2020/10/03

さそわれる?

 芸能人の自殺とみられる不審死が続いたのだ。
かなり若い人たちなので、ショックが大きいよね・・・。
日本の場合、死亡判断は医師しかできないので、どんな状態であっても、病院等に運んで医師が「死亡」と判断しないと死んでいるかどうかは確定していない、という整理になるのだ。
なので、よくニュースでも「病院に運ばれ、死亡が確認されました」という言い方をするんだよね。
「死亡を確認」というのがまさにそのこと。

で、今回の人たちの不審死は、その状態から自殺ではないかと見込まれているんだよね。
自宅で争った形跡がないので、ほぼほぼそうなんだろうけど、場合によっては、死ぬ意図はなかったけど誤って、というのもあるかもしれないので、これも断定できないんだよね。
遺書なんかが残されていればかなり状況証拠としては固まるんだけど、偽装自殺の可能性も否定しきれないので、そこは司直・司法の判断があるのだ。
でも、今回の場合はほぼほぼ「自殺」として報道されているよね。
そして、勝手に「コロナ鬱」という前提で話がされているのだ。
芸能人はコロナ禍で仕事もなくなって、将来への不安感が増していたのではないか?、みたいな文脈で。
子供を産んだばかりの女性が将来に不安を感じて・・・、というのもにわかには考えづらいけど。

こういう、まわりから見るとなぜ自殺するのかよく理由がわからないような事件については、昔の人は妖怪のせいにしたんだよね。
その名も「縊鬼(いつき)」または「くびり鬼」。
もともとは中国の妖怪で、首をつって死んだ人の妄念が強いと、他の人にとりついて自分と同じように首つりをさせる、というもの。
中国では「鬼」は姿が見えない精神対のようなもので、日本で言うと幽霊やら霊魂といったイメージのもの。
なので、首をつって亡くなった人の妄念・執念が首つりを連鎖させる、という発想なのだ。
なんでも、冥界には死者の定員があって、転生しようとしたときに次の死者が来ないと転生できないから、自ら次の死者を作り出すのだそうで。
恐ろしい辻褄合わせだ!

これが日本にも入ってきていて、最初は中国と同じでいきなり「首つり」をさせるものだったようだけど、徐々に、理由不明な自殺一般の原因として担がれるようになったようなのだ。
今では自殺というと、経済的困難とか精神的な病気(鬱など)などに無理くりこじつけるんだけど、昔はよくわからなければ妖怪の仕業ということでみんな納得したのだ。
本当にそういうものが存在していると信じていたかどうかは別として、そういうわからないもの、不可知なものについては「魔が差した」的な受け止め方をするというのはリーズナブルでもあるよね。
河川で不審な水死体が見つかればカッパが引き込んだ、いきなりよくわからないことをわめいたり、暴れたりする人が出てきたら狐が憑いた、などなど。

実は今でもそうなんだけど、すべての事象が科学的に説明できるわけでもないし、死人にむち打つようにほじくり返したところで十分な証拠がそろうわけでもないし、なんでもかんでも「真相」を解明することがよいことではないのだ。
ならばいっそ、「わからない」ままにしておいて、運悪く「怪にに魅入られた」としてしまった方が、コミュニティの中では傷つく人も少なく、処理できる方法だったんだよね。
なので、非科学的と言って馬鹿にできるものではないよ。
正直なところ、根掘り葉掘り調べても故人は帰ってくるわけではないし。

一方で、割り切ってそうするのなら問題ないのだけど、オカルト的にそういう怪にとりつかれないようにはこうすべき、とかなってくるとこれはまた問題。
すでに起きてしまっている事象をどう説明するか、どう納得するか、というコンテクストで「怪」が出てくるのはかまわない。
でも、これから起きるかもしれないことも含めて「怪」の世界にからめてしまうとろくなことがないのだ。
もともと「原因不明」なものをそのように理解しよう、というお約束ごとだったので、当然「怪」での説明体系を使ったとしても防ぐことなんかできないし、仮に防げても偶然。
ところが、たまたまの成功例が変な風に喧
伝されると霊感商法的になるわけで・・・。
百害あって一利なし。
壺を買ったから防げた、壺を買っていなかったらもっとひどい目に遭っていた、なんていうのは詐欺なんだよね。

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