2021/05/29

生は高級

 本当にはやっているのかどうか実感はあまりないのだけど、高級食パンが注目を集めている、らしいのだ。
「生」食パンとかいって、いわゆるスーパーなどでも買える普及品とは差別化を図っているようなのだ。
焼成しているからこそのパンなのに、「生」とはこれいかに?
どうも、トーストしたりせずとも、そのまま厚めに切って食べるのが一番おいしい、というところが影響しているみたい。
とにかくふかふか、ふわふわでやわらかく、そして、甘みが強いのだそうで。

食パンというのは日本独自の名前で、食事用のパン、おかずと一緒に食べる主食用のパン、ということなんだよね。
で、白飯がそうだからか、日本では甘みのあるものが好まれるようで。
普通の食パンであっても、日本のものは甘みがあるのだ。
これは、パン生地に牛乳やらバター【マーガリン】やらが入っているため。
フランスパン(バゲット)なんかは厳密に、小麦粉、塩、酵母だけで作るべきことが決まっていて、多くの場合、欧米のパンではこれが基本で、日本のパンのように乳製品や油脂類は入れないんだよね。
なので、ちょっと固いし、ぱさぱさしているのだ。
唾液の量が多い欧米人にはこっちの方が合っているらしいけど。

牛乳や油脂類を入れるのは、しっとりとやわらかくなるから。
フランスパンを考えるとわかるけど、皮の部分は固くてぱりっとしているよね。
中の白いところもそこまでやわらかくはなくて、かみ応えがあるのだ。
日本の場合、玄米から白米に移行していったように、やわらかいものがお好み。
パンの耳も柔らかくしたい、パン全体をしっとりさせたい、ということで、牛乳やバターなどを入れるようになったんだって。
フランスパンはあえてこういうものをいれないことで、もちっとさせたり、さくっとさせたりしているんだけど、これは小麦に含まれるタンパク質のグルテンの効果。
うどんのコシと同じだよ。
でも、これってすなわち「かたさ」ということなので、これを緩和するのに油分がいるのだ。

グルテンは網目状に広がっていて、弾力のもと。
このグルテンの網が大きいと腰が強くなるのだ。
そこに油をあらかじめ入れておくと、グルテンの網が大きくなりづらくなるんだよね。
(グルテンは水の介在の下に大きく結合していくので、それを邪魔する油脂があると大きく育たなくなるのだ。)
結果として、ふんわりするのだ。
ただし、ふんわりさせすぎるともちっと感は逆になくなっていくので、食感があるパンの方が好きな場合は「まぜもの」が少なめなパンの方がいいわけ。

生食パンとか呼ばれる高級食パンの場合、ここに生クリームが入っているんだって!
これにより、甘みを増し、かつ、油脂も増やし、ということでより柔らかくしているのだ。
型に入れて焼き上げたときに形が崩れないくらいのぎりぎりの柔らかさに挑戦しているらしいよ。
これはトーストしてしまうと、その際だったやわらかさは目立ちにくくなるので、あえて「そのままお召し上がりください」とうたっているのだ。
厚切りを進めてくるのもやわらかさを強調するためだよ。
トーストする場合も、英国式にかりかりさくさくになるまでしっかり焼くのではなく、軽く焼き目をつけるくらい、というのも同じ。

ちなみに、牛乳の代わりに生クリームを入れる、バターやマーガリンをたっぷりめに入れる、ということさえすれば、通常よりもやわらかい食パンにはなるのだ。
高級食パンの代名詞にもなっている「乃が美」の場合は、最高級原材料を使うことで、さらに高みを目指しているんだって。
厳選されたカナダ産小麦云々とか。
いずれにせよ、糖分や油脂類は普通の食パンより多いので、カロリーもちょっとお高め。
ここは気をつけておかないとまずいよね。
ただでさえやわらかくて食べやすいとついつい食べ過ぎてしまうから・・・。

0 件のコメント: