い皮に覆われたものを思い浮かべるよね。
これはいったん収穫した後貯蔵して、乾燥させたものなのだ。
保存性の高い「黄タマネギ」という種類で、主に寒い地域に広まっていったものみたい。
なんと言っても辛みがあることが特徴で、水にさらさないと生食はきついのだ(>o<)
でも、その辛み成分は熱に弱いので、弱火でじっくりと炒めると飴色になって甘みが出るんだよね。

北海道では春に種をまいて秋に収穫し、最低1ヶ月は貯蔵してから出荷していくらしいのだ。
逆に、関東より西の地域では、秋に種をまいて春に収穫し、そこから出荷するんだ。
北海道とその他の地域でちょうど栽培サイクルが逆になっているのと、長期に保存できるので、1年中食べられるわけ。
もともと中央アジアが原産と考えられているけど、この保存性の高さが世界各地に広まっていく原動力になったのだ。
かつては陸路で欧州にわたり、大航海時代以降は船に乗せられて南北米大陸や東アジア・東南アジアに広がっていったみたい。
日本には明治になってきてから入ってきたようなので、それにしてはすごい広がりだよね。

一方、新タマネギと言われているのは、春に収穫されて、そのまま貯蔵せずに出荷される「白タマネギ」のこと。
つまり、北海道産の新タマネギはないのだ。
もともと「白タマネギ」は水分が多くてみずみずしいんだけど、保存性が低いんだよね。
乾燥させて使う場合もあるけど、新タマネギとして出荷される場合はすぐに消費するのだ。
この白タマネギは一般に辛みが少なく、甘みが強いので、水にさらさなくても生食できるんだよ。
ただし、水分が多く煮崩れやすいので、煮込み料理なんかには向かないのだ。

次にジャガイモ。
ジャガイモも通常は収穫した後に貯蔵してから出荷されるんだけど、やはり貯蔵しないで出荷するのが新ジャガイモ。
貯蔵してから出荷するジャガイモは、北海道では春に植えて、秋に収穫するのだ。
これはタマネギと同じ。
九州などの暖かい地域では、冬に植えて春夏に収穫するものと、夏の終わりに植えて冬に収穫するものがあるんだ。
このうち、冬に植えて春のうちに収穫してしまうものが新ジャガイモ。
つまり、北海道産の新ジャガイモはないのだ!

まだ早いうちに収穫される新ジャガイモは、小ぶりで水分が多く、川が薄いのが特徴。
そのため長期保存には向かないんだけど、ちょっとこするだけで皮がむけるし、もともと皮が薄くてむかなくても食べられるので、煮物なんかにするところころしておいしいのだ。
皮ぎしがおいしいというのは野菜や果物の常なので、皮をむかない方が新ジャガイモの真のおいしさが味わえるよ。
また、新ジャガイモはビタミンCが多いことも特徴なんだよね。
もともと水分が多くてやわらないから、じっくり加熱するのではなく、蒸したり焼いたりゆでたりして柔らかくなったところで食べるのがよいのだ。

似たものに新キャベツ(又は春キャベツ)というのもあうよね。
キャベツはもともと寒い地方の野菜で、だからこそ結球して丸くなるんだけど、春に収穫する、水分が多くて柔らかいものが春キャベツなのだ。
いわゆる普通のキャベツは愛知県などの地域では冬に収穫し、冷涼な気候の北海道では春から夏にかけて収穫するんだけど、千葉、神奈川、茨城なんかではこの春キャベツが作られているのだ。
やっぱり水分の多さから保存性が悪く、すぐに煮崩れするので加熱調理には向かないんだけど、その甘さと柔らかさから人気があるんだよね。

というわけで、春はみずみずしく、甘い野菜が旬なのだ。
新タマネギ、新ジャガイモ、春キャベツはこの時期しか食べられないものだから、楽しまないとね。
それにしても、北海道産がないとか、そもそも栽培種が違うとかはしらなかったなぁ。
家庭菜園なんかやっている人だったら知っていることなのかな?

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