2022/10/29

これさえあれば

最近よく「完全食」という言葉を見かけるようになったのだ。
テレビのCMでも「完全メシ」ってよくやっているし、ネット広告には「ベースフード」がかなりの高頻度で出てくる気がする。
そのむかしは、必要な栄養素を摂取するために1日に30品目食べましょう、なんてことをやっていたし、学校給食もいろんなメニューを用意しつつ、子どもの成長と発達に必要な栄養素を過不足なくとれるように、という発想なんだけどね。
どうも、現代人はいそがしいのか、効率性を重視するのか、それだけで必要十分みたいのを求めるようになっているらしいのだ。

ちまたで言われている「完全食」は、厚生労働省の策定している「日本人の食事摂取基準」にある必須栄養素を過不足なく含んでいるもの。
「過」の部分は、塩分(ナトリウム)や脂質・糖質などは取り過ぎてもダメ、ということ。
最新版は2020年版で、5年ごとに改定しているようなのだ。
そのときの最新の栄養学的知見や、生活様式の変化、運動量の変化などを加味して基準を変えているみたい。
実は、500ページ弱の大部の報告書で、単に○○の摂取目安はいくら、という表だけじゃないのだ。

でも、実際には「完全食」として売られているものは、摂取すべき栄養素が基準を満たす量入っているかどうかだけで判断しているんだけどね。
実際には、例えば鉄はビタミンCと一緒に摂取した方が吸収がよいとか、卵の白身に入っているビオチンはビタミンBの吸収を阻害するとかそういう話もあるので、単純に量的な基準を満たすだけじゃダメなはずなんだけど、そこまできちんと考慮はしていないと思う。
そういうのを気にし出すと、メニュー構成や食べ方も気にしないといけなくなるからね。

思い返してみると、最初にカロリーメイトが売り出されたとき、「完全栄養食」をうたっていたのだ。
食事をとる時間がないときでもカロリーメイトをかじれば必要な栄養素は補給できる、みたいな。
そのころはSFに出てくる「未来食」みたいな感じでウケたわけだけど、フレーバーが複数あるくらいでずっと食べ続けられるものじゃないよね。
なので、やっぱり時間がないときの臨時のしのぎみたいなイメージだったのだ。
ところが、現在売られている「完全食」のラインナップを見ると、カツ丼やラーメン、焼きそば、カレーなんかもある!
しかも、レトルトやインスタントで。
手軽に一色でおいしく栄養が過不足なくとれる、ということではやっているようなのだ。

実は、カロリーメイトの他にも、観世婦負洋食の尾明日他とかクッキーとかはあったようなんだけど、いかんせんおいしくなかったみたいなんだよね。
カロリーメイトはお菓子としてもそこそこおいしいだけにこれは致命的。
その一食で済ませるくらい食事にはそこまでこだわりがないんだろうけど、それしか食べないのにおいしくないのはきつすぎるよね・・・。
おそらく、ここに分岐点があったのだ。
手軽に食べられて、かつ、おいしい。

現在市販されているレトルトやインスタントのものは少し割高ではあるけど、実は災害に備えた備蓄品としても有用だよね。
どうしても従来品のレトルトやインスタントは栄養が偏っている、というイメージがあるし。
そう考えると、これはけっこうすごい技術革新なのかも、と思ったり。
まずはなんか買ってみようかな。

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