2019/06/15

フランスの子供がもらってくるもの

日本ではもうほとんど聞くことはないけど、フランスでは普通に子供の間に「シラミ」が流行るらしいのだ!
ウィキペディアで見ても、「先進諸国ではDDTなどの有機塩素系殺虫剤の使用によってその発生は激減した」とあるんだけど、フランスって先進国じゃなかったんでしたっけ?
子供のいる人に聞くと、普通に「シラミ発生中」というお知らせが学校から配布されるらしいし、テレビでもシラミとりシャンプーのCMを普通にやっているし。
フランスではまだ当たり前のもののようなのだ。
日本だと戦後すぐはひどかったようだけど、高度経済成長期以降はほぼ見ることがなくなっているのに・・・。

ヒトにつく「シラミ」は大きく2種類あって、ヒトジラミとケジラミ。
ヒトジラミはさらに2つに分かれて、主に頭髪につくアタマジラミと衣服につくコロモジラミがいるみたい。
ケジラミは性感染症でもあるから、不衛生な性的交渉でもらってきたりすることがあるんだよね・・・。
これは海外でそういうすることをする人が出てきていることなんかもあって、日本でも感染者が増えているみたい。
ヒトジラミの方はまず聞かないんだけど。

それもそのはずで、ヒトジラミの方は、毎日お風呂に入って頭を洗い、服も毎日交換してきれいに洗濯していれば防げるらしいのだ。
飲みの場合はヒトから多少離れても生活できるんだけど、シラミはヒトから離れては生活できないので、公衆衛生が改善されると自然と大流行はしなくなるんだよ。
日本でも戦後すぐは衛生上の問題が大きかったので学校でシラミ対策(今から考えるとすごいけど、頭にDDTを振りかけるなど)が行われたけど、それが改善されるとごくたまに感染者が出てくる程度になったのだ。
でも、フランスの場合は、毎日シャワーすら浴びない人も多いし、洗濯もあやしいからなぁ・・・。
それが原因か(笑)

子供たちの間で問題になるのはアタマジラミ。
感染して吸血されると無性にかゆくなるのだ。
で、頭をぼさぼさかくんだけど、その際に頭皮を傷つけてしまって血が出ることも。
そこから細菌の感染もあったりするので、けっこうまずいのだ。
そこで、殺虫剤入りのシラミとりシャンプーで駆除する必要があるのだ。
むかしむかしはまさに物理的にシラミを指などでとってつぶしたわけだけど、これが「しらみつぶし」の語源。
でも、到底取り切ることはできないので、今は普通に駆除剤を使うのだ。
ちなみに、コロモジラミの方はいったん衣服を煮沸消毒すればそこについているシラミは完全に駆逐で着るみたいだよ。
後は清潔な衣服を着るだけでよいのだ。

問題の感染経路だけど、フランスではよく「プールでもらってくる」と言われているみたい。
そのため、夏がシラミ対策のホットシーズンで、シラミとりシャンプーのCMも夏によく見るのだ。
でも、水を介しての感染はまず心配しなくてよいレベル。
もともと昆虫だしね。
問題は、タオルや水泳帽の貸し借りみたい。
キャンプでもうつされるというから、感染経路は同じようなものだろうね。
とにかく、シラミに感染した子が一人でもいたら、気をつけないといけないのだ。
その子が頭をかいた後に触ったものにはシラミやその卵が付着している可能性があるので、それは避けないといけないんだよね。
ま、学校じゃそういうのは無理だろうけど。

こういう話を聞くと、フランスの公共施設は使いたくなくなるよね(笑)
ま、地下鉄でさえ汚いから、もともと使う気もあまりないのだけど。
先進国の一因として、もう少し公衆衛生の概念を持ってほしいよ。
とにかく、毎日お風呂に入って清潔にしてほしい!

2019/06/08

でる前にはじく

最近「不良品」という言葉がちまたをにぎわせているね・・・。
どうしても出てきてしまうものだから、それをどうするかを考えなきゃいけない、と。
で、本来的な意味において、これは製造業における大きな課題なのだ。
できるだけ「不良品」がでないようにする、でも、そうしても確率的に出てくるので、それを流通に乗せる前に事前にはじくようにする、さらに、そのチェックもすり抜けてしまうやつがいるので、製品の品質保証をする、とたいていは三段階。

最初の段階の、「不良品」がでないようにする、というのは確かにそうなんだけど、実は、コストとの兼ね合いなんだよね。
粗製濫造であっても大量に安く作って、その中から「使えるもの」だけ選んだ方が安くつくこともあるのだ。
ある程度の工夫は必要なんだろうけど、どこまでお金をかけて精度を高めたとしても、完璧にエラーをなくすことは不可能なので、多かれ少なかれ、どこかで妥協することが大事なのだ。
そのときに重要になってくるのが「歩留まり」という概念。
できた製品のうち、「不良品」を引いたもので、通常は百分率で表すのだ。
歩留まり95%で10倍のお金がかかるのと、歩留まり80%で1/10のお金で済むのとでどっちを選ぶのか、みたいな感じ。

伝統的には、鋳造品なんかがわかりやすいんだけど、型に溶融させて金属を流し込んでねじや歯車を作ったりする場合、どうしても空気が入り込んだり、十分に金属が流し込めなかったりして「欠けた」ものができるのだ。
こういうわかりやすいやつだと、ほぼ見た目でできているか、できていないか判断できるんだよね。
実際には、中空になっていないか、などを調べるため、打検といってたたいて反響音を調べたり、重量を量って中まで詰まっているか確かめた理が必要なんだけど。
それでも、これくらいの検査ならかなり楽にできるのだ。
なので、こういうのは多少歩留まりが悪くても、早く安く作れるような製造方法が適しているわけ。

一方で、例えば半導体などのような製品だと、実際に電子材料として使ってみるまできちんとできているかどうかがわかりづらいものもあるんだよね・・・。
決勝レベルときちんとドーピングができているかどうかが性能の鍵になるから。
なので、こういうやつはできた半導体の一部をサンプリングして、実際に半導体としてきちんと性能を有しているかどうかを試験する必要があるのだ。
これにはそれなりの設備やコストがかかるし、全数検査もできないので、やっぱり最初にいかに品質が高いものを作れるか、というところにフォーカスした方がよいんだよね。
検査は「最終的にできていることを確認する」といった位置づけにして。
歩留まりを高めるには、より高い目標値を設定して製造して、実際の品質基準はもう少し低めのもので良品・非良品を判断する、というやりかたもあるよ。
いわゆる「高いタマを投げる」というやつだね(笑)

これを逆に利用して、たくさん製造する中で、規格外のもの、基準を満たさないものを不良品、基準を満たしているものを良品、特に優れたできになっているものを超優良品として更に別に分けることもあるのだ。
下手な鉄砲数打ちゃ当たる、で、千三つでいいものもできてくるので、それは別扱いにしようというもの。
半導体のようなものではそういうことはないけど、例えば、金属を磨いて鏡面を作る、みたいなものの場合、そもそも鏡面に大きなゆがみがあったり、くすみがあるようなものは不良品、普通に鏡面ができているものが良品、課なら胃高い精度でゆがみのない鏡面ができているのが超優良品、といった感じ。
良品は普通の材料として使われるだけだけど、超優良品は高い精度の求められる精密機械に回したりするのだ。
ロケットの部品なんかの場合だと、一品ものでそういうグレードの製品を職人技で作り上げていく必要があるんだけど、ある程度の量の需要があってそこまでお金がかけられないものなんかの場合は、こういうやり方を使うと効率的になるのだ。

というわけで、こういう良品・不良品の選別みたいな話は、その用途やコスト・時間の制約などでやり方が大きく違ってくるわけ。
単純に人の育て方には当てはめられないものなんだよね。
ものはもの、人は人ってことで。

2019/06/01

使い方いろいろ

現役官僚が覚醒剤と大麻の不法所持で逮捕されたのだ・・・。
職場が家宅捜索されて、机の引き出しの中から注射器が見つかったとか。
っていうか、職場で「キメ」てたの?
なんだかすごい話だよね。

覚醒剤って、いろんな形のものがあって、摂取の方法も様々みたい。
よくテレビドラマとかで見るのは白い粉だよね。
そのほか、粒の大きな結晶もあるし、カフェインなどもまざった錠剤になったもの、注射ですぐ打てるように水溶液になっているものなどなど。
どうも、摂取の仕方で「キマリ」方に差が出てくるようで、いろんな形態があるみたい。
でも、これは覚醒剤だけじゃなくて、薬物一般でそうなのだ。
市販薬でも病院で処方される薬でも、錠剤やら塗り薬やらいろいろあるよね。
あれは服用の仕方によって薬の効き方に差が出るからなのだ。

もっとも一般的なのは、「飲み薬」。
経口投与というやつで、錠剤になっていたり、カプセルに入っていたり、或いは、シロップ状だったりとこれもいろんなものがあるのだ。
でも、どれも口から摂取して胃から腸へ行く間に吸収されるものなのだ。
食前や食後に水で飲むだけでもっとも単純な摂取方法なので、原則としてこの形態が好まれるのだけど、欠点もあるんだよね。
その一つは、酸性条件下で分解されてしまうような薬剤には使えないということ。
胃を通るときにどうしても胃酸の影響を受けるので、酸で分解される薬は飲み薬にできないのだ。

もうひとつは、薬物の代謝の問題。
腸管から吸収された薬物は門脈という静脈に入って、まずは肝臓に送られるのだ。
肝臓は解毒の役割を担っているんだけど、薬物を分解する酵素をたくさん持っているところ。
ここでせっかく吸収された薬物が分解されことになるんだよね。
分解される分を織り込んで大量に服用すればいい、というときはそれでもいいんだけど、薬物の微妙な差で効果に大きな差が出る場合(例えば、少しでも多いと副作用が強く出るとか)は、この不確定要素は排除したいのだ。
こういうときは「飲み薬」にできないんだよね。
何より、錠剤などの「飲み薬」に適した形態にできない薬物(例えば油にしか溶けないなど)の場合も使いづらいよ。

そんな場合どうするか。
すぐに思いつくのは注射剤。
注射にも何種類かあって、一般的なイメージは、静脈に薬物の水溶液を入れるものだよね。
点滴とか麻酔薬とかそういうやつ。
これは肝臓を通らずに血流に回るので、肝臓での最初の分解を避けることができるのだ。
血液中の濃度をモニターしながら微妙なバランスで使わないといけないような抗がん剤なんかはこれ。
一方で、直接血管の中に薬液を入れない注射もあるんだ。
それが筋肉注射や皮下注射。

筋肉注射はその名前のとおり、筋肉に注射で薬液を入れるもの。
これは「痛い」注射だよ。
ワクチンなんかはこれを使うんだよね。
皮下注射というのは、皮膚をつまんで持ち上がったところ、筋肉と皮膚の間に薬液を入れるもの。
インスリンなんかがこれだけど、これは徐々に毛細血管に薬液が染みこんでいくのだ。
すぐに薬効はでないけど、じわじわときかせたいとき、局所的にきかせたいときなんかに使うよ。

で、経口投与の内服薬と注射して使う注射薬をのぞいたものが「外用薬」。
これにはいろんな種類があるよ。
まず、ぜんそくの人におなじみなのが吸入薬。
プシュっと薬液を噴霧させて、それを吸い込むのだ。
これは口腔内、鼻腔内、気道の粘膜から薬液が吸収されるよ。
この方法も肝臓を通らずに薬物を血流にのせられるという利点があるのだ。
ただし、粘膜からの吸収がよい薬でないと使えないし、粘膜からの吸収は量的なコントロールは正確にできないので、吸収量をそんなに厳密に考えなくてよいときにしか使えないのだ。
ただし、けっこう吸収が早いので、ぜんそくやその他のアレルギーの発作によく使われるよね。

同じように粘膜から吸収させるものには、点鼻薬、舌下錠(トローチ)、座薬などがあるのだ。
点鼻薬は名前のとおり鼻の穴にさして薬液をちゅっと出すもの。
主に耳鼻科でしか使わないね(アレルギー性鼻炎の薬とか)。
舌下錠は心臓の薬のニトログリセリンなんかに使うけど、口の中で徐々に溶かしてじわじと口腔粘膜から薬物を吸収させるのだ。
かんで飲んだらダメだよ。
座薬はおしりに入れるもので、腸管粘膜から吸収させるよ。
実は、経口投与で腸管から吸収される場合と血流への入り方は変わらないんだけど、口から腸管まで移動する時間が短縮でき、すぐに薬物が吸収されるので即効性があるのだ。
子供の急な高熱を下げたいときに座薬を使うのはこのためだよ。
「飲み薬」だときくまでに時間がかかるのだ。

「目薬」、点眼薬というのもあるよね。
これは目の表面から吸収させるもの。
でも、ちゃんとした目薬のさし方をしないと、涙管を通って鼻に抜け、のどから胃に行ってしまうのだ・・・。
目薬をさしたときにちょっと苦いと感じる場合は、余分な目薬を「飲んで」しまっているので注意が必要だよ。
目薬は一滴だけさして、指した後すぐに目頭を軽く指で押さえ、のどに行かないようにしなくていけないのだ。

最後は「塗り薬」や「貼り薬」。
これは皮膚の表面に薬物を塗るもの。
皮膚表面から吸収させる場合はほぼほぼ血流にのるまでは浸透しないので、塗った周辺に局所的にきくのだ。
筋肉痛に使う痛み止めのシップ(インドメタシンなど)や皮膚を切開するときなどの局所麻酔などなど。
どの家庭にもだいたいある「オロナイン」は抗菌作用のある塗り薬だよ。
血流に入らないというのがポイントで、全身作用はないけど、局所的に作用させられるところがミソなのだ。

というわけで、薬はものによっていろんな使い方をするんだよね。
それぞれの薬の形態にはきちんと意味があるのだ。
副作用につながるおそれもあるので、正しく使わないと!

2019/05/25

ウィーンからリエージュへ

フレンチのデザートの定番の一つに、カフェ・リエジョワやショコラ・リエジョワというのがあるのだ。
なんてことはなくて、コーヒーアイス又はチョコレートアイスを使ったパフェのような冷たいデザートだよ。
たっぷりの生クリームが添えられていて、そこにコーヒーシロップやチョコシロップがかけられるんだ。
思った以上に大量に出てくるから、かなりの食べ応え・・・。

「リエジョワ(léigeois)」とは、ベルギーの都市であるリエージュの形容詞形。
つまり、「リエージュ風の」という意味だよ。
でも、このデザートはフランス発祥で、ベルギーは全く関係ないんだって!
この名前になったのには、歴史があるようなのだ。

最初は、カフェ・ヴィエノワ(café viennois)、つまり、ウィーン風コーヒーという名前だったのだ。
日本ではウィンナー・コーヒーと言えばホットコーヒーに生クリームを浮かべたものだけど、フランスではコーヒーフレーバーのアイスに生クリームを添えたデザートを指していたみたい。
これが、第一次世界大戦を契機として名前が変わったんだ。
当時、フランスはドイツに攻め込まれようとしていたんだけど、フランスとドイツの間にあって、フランス国境にも近いリエージュの街がドイツ軍が想定していた以上の抵抗を見せたため、攻めあぐねていたのだ。
この当時、ベルギーは中立国で、実は軍隊はぼろぼろ。
ドイツ軍は最初からなめてかかっていたようで、それが侵攻計画を狂わせる要因にもなったようだよ。
で、この時間稼ぎによりフランス軍は体勢を立て直すことができ、パリまでは攻め込ませず、ドイツ軍を退けたのだ♪

このことに敬意を表し、また、ドイツの友軍であるオーストリアの都市名を嫌って、カフェ・ヴィエノワのことをカフェ・リエージュと呼ぶようになったんだって。
なので、もの自体はリエージュやベルギーとは全く関係ないのだ。
でも、その後ドイツ軍に占領されたリエージュでは、いまだにカフェ・ヴィエノワと呼んでいるそうだよ(笑)
フランスの一方的な片思いだね。

で、そのコーヒー・フレーバーをチョコレート・フレーバーに応用したのがショコラ・リエジョワ。
こっちは派生型だね。
ちなみに、ショコラ・ヴィエノワというのもあって、これはホットチョコレート(chocolat chaud)の上に生クリームを載せたもの。
つまり、ウィンナー・コーヒーのコーヒーがホットチョコレートになったもの。
これはややこしい。

ちなみに、「リエジョワ」と言えば、ワッフルにもあるんだよね。
ベルギー・ワッフルには2種類あって、ブリュッセル風とリエージュ風があるんだ。
ブリュッセル風はやわらかい生地を薄く長方形型に焼いて、上にクリームやフルーツを載せた食べるようなやつ。
生地はさっくりふわふわという感じ。
リエージュ風は硬めの生地をまるく厚く焼いたもので、マネケンとかのワッフルはこれだよ。
もちっとした生地の中に中に粗目なんかも入っていて、その食感も楽しめるのだ。

2019/05/18

粒入り紅茶

なんでも、パリにもタピオカ・ミルクティーの店ができて繁盛しているらしいのだ。
やっぱり台湾系のお店のようだよ。
テレビでも見たんだけど、繁体字の感じでもメニューが書いてあったのだ。
パリの中華はベトナム系の人たちが経営しているものが一番多く、次いで、中国本土から戦前に安価な労働力として移民してきた人たちのもの。
中国人がやっているお店は四川料理とか山東料理とか地域色がしっかり出ているのが特徴。
でも、ニセ寿司店を経営している場合のが多いけどね(笑)
で、台湾系は正直あんまり見ないのだけど、進出してきているのかな?

純粋にタピオカという食材だけで言えば、中華とかベトナム料理のお店には「タピオカ・ココナッツミルク」が「Perles de Coco」という名前であるのだ。
小粒の透明タピオカが甘くしたココナッツミルクに入っているやつだよ。
日本でもよく見るよね。
なので、おそらく存在は知られていたんだよね。

タピオカは、ブラジル原産のキャッサバの根茎からとられるデンプンのこと。
キャッサバ自体には皮などにシアン化合物が含まれていて有毒なので、むかしからデンプンだけをとりだして食べていたようなのだ。
コンニャクみたいなものかな?
で、その製造法のことを現地語で「トピオカ」と言うらしく、そこから名前がついたみたい。
デンプンを抽出した後に回転させながら乾燥させると粒状のタピオカ(タピオカパール)になるんだって。
おそらく回転速度とか乾燥時間で粒の大きさが変わるんだろうね。

タピオカの特徴は、グルテン・フリーで、タンパク質もほとんど含んでいないこと。
非常にもちもちした食感が出せるので、グルテン・フリーの麺類に練り込まれたりもするみたい。
ポン・デ・リングのようなもちもち系ドーナツの生地にも入っているよ。
一時期はやった白たい焼きの生地にも。
タピオカ入りのもちもちワッフルなんてのもあるよね。

デザートやミルクティーに入れる場合は、乾燥している粒状タピオカを水につけた後で煮てもどすよ。
温かい状態では表面がねばねばしているんだけど、これを水で「しめる」とぷりっとした食感の粒になるのだ。
粒の大きさで戻す時間は変わるらしいけど、ミルクティーに入れるような大きな粒はかなり時間がかかるみたい。
ゆでるときのお湯が少ないと粒同士がくっついてしまうんだけど、逆にこれを利用して、型に入れてつぶつぶの食感があるゼリー状に加工されることもあるのだ。
それがタピオカ・プディング。

タピオカ・ミルクティーと言えば、タピオカの粒をそのまま吸える太いストローが特徴だけど、EU地域ではプラスチック・ストローを廃絶する方向だから、今後どうするんだろう?
さすがにあの太さの紙ストローというわけにもいかないと思うけど。
意外とストローのせいで欧州では消えてしまうかもしれないね・・・。
どうなることやら。

2019/05/11

パリの道

日本の住所表記は「街区方式」という世界的には珍しいもので、街の名前の後に丁目と番地が続くのだ。
つまり、まず、「町」として一定の範囲が指定され、その中で番号が振られているわけ。
「町」の名前さえ聞けば大体どのあたりに住所があるのかがわかりやすいのが特徴。
でも、「町」の中での丁目と番地の振り方には規則性はあるとは言え、わかりづらいんだよね。
特に昔ながら狭い路地があるところだと特に。
でも、この住居表示が一般化する前は、登記簿と同じ地番で管理していたので、もっとわかりにくかったんだよね・・・。

一方、フランスをはじめとして、欧州各国は基本は「道路方式」。
建物の正面玄関が接している道路の名前と番地で指定するのだ。
「○○通り××番地」という感じ。
この場合、「道路」の長さにもよるんだけど、住所を聞いただけではどのあたりに住所があるのかはっきりとはわかりづらいんだよね。
ま、その「道路」をずっと行けばいつか行き着くわけだけど(笑)
パリ市内の場合は1区~20区まで区割りもあるので、それも会わせるとそれなりには絞れるのだ。
でも、「町」という割と狭い範囲での指定になれている日本人には正直わかりづらい。
最寄りのメトロの駅とか目立つ建物とかとあわせて聞かないとぴんとこないんだよね。

その住所表記に使われる「道路」にはいくつか種類があるのだ。
基本は「rue(ルー)」。
これは道の両側に建物がある通りのことで、通常はそこまで道幅は広くないのだ。
フランスの場合は路駐が基本なので、日本で言うところの二車線の幅はあるんだけどね。
行き止まりになると「impasse(アンパス)」、少し広くなった広場に面しているところは「place(プラス)」になるよ。
建物の「中」を通るようなものは「passage(パッサージュ)」、これは「抜け道」という意味。
それにしても、この住所表記を維持するためには、どんな狭いものでも、すべての「道路」に名前をつけないといけないんだよね・・・。

で、広い道路になると、「avenue(アブニュー)」や「boulebard(ブールバール)」というのがあるのだ。
これらはともに街路樹が植えてあるような広い道。
「avenue」はもともと大通りのことで、語源は、ラテン語の「a(英語で言うto)」+「venue(近づく)」ということで、「~へ至る道」ということのようなのだ。
家々が並んでいる道と言うよりは、街中の基幹的な道ということなんだろうね。
パリの場合、オスマン知事による再開発後は、基本的には放射状の街路を「avenue」と呼ぶことになっているのだ。
シャンゼリゼ通りは凱旋門から放射状に伸びる道の一つなので「avenue」だよ。
江戸市中で言うと「街道沿い」がこれに近いのかな?
東京で言うと、靖国通り(旧青梅街道)、本郷通り(旧日光街道)、玉川通り(旧大山街道)などなど。

もうひとつの「boulevard」は環状の街路。
もともとは街区を囲む城壁を壊して、その跡地を道にしたところを指していたのだ。
パリの街は何度も拡張されていて、そのたびに城壁も外へ外へと広がっているんだよね。
最終的な城壁後は「périphérique(ペリフェリック)」という、パリの外周を回る高速道路になっているよ。
その内側にも古い城壁後の道があって、それが「boulevard」なのだ。
でも、現在「boulevard」と呼ばれている道の中には、必ずしも城壁があったわけではないところもあるみたい。
こういうのがややこしいよね。
東京の場合、ご存じのとおり城壁なんかなかったのでぴったりと当てはまるものはないんだけど、イメージ的に近いのは環状の主要道路だね。
内堀通り、外堀通り、外苑東通り・三ツ目通り、外苑西通り・四ツ目通り、明治通り、山手通り、環七、環八、東京外環・・・ってな感じ。

ボクが1年だけ住んだことのある米国の首都、ワシントンDCなんかは何もないところに計画して作られた都市なので、かなり「道路方式」でも住所がわかりやすいんだ。
連邦議会議事堂(US Capitol)を中心としてNE(北東)、SE(南東)、NW(北西)、SW(南西)の4つの地区にわけ、そのそれぞれで、東西方向の道はA、B、C、D、・・・と、南北方向は、1、2、3、4、・・・と道の名前を振っているのだ。
格子状の構造なので、どの地区のどの道とどの道の交差するあたり、と指定されればすぐに住所が特定できるシステムだよ。
札幌に近いのかな?
ちなみに、放射状の道もあって、それは州の名前がついているのだ。
大統領官邸のホワイトハウスは「ペンシルバニア通り1600」だよね。

ただし、これとは別に、古い地区名も残っていて、ヴァージニア州のアーリントン郡とポトマック川を挟んだ向かい側にあるあたりはジョージタウン、その先はフォギー・ボトムなどなど。
これらは植民地時代の小さい街だった頃の名残みたい。
今でも地下鉄の駅名なんかに残されているよ。
これはパリも同じで、モンパルナスだとかモンマルトルだとかはそういう古い地区名なんだよね。
「道路方式」の住所表記を使うと言っても、やっぱりそういうのがあった方がわかりやすいから残っているんだろうなぁ。

2019/05/04

五月待つ祭り

日本では5月1日は即位・改元の日だったけど、おフランスでは労働者の権利要求の日であるメーデー。
モンパルナスからイタリア広場までデモ行進が行われたんだけど、まじめに示威活動をしながら行進している人々の横で暴れている連中が・・・。
警官隊と衝突し、車を破壊し、発煙筒をともし、何かに火をつけ、とやり放題!
さんざん毎土曜日に「黄色ベスト」で暴れているのに、まだ暴れるか、とあきれるよ。
今回は左岸がメインだけどね。

フランスは長らく社会党が政権を担っているだけあって、メーデーは「労働者の日」として祝日なのだ。
なので、デモ行進が行われるわけ。
もともとは、欧州全域で行われていた「五月祭」が起源で、夏の訪れを祝うものなんだとか。
確かに、欧州は冬が長く、くらい時期が多いから、明るく、あたたかくなってきた5月くらいにお祝いをするのもうなづけるよ。
で、このお祭りは割と重要な位置づけだったらしく、近代に入ってからは、労使双方が休戦し、このお祭りの日だけはともに祝う、という感じになったんだって。
それが転化して、「労働者の祭り」、現在のメーデーになったようなのだ。

そのきっかけは、1886年にシカゴで行われた労働者のストライキ。
国際的な連携を持って労働者の権利を訴えようと欧州にも広がり、1890年には欧米で一体的に第1回国際メーデーが実行され、今に至るようだよ。
で、おそらく欧米の各地で労働者のデモは行われるんだけど、毎年のように逮捕者が出るのはおそらくフランスくらいではないのかなぁ。
なんか過激に暴れるんだよね。
日本はそもそも祝日でもないから、日比谷公園でデモ集会があるくらいのイメージしかないけど。

実は、欧州において5月頃に夏の到来を祝う、というのには、もうひとつ大きな意味があるのだ。
それは、麦の収穫。
古代ローマの5月祭は、豊穣の女神マイアに供物を捧げ、夏の豊穣を予祝するお祭りだったようだよ。
小麦も大麦も、基本は秋に種をまき、越冬の後に初夏に収穫するのだ。
だから初夏のこの時期のことを「麦秋」と呼ぶんだよね。
なので、5月1日はちょうど実が実り始める頃。
しっかり実るように神に祈っていたわけなのだ。
今となってはまったく関係のない日になっているような・・・。
でも、この頃の習俗も欧州各地に残ってはいるようだよ。

ちなみに、日本の場合は主に秋祭りがメインだよね。
これは稲の収穫が終わった後、神に今年収穫した稲を捧げ、来年もまたよろしくと更なる豊穣を願うのだ。
なので、「収穫祭」に当たるもので、収穫の前に豊穣を願う5月祭とは少し毛色が異なるよ。
夏祭りもあるけど、こちらはどちらかというと無病息災を願うもの。
京都の祇園祭がその最たるものだけど、かつては「御霊会」と呼ばれ、疫神を退け、健康を願うものだったのだ。
衛生状況のよくなかったむかしは夏場に疫病が流行りやすかったのがあるんだろうね。

一方、地方にこの疫病払いの習俗が広がって行くにつれ、一部では、秋の収穫に向けて豊穣を願う、というのも混ざってきたようなのだ。
米作には、梅雨と夏の台風による降雨がマストでもあり、リスクでもあったから、適度な降雨をお願いします、っていうのにちょうどよい時期でもあるんだよね。
田植えも終わり、その労をねぎらうとともに、これから上げしくなる農作業に備えることも重要だったのだ。
青森の「ねぶた」や弘前の「ねぷた」、秋田の竿灯、なんかは、夏期に襲ってくる眠気を払い、厄災を水に流す、という意味合いらしいけど、ちょうど疫病払いと秋の収穫に備える、というのが混ざり込んでいる感じだよね。

ちなみに、欧州にも秋の収穫祭はあって、果物や木の実の収穫を祝ったり、ワインやビールのできを祝ったりとそれぞれの地域でいろんなお祭りがあるみたい。
古代ローマでは、11月1日に果物の女神ポーモーナを祝う祭りがあって、リンゴをシンボルとしていたようなのだ。
これがケルト人に伝わると、ケルトにお新年祭りと習合し、ハロウィンが生まれるんだよね。
ハロウィンの方も全くもって収穫祭のイメージはなくなっているけど。