2015/10/03

超月

今年の中秋の名月は、翌日にスーパームーンが観測されることもあって注目されていたのだ!
確かにいつもより大きいような気がするし。
なんだか月の大きさや明るさが変化するというのは違和感があるけど、大きさについては最大で1.14倍の直径に、明るさは3割増し程度になるんだって。
これは計算上で出てくる数字なんだけど、NASAの観測でも確かにそうであることがわかっているのだ。

なぜ月の大きさが変わるのか?
もちろん、月そのものの大きさが変わっているわけでは当然なくて、地球から見た月の「見かけ上の大きさ」が変わっているんだよ。
この見かけ上の大きさは月と地球との距離に比例するはずなので、月と地球の距離に変動がある、ということなのだ。
この答えは簡単で、月が地球の周りを回る軌道は、円軌道ではなくて楕円軌道だから。
かなり真円に近いんだけど、ちょっとゆがんでいるんだよね。

理科年表の数字で言うと、最も地球に近づく近地点で362,600kmの距離。
最も遠ざかる遠地点では405,400km。
月の見かけ上の大きさはこの距離に反比例するはずなので、405,400÷362,600=1.118・・・
って、あれ?
1.12倍にしかならない!

実はこれにはさらなるからくりがあるのだ。
月が地球を周回する楕円軌道は一定ではなくて、太陽の引力の影響を受けてゆがむのだ。
すなわち、長径方向に太陽がある場合は、月は太陽に引っ張られるのでより楕円が扁平になるし、逆に、短径方向に太陽がある場合は、その楕円軌道はより円に近づくのだ。
これが無視できないくらいの差で現れてくるんだよ。
最も扁平になるときが、月と地球の距離の差が最大になるんだけど、そのときは、近地点が356,400km、遠地点が406,700km。
その比を見ると、406,700÷356,400=1.141・・・
そう、これが最大で1.14倍の正体なのだ。

次に明るさについて。
一般に星の明るさは地球とその星との距離の二乗に反比例するのだ。
すなわち、距離が、356,400÷406,700=0.876・・・で、0.88倍(=1/1.14倍)に縮まっているので、明るさは、(1/0.88)2倍=(1.14)2倍=1.2996倍にはるはず。
すなわち、3割増しということなのだ!

いわゆる星の明るさの話をするときは、一般には自分で光っている「恒星」なんだけど、月の場合は太陽の光を反射しているだけなので、事情が異なる、みたいな感じで書かれているものもあるのだ。
見かけ上の大きさの直径が1.14倍で、月の反射する光の量は月の見かけ上の大きさ(面積)に比例するから、その二乗で1.3倍の明るさ、としているんだ。
でも、これは実は間違い。
確かに反射光の量はそうなのかもしれないけど、明るさというのは単位面積当たりの光の量のことなので、面積が変わっても不変なのだ。
反射光だろうがなんだろうが、光源と観測点との距離こそが明るさには影響するんだよ。
月そのものの大きさが変われば明るさにも影響があるけど。

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