2022/12/31

クリスマス何食べる?

 今さらな気がするけど、日本のクリスマスではフライドチキンを食べる、というのが世界から笑われている、みたいなニュースが出たのだ。
別にそれぞれの国の事情があるんだから何を食べてもよいような気がするけど・・・。
なんでも、スペインでは、日本はクリスマスにKFCのフライドチキンを食べるんだってよ、ということで「オタク」なるセットを発売したとか。
ま、これはいいほうの「いじり」かな。
これについて、当時のKFCの社長が、「欧米ではクリスマスにチキンを食べる習慣があるとうそをついたら日本中で広まってしまった」みたいなコメントをしているんだよね。
うそというとあれだけど、バレンタインデーなんかと同じで、キャンペーンが習慣として根付くまで成功した、ということだよね。

この話が出ると、欧米でクリスマスに食べるのは七面鳥(ターキー)という話が出るのだ。
日本では元々七面鳥が手に入りにくいのでチキンになったのだ、というのとセットで。
これもおかしな話で、そもそも七面鳥を食べるのは米国の文化で、欧州には氏に米国文化が一部導入されているだけ
映画のクリスマス・キャロルなんかを見るとわかるけど、クリスマスはごちそうを食べるのであって、それは七面鳥ではなく、お金持ちはローストビーフ、そうでない人は丸焼きチキンだったりするのだ。
クリスマスケーキ(菓子)の方には英国のクリスマス・プディング、フランスのブッシュ・ド・ノエル、イタリアのパネトーネ、ドイツのシュトーレンと定番があるけど、料理はおそらくそれぞれの国のその季節に手に入るごちそうなのだ。


そもそも、古代キリスト教では、クリスマスのミサ(降誕祭)の前には「潔斎」する習慣があって、肉、卵、乳製品をとらずに質素目の食事で過ごす、という習慣があったようだよ。
復活祭前の四旬節で同じようなことを今でもやっているけど、食事制限がゆるやかなキリスト教では珍しく、この機関は食事内容を節制するのだ。
もとは「断食」だったらしいから、それでもゆるいのかもしれないけど・・・。
で、そうして食事制限をしていくので、クリスマスの日にははじめてごちそうを食べる、という図式なんだよね。
イスラム教のラマダン明けの宴と同じ。

仏教だとこういうときは菜食になるんだけど、キリスト教は魚はOKだし、ワインもOK。
パンとワインは最後の晩餐でキリストの肉と血とされているので、聖なるものでもあるのだ。
魚の方は、新約聖書マタイ福音書にある、5つのパンと2匹の魚を5000人に分けた奇跡もあるんだろうけど、もともと魚はアイコンとしてキリスト教のシンボルだったのだ。
これは、ギリシア語の「イエス・キリスト・神の・子・救世主」の頭文字をとった「ΙΧΘΥΣ(Ichthys)」から来ているんだ。
このため、キリスト教で正餐は魚料理で、そこにパンとワインがつくんだけど、実際に宗教画を見ると、多くの場合魚料理+パン+ワインであることが多いよ。

では、なぜ七面鳥が出てくるのか。
これはキリスト教徒は全く関係ない、米大陸へ渡った初期の移民、ピルグリム・ファーザースの話なのだ。
米大陸に渡ってきたのはよいものの、慣れない土地での暮らしに困窮を重ね、まさに飢えるというとき、先住民のネイティブ・アメリカンから七面鳥を贈られ、飢えをしのいだ、というのが由来。
これが感謝祭(Thanks Giving)につながっているんだけど、感謝祭なら七面鳥を食べる意味があるのだ。
ところが、ここから、何かと記念日に七面鳥を食べる習慣が北米地域で生まれ、それがクリスマスにも適用された結果、米国ではクリスマスの提案が七面鳥になったのだ。
前月の感謝祭でも食べているのに!
なので、そういう意味では、クリスマスに七面鳥を食べること自体にはそこまで深い意味はないので、チキンを食べる日本が笑われるようないわれはないんだよね。
それぞれ好きなもの食べたらいいんだよ。

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