2017/02/25

21世紀の花金

いよいよ「プレミアムフライデー」が始まったのだ!
「ゆうかつ」に引き続き、安倍政権の働き方改革の一環として打ち出されたわけだけど・・・。
どうなるだろうね?
下馬評は必ずしもよくないし、どこまで効果が見込めるのか、というか、本当に実施できるのか、というのが問題のような気もするけど。
これが普通にできるようになれば、もともと博物館・美術館の多くが金曜日は遅くまで空いていたりするし、金曜を移動日に使って土日に旅行を楽しめるしで、レジャー関係には追い風なはず。
でも、「ゆうかつ」もそこまで大成功という感じじゃないからね(>o<)

もともとの問題は、日本人は休みも取らないし、残業も多いという勤務形態。
でも、実は祝日の数だけを見ると、日本は世界でもかなり多い方!
「山の日」も増えて年間16日もあるので、これはトップクラスの多さなのだ。
(欧米はだいたいが10日くらい。)
とれないとはいえ、年間で20日間の有給休暇も認められるし、本来は36協定もあるので、制度上はきちんとしているのだ。
なので、問題は、働き方の意識の方なんだよね。
そう、休む権利を持っているのに休まない(休めない)のが問題なので、こういうイニシアティブをはじめても、きちんと15:00で仕事を終えて帰るとは考えづらいし、まさに、世間でもそう思われているよね。

この関係で行くと、日本の祝日制度にある「ハッピーマンデー」というのも、欧米から見るととても不思議な制度に見えるようなのだ。
つまり、火曜とか木曜に祝日があれば、月曜や金曜に休暇を取って4連休にする、というのが欧米式の考え方で、なぜ祝日を月曜日に移動して3連休を作り出すのかがわからないんだって。
自由に休みが取れる社会であればおっしゃるとおりなんだけど、日本の場合、祝日なら休めるけど・・・、という人が多いので、歓迎されるんだよね。
まさに、この制度があること自体がワーカホリックの象徴なのだ(笑)
その祝日ですら返上で働いて、さらに、代休も取れなくて、なんて話もよくあるから、これはもう社会全体で意識を変えていかないといけない問題だと思うよ。

さらに、今年は運悪く、祝日が土曜日に当たることが多い年。
そして、ゴールデンウィークも、昭和の日が土曜に当たってしまうため、連休は短め。
というわけで、嘆いている人が多いわけだけど、これも欧米の人からしたら、だったら自分で休みを取ればいいじゃない、というだけの話なんだよね。
そもそも日本では夏期休暇も1~2週間というのが普通で、中にはお盆に3日間とか、全くとれないなんてのも。
一方で、欧米はバカンスと称して数週間。
これだけ休みに対する意識の差があるのは事実。

でも、欧米の人たちから見ると、日本の働き方は、休みも取らないからリフレッシュされないし、終期を明確に決めずにだらだらと残業して効率が悪い、と見ているみたい。
確かにそういう面もあるにはあるんだよね。
慢性的なマンパワー不足で仕事が回らないというけど、だったら、仕事の量を減らすように業務改善するか、マンパワーを増やす、ということを考えるのが欧米式のスタンダード。
今いる人員で業務の内容・量も変えずになんとかしよう、というのは毒されている日本の考え方なのだ(笑)
ここが解決できれば、プレミアムフライデーとか言わなくてもすむんだよね。

でも、これは一朝一夕には解決しない問題であるのも事実。
男女共同参画の話題でも問題になることだけど、まずは「affirmative action」として強制的にそういう状況を作り出して、「既成事実」としてそういう制度を根付かせてしまう、というのもやり方ではあるのだ。
でも、そのためには、表面上うまいことデータを集めて効果があったとごまかすんじゃなくて、少数であっても、きちんと実行して意味があったという例を積み上げていく必要があるんだよね。
というわけで、きっと批判は多いけど、とにかくやってみることが大事かもしれないのだ。

2017/02/18

シャワーの水をやわらかく

フランスの水道水は硬水。
とにかくカルシウムが多いのだ。
で、水滴を拭き取らないと白い点々が残るくらいならいいんだけど、洗濯物もごわごわになるし、髪を洗った後に髪の毛もごわごわになるのだ(>_<)
ボクはまだ髪が短いからましだけど、髪が長い女の人にはけっこうきついみたいだよ。
もともと毛が柔らかいブロンドの毛だと問題ないのかな?

これについて調べてみると、世の中には「軟水化シャワー」なるものがあることがわかったのだ。
シャワーヘッドにカートリッジがついていて、出てくる水が軟水になるんだって!
どうも、これで髪を洗うと髪がごわごわにならないらしい。
ちょっと魅力的だよね。
で、実は日本の会社の製品がドイツで作られていて、欧州域内には配達してくれるみたいなんだよね。
でも、それとはまた別に、Bioの店で売られているものもあると聞いたので、近所のBio専門店に見に行ってみたんだ。
そこにあったのは、バクテリアやトリクロロメタンを取り除くというカートリッジ付のシャワーヘッド!
でも、これでも水は軟水化されるそうな・・・。

自分なりに考えてみたんだけど、確かに主目的ではないにせよ、カルシウムイオンが除去されるかもしれないんだよね。
というのも、この浄水器型のシャワーヘッドは、逆浸透膜を使っているようで、それにより水道水中の塩化物イオンなどを取り除く仕組みのようなのだ。
するt、電気的に中立でないと困るので、マイナスの電荷を持つ塩化物イオンとともに、プラスの電荷を持つイオンが同時に取り除かれるはず。
とすると、水道水中に多量に含まれるカルシウムイオンがそれに該当することになるのだ。
なので、カルシウム除去が目的じゃないにしても、毛かとしてカルシウムが取り除かれて、軟水化されてもおかしくないのだ!

ちなみに、逆浸透膜というのはとてもとても目の細かい穴の空いた膜で、水分子はその穴を通れるけど、プラスやマイナスの電荷を持つイオンは通さないというもの。
イオンそのものの大きさは水分子とさほど変わらないものもあるのだけど、通常は水中ではイオンの周りに水分子がまとわりついている状態(水和)で安定しているので、穴を通れないのだ。
この逆浸透膜で濃度の異なる水溶液を仕切ると、濃度が均一になるように濃度が高い方から低い方に水分子だけが移動するんだよね。
このときの「濃度」というのは、必ずしも同じ物質が溶けている必要はなくて、いわゆる「浸透圧」が均一になるように水が移動するのだ。
結果として、もともと濃度が濃かった方は液量が増えて、薄かった方は液量が減るわけ。
なので、水溶液の高さが逆浸透膜の両側で変わることになるのだ。

これは浸透圧の違いで自然にそうなるんだけど、逆に、外から加圧してあげると、逆浸透膜の両側で濃度の異なる水溶液を作ることができるのだ。
つまり、圧力を外から加えると、その分の浸透圧を押し返させるので、それに見合った濃度差が作れて、水分子だけを圧力がかかっていない方に移動させあれるのだ。
この原理を使っているのが、逆浸透膜を利用した濾過装置。
シャワーヘッドや蛇口に装着するカートリッジの場合、水道のもともとの水圧を使っているわけ。
もちろん、使っているとどんどんカートリッジ内にはイオンがたまってしまう(=浸透圧がそれだけ大きくなる)ので、水道の水圧だけでは濾過できなくなるので、定期的に交換する必要があるよ。
フィルターの目詰まりみたいなものだよね。

というわけで、化学的に考えてみると、普通のシャワー装着型浄水器でも水は軟水になりそうなのだ。
実際にそういう体験談もあるし、試してみる価値はあるかも。
あとは、もともと軟水化をうたっているものと比べて、メンテナンス費用でどっちがお得かだね。

2017/02/11

定期的に入れ替えよう

職場で備蓄食料の入れ替えがあったんだよね。
どんなものが備蓄されているのかはまったくしらなかったんだけど、古くなったものでまだ消費期限が来ていないものは「御自由にお持ち下さい」となったので、どういうものがあったのかそこではじめてわかったのだ。
実際に出てきたものは・・・。
缶詰!
ミートソースのラビオリと、ほうれん草、それにシュークルーと(酢漬けキャベツの煮たもの)。
日本だともっといろんなものがあったけど、フランスだとそんなに日持ちするような食料品がないのかなぁ・・・。

そもそも長期保存可能な食品としてナポレオン時代に瓶詰めが発明されたんだよね。
ナポレオンは長期遠征をしたので必要だったのだ。
同時期に発明されたのがブランデー。
これも長距離持ち運べるようにとの工夫。
でも、便だと割れる危険があるし、重いので、やはり携行には不便な点も多かったのだ。
これに対し、英国で缶詰が発明されたんだよね。
ガラス瓶より丈夫な金属の容器に入れる、というものだったんだけど。
そうして、便利な缶詰はその後いろんな工夫がなされ、様々な食品が長期保存できるようになったのだ。
今では缶切りが不要なものが主流になりつつあるよね。

缶詰は、中身を詰めて密封してから加熱加圧滅菌するので、保存性はきわめて高く、通常は数年はもつのだ。
普通のものでも2~3年。
長いものだと5年以上。
入れ物自体が頑丈で積み重ねられるので、備蓄食料として保存するには適しているんだよね。
ただし、缶詰はどうしても製造工程上熱を通す必要があるので、たいていは蒸したもの・煮たものになってしまい、味が単調になりがちなのだ。
たまに食べるのはいいにしても、非常時に毎食食べるにはちょっときついものがあるよね・・・。

日本では、伝統的には塩漬けや乾物が備蓄食料として食べられてきたのだ。
この延長線上にあるのが先の大戦時に普及したアルファ化米。
もともとは伊勢物語の「東下り」にも出てくる「糒(ほしいい)」で、米を炊いてから乾燥したもの。
むかしは天日干しだったので、水でふやかして戻しても炊いたお米とは別物だったんだけど、アルファ化米はお湯で戻すと炊きたてとはいかないまでも、そこそこのごはんが食べられる代物なのだ。
戦後も非常食やレジャー(特に山登り)の携行品として重宝されたんだよね。
この発想の少し先にあるのは即席麺。
乾燥した麺をお湯で戻すわけだけど、カップ麺ならお湯を注ぐだけでできるし、けっこうおいしいので、多くの家庭では非常食として備蓄されているのだ。
ただし、カップ麺の賞味期限は6ヶ月と意外に短く、消費期限で考えても1年は越えないので、備蓄食料という点で保存性に劣るものなのだ(>_<)

ところが、非常時にはそのお湯さえも手に入らないことが多いんだよね・・・。
なので、伝統的な乾パンなんかが備蓄食料としては重要なのだ。
最近では、密閉缶に詰められてより保存期間が長くなったものもあるよ。
似たようなもので、コアラのマーチとか、食パンの缶もあるのだ。
フランスでもこういうのがあるとよいのだけど、バゲットでもクロワッサンでもこだわりが強いから難しいのかな・・・。

お湯がなくてもなんとかなるものとしては、レトルト食品があるのだ。
もともとは米陸軍の携行食品の保存性を高める技術として開発されたものなんだけど、アポロ計画で宇宙食に採用されて一気に注目度が上がったのだ。
ところが、米国では巨大な冷蔵庫が普及していて、冷凍食品を使うことが多かったので、米国ではあまり発展せず、日本で発展することになるのだ。
ボンカレーは山登りのともとしておなじみだけど、今では様々なレトルト食品があるよね。
温めた方がおいしいけど、非常食として売られているものは温めなくてもおいしく食べられる、というものもあるよ。
そして、アルファ化米がいまいち好きになれないという人のために、パックごはんもあるのだ。
ごはんはデンプンが糊化して固くなっているのでさすがに温めないと食べづらいとは思うけど・・・。
レトルトの場合は缶詰ほどではないにせよ、1~2年は保存できるので、備蓄するにはカップ麺より優秀なのだ。

さらに最近の技術として出てきているのはフリーズドライ。
これも宇宙食で採用されて注目を集めたものだけど、普通の乾燥食品よりおいしくもどせるんだよね。
お湯さえあればおいしく食べられるし、保存性も高いのが魅力なのだ。
何より、コンパクトで軽量にできるので、携行性が高いんだよね。
そういう意味では、備蓄するというより、お湯が手に入る状況での携行食としての方がその真価が発揮できるのだけど。
でも、ごはんがあればお味噌汁もほしいところで、フリーズドライのお味噌汁はなかなか魅力的なのだ(笑)

いずれにしても、やっぱり消費期限はあって、永遠に保存できるものではないので、備蓄をしつつ、保存期間をチェックしながら古くなったものは入れ替えていくのが大事なんだろうね。
でも、入れ替えるときに古いものは消費することになるから、やっぱりおいしく食べられることも大事そうなのだ(笑)
そうでないと、そもそも備蓄をしなくなってしまうんだよね。

2017/02/04

日本では顧みられない乳

フランスは乳製品大国なのだ!
チーズやヨーグルトの種類が豊富でおいしい♪
そして、バターも手作りのものが売ってたりする。
で、我が家でも、手作りバターを買ってみたのだ。
こういうバターは、伝統的な製法で作られているんだって。

バターは、革袋に入れていた牛乳が揺られて自然に脂肪分が固まったのを取り出したのが最初と言われるけど、原理的にはまさにこれなのだ。
伝統的な作り方としては、生乳を温めて低温殺菌し、しばらく静置するのだ。
すると、乳脂肪分を多く含んだ「クリーム」が浮いてくるんだよね。
このクリームをすくい取って、密閉できる容器に入れ、よく振って攪拌すると、中の脂肪分がかたまり出すんだ。
これをい絞ってあげて固形分だけを取り出したのがバター。
有塩バターの場合は、固形分を取り出した後に塩を混ぜるのだけど、そうすることで、保存性が高まり、バターの風味もよくなるんだって。

で、このクリームの中から脂肪分を取り出す過程で、あらかじめクリームを発酵させてから取り出したのが発酵バター。
ヨーグルトと同じで木の枝でかき回したりするとそこから自然に乳酸菌が入って、冷ましながら半日くらい置いておくと中で発酵が進み、乳糖が分解されて乳酸になるのだ。
すると、クリームの液中のpHが下がって弱酸性になるんだけど、そうなるとカゼインなどの乳タンパクが凝集して核ができて、乳脂肪がまとまりやすくなるみたい。
ちなみに、ホモジナイズドされた牛乳だと脂肪分が均質化されて固まらないようになっているので、バターの原料にはできないよ。
で、発効クリームから固形分(=発酵バター)を取り出した後に残るのが、伝統的なバターミルク。
脂肪分が少なく、発酵過程を経ているので乳糖が少なめで乳酸があるのでさわやかな酸味があるものだよ。
脱脂乳との違いは、脂肪分が少しは残っているのと、乳糖が少なく、乳酸由来の酸味があること。

欧米ではかなりポピュラーな乳製品だそうで、さわやかな酸味があるので製菓材料などにも使われるみたい。
ただし、伝統的な製法があまり行われなくなってきているので、この伝統的バターミルクはあまり見られなくなっているみたい。
現在の工業的製造法では、あらかじめクリームを発酵させずに脂肪分を取り出すので(無発酵バター)、ここからできる液性残渣は限りなく脱脂乳に近い存在になるんだよね。
でも、わざわざそこに乳酸菌を足し、「培養バターミルク」なるものが欧米では製造されているようなのだ。
これが欧米でよく売られているバターミルクらしいよ。
ビタミンやミネラルが豊富でカロリーが低く、乳酸が多いので消化にもよい、というすぐれた乳製品で、日本人のように乳糖不耐症がある人にも安心して食べられるのだ。
ところが、このバターミルクはほとんど日本では流通していないんだ!
バターミルクから水分を除いたバターミルクパウダーはあるみたいなんだけど。

その理由はネットで調べるといろいろと出てくるんだけど、ひとつの要因となっていそうなのは、「加工原料乳生産者補給金等暫定措置法(昭和40年法律第112号)に基づく、「加工原料乳生産者補給金制度」というもの。
チーズやバターの原料となる加工原料乳というのは、いわゆる牛乳に加工される生乳より取引価格が安いので、これらの製品の安定供給のため、独立行政法人農畜産業振興機構が加工原料乳の生産者に補給金を出す、というものなのだ。
で、この補給金が出る対象は「指定乳製品」として決まっていて、脱脂粉乳やバター、チーズは入っているんだけど、バターミルクは入っていないんだ。
だからバターミルクが製造できないというわけじゃないんだけど、バターミルクは生産しても補給金が出ないので、生産するインセンティブが低くなるわけ。
バターの副産物とはいえ、製品として流通させるにはそれなりの設備が必要だけど、日本でもともとなじみもないものなので、そこまでの投資は割に合わない、ということなんだと思われるのだ。

今の健康ブームの流れでは、売れそうな気がするんだけどなぁ。
バターミルクという名称だと、むしろ普通の牛乳より脂肪分が多くて、カロリーが高いようなイメージではあるんだけど(笑)
チーズの副産物である乳清(ホエー)は見直されているから、バターミルクもいつか日の目を見る機会が来るんじゃないかな。
とりあえず、フランスでは売っているので、一度買ってみよう。

2017/01/28

じゅーそーの力

パリでは洗濯をしていくと、白い布が灰色になってくると言われているのだ。
どうも硬水のせいのようで、やっぱりカルシウムが邪魔しているようなのだ・・・。
つくづく悪者だなぁ(笑)
量的にはそこまで多いような気もしないんだけど、少しの差で違いが出るものだ!

このカルシウムがどう悪さをしているのかよくはわからないのだけど、ちまたで言われているのは、衣類から洗剤で剥離された汚れ特ついて石けんかすのようなものになり、それが繊維の間に入り込んでとれなくなる、というもの。
たぶん、洗濯物がごわごわになるのもこのせいなのだ。
軟水の場合、カルシウムの絶対量が少ないので、ごくごく微量にこういうのができていたしても問題にならないのだけど、カルシウムの量が多くなれば無視できないということなんだよね。
水滴を放っておくと白い結晶が残るような水だから、仕方ないのかも。

この「石けんかす」のようなものは、おそらく脂肪酸カルシウムなのだ。
水溶性の汚れはすぐに洗濯に使っている水に希釈されてしまうので問題にならないのだけど、皮脂や食べこぼしのような油汚れは洗剤の界面活性作用で衣類からはがされた後は、水に溶けないので小さな粒で洗濯水の中を漂っている状態なのだ。
ちょうどドレッシングを混ぜたような懸濁状態だよ。
で、この油が炭酸水素カルシウムとして水に溶けているカルシウムイオンに出会うと、脂肪酸カルシウムができるのだけど、この脂肪酸カルシウムはほとんど水に溶けないんだよね。
つまり、微粒子の沈殿ができるわけ。
これが繊維の間に入り込むのだ。

ちなみに、洗剤の中の界面活性剤もカルシウムと反応して沈殿しちゃうんだよね。
なので、泡立ちが悪くなるわけ。
これを防ぐためにお酢を入れてあげると、お酢の中のクエン酸や酢酸と先に反応して、水によく溶けるクエン酸カルシウムや酢酸カルシウムになるので、洗剤の界面活性作用を邪魔しなくなるんだよね。
洗濯した後のごわごわも多少解決するのだけど、これもカルシウムを水に溶ける形で取り除いてくれるからなのだ。
硬水で洗濯する場合、洗剤の洗浄力がカルシウムのせいで下がるので、高温で洗うことになるんだけど、そうすると、水中の炭酸ガスが抜けて水に溶けにくい炭酸カルシウムができてやっぱり沈殿ができるんだよね。
これはごわごわのもとになるのだ(>_<)
でも、お酢だけだとやっぱり灰色にはなっていくみたい・・・。

灰色化をを防ぐには、脂肪酸カルシウムができないようにすればいいわけ。
ひとつは、カルゴンのようなカルシウム除去剤を使えばいいのだけど、もっと簡単で安上がりなのは、重曹を使う方法。
重曹は炭酸水素ナトリウムだけど、ナトリウムはカルシウムよりイオン化傾向が小さいので、より脂肪酸とくっついて塩を作りやすいのだ。
すると、脂肪酸カルシウムの代わりに脂肪酸ナトリウムができるのだけど、こっちは水に溶ける場合が多いんだよね。
なので、繊維の中に残る微少な沈殿物がすくなくなるわけ。

というわけで、おありではお酢+重曹を追加して洗濯するとよいみたいなのだ。
うちではこれまでお酢しか使っていなかったので、これから重曹を使うようになると変わるかな?
変わるとよいのだけど。

2017/01/21

アフリカ一の料理

出張でセネガルの首都ダカールに行ったのだ。
アフリカ大陸は初体験!
セネガルと言われても、正直パリ・ダカールラリーの印象しかなかったんだよね。
で、いろいろと調べてみると、アフリカの中でも比較的治安がよい国だというのと、セネガル料理はアフリカ料理の中でももっとも洗練されている、とあったのだ。
なので、ちょっと食事は楽しみだったんだよね。

ダカールは比較的乾燥しているんだけど、セネガルには降水量が多い地域(南の方)があって、そこでは昔から稲作が行われてきていたんだって。
なので、セネガルでは米が主食として食べられているようなのだ。
そんなセネガルの米料理の中でも、ナショナル・ディッシュとまで言われるのが、魚の炊き込みごはんであるチェブジェン。
チェブが米で、ジェンが魚なので、「魚ごはん」というそのままの名前だよ(笑)

でも、作り方は割とこっていて、まず、大量の落花生油で魚と野菜を炒め、トマトのみじん切りやトマトピューレを加えるのだ。
そこに大量の野菜と水を投入し、スープを作るんだって。
このとき、鍋の上に「こしき」を置き、その中に米を入れておいて米を蒸すのだ。
スープの具材がいい感じで煮えたところで魚や野菜などの具材を取り出し、代わりに米を入れて水分がなくなるまで炊きあげるんだ。
盛り付けるときに炊きあげた米の上にさっきの具材を載せてできあがり。
できあがりはパエリア風だよ。

日本人からするとちょっと油が多いかな、というところなんだけど、スープに魚と野菜の出汁が出ていて、それが米にしみているので、日本人にはよく好まれる味と言われるよ。
特に、セネガルには魚の干物のような食材もあるので、なじみやすいそうだよ。
セネガルで魚がよく食べられるのは、大西洋に面しているのとともに、大きなセネガル川があったりするからみたい。
独特の臭気のある巻き貝の干し貝柱も料理に使われるんだって。
こういうところも日本の感覚に近いかも。

もともとセネガルに住んでいたウォロフ族の食文化に、11世紀に入ってきたイスラム文化が混ざり、さらにそこに大航海時代に欧州の文化が入ってきたのだ。
特に、植民地にしていたフランスの影響は大きいみたいで、朝食には、バゲットにセネガルの総菜を挟むサンドイッチを食べるらしいよ。
悲しいことに、セネガルは奴隷貿易の拠点でもあったので、セネガルから多くの黒人が新大陸へと送られたようなのだ。
その際、食文化も一緒に輸出されたそうだよ。
で、チェブジェンの魚が肉に変わった「肉ごはん(チェブヤップ)」が米大陸で作られるようになり、それが今の「ジョロフライス」という料理として米国に残っているのだ。
ジョロフライスは米国でもっともポピュラーなアフリカ料理なんだって。

日本のイメージで言うと、アフリカ料理と言えばクスクスみたいなところがあるけど、米料理もあるんだねぇ。
やっぱりこういうのは行ってみて、食べてみないとわからないものだ。
今回は残念ながらチェブジェンは食べられなかったんだけど、一応他のセネガル料理は食べてみたのだ(焼き魚にタマネギとトマトのソースをかけたやつなど)。
やっぱり現地のものを食べるっておもしろいよね。

2017/01/14

しわとしわをあわせて?

お正月と言えばおせち料理。
で、このおせち料理で衝撃的な発言を知ったのだ。
それは、おせち料理の黒豆のに方について。
黒豆と言えば、いかにしわが寄らずに柔らかく煮えるか、ということで、ネット上にも様々な情報・レシピが載っているけど、中でも有名なのは、料理研究家の土井勝さんが15年かけて考案したという「土井式」。
これは簡便につるつるの黒豆が作れると評判なのだ!
ところが、この「土井式」について、土井勝さんの息子さんで、やはり料理研究家の土井善晴さんが衝撃的な発言をしていたのだ。

つまり、もともと黒豆は「しわが寄るまでまめに働く」という縁起物だから、しわがない黒豆はよくない、と、土井勝さんのお母さんは言っていた、ということ。
確かに、調べてみると、地方によってはむしろしわの寄った黒豆を食べることもあるみたい。
ということは、苦労せずとも、工夫せずとも、普通に柔らかくなるまで黒豆は煮とけばよかったってこと?
15年かけたレシピが自分の母親に否定されていたとは・・・。

現在のおせち料理自体は、江戸時代に徐々に形になってきて、明治以降に形式化したものなんだって。
そもそもお重に詰めて、というのが明治以降の話で、江戸時代はお膳に載せた料理とお重に詰めた料理の両方があったみたい。
明治以降の様式が「日本の伝統」と認識されている例の一つだね。
縁起物や語呂合わせも江戸時代考案のもののようだよ。
もちろん、古来から祝い用の料理とかはあって、当然ながらその流れも合流しているとは思うんだけど。

黒豆については、江戸の高級料亭「八百善」が考案したものと言われているようなのだ。
だとすると、やはり最初はしわがなく、きれいなつるっとした煮豆だったのでは・・・。
おそらく、それが庶民に浸透していく過程で、料理屋のようにしわなく煮ることが難しいので、「むしろしわがあった方が」ということになった可能性もあるよね。
むしろその方が理屈は通ってる(笑)

むかしながらの作り方だと、まず黒豆をやわらかく煮て、それを甘い糖蜜に浸して味を含ませるようなのだ。
徐々に糖蜜の濃度を上げて、濃い糖蜜に浸していくんだって。
この方法だと、どうしても1週間くらいかかるんだよね・・・。
それが、「土井式」では2日間でできるのだ。
ま、これも今となっては手間がかかる、ということかもしれないけど。

黒豆にしわが入る原因はいくつかあって、ひとつは急に浸透圧の高い液につけると、豆から水分を奪ってしまうので、しわができてしまうというもの。
なので、むかしながらの製法では徐々に濃い糖蜜にしていくという行程だったのだ。
ところが、「土井式」では、最初に煮汁を作ってしまって、乾燥した黒豆をそれでもどすんだよね。
そうると、煮汁は豆に染みていくだけで、水分を奪っていくことはないのだ。
さらに、煮汁が熱いうちに豆を入れることで、さらに染み込みの早さを加速しているんだ。
これで一晩放置すると、甘い煮汁で戻された黒豆ができるわけ。

今度はこれをやわらかく煮るんだけど、「土井式」では、弱火でじっくりと8時間くらいかけて煮るのだ。
考案された当初は石油ストーブも多く使われていたので、石油ストーブに載せておくということだったみたい。
このとき、煮汁は豆がひたひたになるくらいに常にキープする必要があって、水分が少なくなってきたら熱湯を足すのだ。
豆にしわが寄る第二の原因として、急激な温度変化があるんだよね。
なので、水分補給には水を差したりしないわけ。
また、沸騰させずに弱火でことこと煮込むというのも、沸騰させてしまうと豆の表面が空気に触れる可能性が出てきてしまうから。

というわけで、「土井式」は本当によく考えられらレシピなんだよね。
ところが、現在では黒豆は正直あまり人気のない料理・・・。
ボクは割と黒豆は好きなんだけどなぁ。