2015/10/24

あのときの「未来」は来たか?

今年は、マイケル・J・フォックスさん主演の映画「Back to the Future Part2」の舞台となる2015年。
映画は1985年の設定で、第1作では30年前の1955年にタイムトリップし、第2作で逆に30年後の未来に行ったのだ。
しかも、その日付は10月21日!
まさに今週だったんだよね。
で、その映画の中に出てくる未来像がどこまで実現されているのかが話題になっているのだ。

空を飛ぶ自動車なんかは実現できていないけど、携帯型の大画面デバイスなんかはすでにタブレット端末として広まっているのだ。
ホバーボードや自動的に靴紐が締まる靴は技術的にはできつつあるんだけど、普及には至っていないから△くらい。
映画ではまだFAXが現役なんだけど、同時はパソコン通信がやっとくらいだったので、ここまで電子メールが普及するとは想像がつかなかったんだよね。
そんな中でボクが気になっているのは、タイムマシンでもある「デロリアン」の燃料。
第1作ではプルトニウムを使っているのでおそらく原子炉なんだけど、第2作になると改良が加えられていて、生ゴミをぽいぽいっと放り込むとそれが分子レベル・原子レベルで分解・再構成され、燃料になることになっているのだ。
さすがにここまでは実現できていないよね。

でもでも、ほぼ同時期に、自動車関連で大きな動きがあったのだ!
それは、トヨタのMIRAIがついに発売。
これまでも燃料電池車は作られてきたけど、MIRAIは世界で初めて量産・市販されるセダン型の年長電池車。
価格は700万円強で、そこまで高いとは思わないけど、すべて手作業で組み上げているので、現時点では1日に3台しか生産できないんだって・・・。
今後は夜も含めて24時間の生産体制を確立することを目指していて、6~9台にしたいそう。
2015年については、国内向け400台、米国向け200台でその他で年間700台を目指しているそうだよ。
プリウスが出たときも世界を震撼させたけど、それ以上のインパクトがありそうなのだ。
ちなみに、トヨタは水素を燃料とした燃料電池車を普及させるため、関連特許を無料公開までしているそう。

このMIRAIの燃料電池は固体高分子形燃料電池を採用していて、正負の電極の間に固体高分子の膜がはさまっている構造なのだ。
それがいくつも積層されて燃料電池を構成しているのだ。
しかも、耐圧強度と密閉度を強化して(700MPaなので、約700気圧に耐えるのだ。)、直接燃料となる水素を貯蔵できるタンクを搭載しているんだ。
これのおかげで水素ステーションから3分間水素を充填させれば、650km走行できるんだって(電気自動車だと充電時間がもっとかかるし、継続走行距離ももっと短いんだよね。)。
さらに、これまでプリウスで培ってきたハイブリッド技術も採用されているんだよ。
ブレーキのエネルギーも熱損失ではなく、再び電気として貯められるのだ。
水素を燃料として使うので、水しか排出しないというのも大きな特徴だよ。
まさに名前のとおりの未来の車の姿なんだよね。

でも、これが通過点にしか過ぎないのも事実。
まだまだ解決すべき点があるのだ。
まずは燃料となる水素。
水素ステーションが圧倒的に少ないんだよね・・・。
というのも、水素は最も小さな原子である水素原子が二つ結合して分子を結合している最小の分子なので、密閉度を高くしないとどんどん漏れていくのだ。
しかも、酸素と反応すると爆発的な反応をするんだよね。
その爆発力を水力として使っているのが、日本のH-IIAロケットや米国のスペースシャトルのメインエンジンのロケット推力だったんだけど、それだけの爆発力があるというわけ。
自動車のモーターとしては、その反応をマイルドに進め、爆発力としてではなく、電気としてエネルギーを取り出すようにしているわけ。
だけど、そういう危険な可燃物が街中に大型タンクで貯蔵されている必要があるわけで、社会的なインフラ整備が必要なのだ。
ガソリンや軽油なんかの既存の自動車燃料も可燃性ではあるし、爆発性はあるけど、タンクからしみ出しては来ないから、その点の扱いが大きく異なるのだ。

さらに、水素をどうやって作り出すかも問題。
今は天然ガスなどを原料にして水素を取り出しているけど、この方法だと水素を製造するのにかなりのエネルギーを要するんだよね。
このため、水素を燃料とする燃料電池車は、全体としてはエネルギー効率がよくはないのだ(>o<)
今後技術が進歩して、もっと容易な、エネルギーを消費しない方法で水素が取り出せれば、さらに水素燃料が普及するはずなのだ。
映画の世界では生ゴミから水素を取り出しているのかな?
炭水化物でもタンパク質でも、有機物はたいてい水素を含んでいるので、そこから取り出せればうれしいのだけど。

また、価格が安くなったとはいえ、大衆車レベルとは言えないよね。
これは、燃料電池と水素タンクがどうしても高価になうrからなんだよね。
燃料電池については、触媒として白金などの貴金属が使われるので、どうしても価格を押し上げる原因となるのだ。
もっと安価な金属で代替できないか研究は進められているけど、実用化まではほど遠いんだよね。
水素タンクについても、量産できるレベルまではこぎ着けてはいるものの、どうしても水素を高圧で封入しなければならないという要件があるので、まだまだ技術革新が必要なんだ。
MIRAIの発売はここが許容レベルまでクリアされたところが大きいんだよ。

というわけで、映画の世界ほどではないけど、自動車の世界はものすごく進歩しているんだよ。
プリウスも最初に出てきたときはここまで普及するとは思わなかったけど、MIRAIもそうなるのかな?
今は生ゴミからバイオエタノールを作って燃料にする研究が進められているけど、あと30年後には、生ゴミをぽいぽいっと入れると燃料にできる世界が来るかもしれないね。

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