2015/10/17

背番号は12桁

マイナンバー制度が始まって、各自治体から通知が開始されているのだ。
簡易書留で届くらしいけど、我が家はまだ。
っていうか、東京都からの防災マニュアルも届かない・・・。
ちゃんと管理して送っているのかな?、と不安になるけど、それもマイナンバー制度がうまくいけばかなり解消されるはずなんだよね。

マイナンバー制度はもともとは国民総背番号制なんて言われていて、どちらかというと国家による国民の管理だ、とかいう否定的なニュアンスがあったんだよね。
確かに、納税者番号と自動車の運転免許証番号、社会保障関係の受給者番号などが統一化されると、今まで縦割りで処理されてきた様々な行政手続きが横串で「見える化」され、一元的に管理できるようになるんだよね。
マイナンバー制度はそういう意味では、今の時代の社会システムに合わせた、管理システムの導入なのだ。
管理強化に見えるけど、国民からしても、行政手続きの効率化だったり、社会保障サービスの公平化だったり、メリットはあるはずなのだ。
むしろ、複数の毛色から所得を得ていた人が脱税しにくくなったり、不正に社会保障サービス(特に生活保障関係)を受給していた人ができなくなったりと、悪いこともしにくくなるのだ。
やっぱり運用が大事ということだよね。

こういう国家による国民管理の仕組みというのは、古代から形を変え、品を変えて導入されてきた経緯があるのだ。
国民一人一人の顔と名前がわかるくらいの規模の小国家なら問題はないのだけど、地方ごとの小国家が統合され、中央集権体制になるとそうも行かなくなるので、管理のためのシステムが必要となるのだ。
特に、国家財政をまかなうための税の取り立てには不可欠なんだよね。
古代日本でも、大化の改新(今は「乙巳の変」と言うのかな?)直後に、中国にならって初めて国家的な管理システムである戸籍が作られたのだ。・
それが「庚午年籍」というもの。
租庸調の徴収に当たって必要な情報として、どこの地にどれくらいの年齢の人間が居るのかをまとめたのだ。
これは6年おきに更新するシステムだったみたい。

でも、平安時代になって、私有地である荘園制度が発達すると、朝廷が一括して戸籍を管理する必要は薄れ、むしろ荘園ごとの管理になったため、国家的な戸籍は衰退していくのだ。
同じようなシステムが復活するのは江戸時代前後。
太閤秀吉公が検地を全国的に行った際、農民に夫役を課すために人別改が行われたのだ。
すなわち、労役を課せる成人男子がどの地域にどれくらいいるかを調べるわけ。
こうして、領地ごとに人別改帳が作成されたんだ。
さらに、江戸時代になってキリスト教が禁止されると、寺請制度ができて、士農工商の全ての民はどこかのお寺の檀家になっていないといけなくなったのだ。
誰がどの宗派に属しているのかを調べるためにまとめられたのが宗門改。
これを作るとき、先行していて人別改に宗派の別を記載する形式を基本としたので、宗門人別改帳となったのだ。

江戸中期には、もはや宗教調査的な目的よりも、人口動態を確認して、徴税などの基礎資料として活用されるようになり、事実上の戸籍の役割を果たすようになるのだ。
享保の改革以降は全国的な調査のとりまとめが行われるようになり、幕府は諸藩に6年ごとに更新するよう命じているよ。
これでいったんは廃れてしまった戸籍制度がほぼ復活した形になったのだ。
ただし、この宗門人別改からは漏れている人たちがいたことにも留意が必要なんだよね。
偉い人たちはいいとしても、狩猟を生業として山で暮らしていた、いわゆる「山の民」とか、修験者のような定住せずに全国を渡り歩く宗教者、大道芸人や巡業の一座、田畑を放り出して逃げたした農民(「無宿」)などは記載がないんだよね・・・。

明治になってからは、近代国家となるべく欧州の制度にならって新たな戸籍制度が法律の下にスタートするのだ。
もちろん、そのときの基礎的な資料は江戸時代の宗門人別改帳なわけだけど(笑)
このときに、士族以外にも名字が認められたので、各人が思い思いに戸籍上に名字を登録することになるのだ。
今でも戸籍専用の字があったりするけど、この登録の際の誤字だったりするんだよね・・・。
で、この戦前の戸籍は、家族制度を基本としたもので、戸籍上も戸主(家長)やら嫡出子・庶子などが明記されたものだったのだ。
当時の民法では、嫡出子であるか庶子であるかで遺産相続の権利が違っていたんだよね。
さらに、華族、士族、平民、新平民などの身分事項も記載されていたんだって。

戦後になると家族制度は廃止され、夫婦を基本単位とする戸籍制度に改められたのだ。
これが今の日本の戸籍制度。
戦前では、戸籍に住所の登録も行っていて、住民票の役割も果たしていたんだけど、戦後の住民登録制度は戸籍制度とは別にされ、戸籍と住民票は分離されたのだ。
江戸時代までは出席地から遠く離れて暮らす人なんていうのはわずかだったけど、近代化以降人の移動が多くなって住民登録が必要となったんだよね。
逆に言うと、むかしは自由に引っ越しとかができかなったのもあるんだけど。
さらに人の移動が激しくなると、いちいち戸籍で管理するのが大変なので、地方自治体ごとに住民登録させる制度になるのだ。
それが住民登録制度で、それを基に発行されるのが住民票。

これが住民基本台帳制度になると、戸籍と住民登録情報がリンクされるようになり、戸籍の附票を見ると住民登録の変遷がわかるようになるのだ。
やっぱり戸籍で本籍地しかわからないんじゃ不便だからね。
平成の御代になると、コンピュータによる管理が一般的になり、戸籍も住民基本台帳も電子化されてくるのだ。
で、また法改正が行われ、戸籍も住民民基本台帳もオンライン化されるんだよね。
戸籍は騒がれなかったけど、住民基本台帳ネットワークシステム(いわゆる「住基ネット」)はいろいろと話題になったのだ・・・。
セキュリティとプライバシーの問題なんだけど、これはまさに今、マイナンバー制度で問題になっているよね(>o<)

ちなみに、むかしの人別宗門改だと職業もわかったんだけど、現在の戸籍や住民基本台帳では職業はわからないので、別に「国勢調査」を行うことになっているんだよね。
これは5年に一度だけど、むかしの戸籍の更新年度とあまり変わらない(笑)
今後は、これらの情報が全てマイナンバーによりひもつけられるのだ!
相当便利になるはずだけど、ここを崩されると全て終わりなので、住基ネットの時以上にセキュリティには気をつけないといけないんだよね。

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