2010/01/30

麺と歯ごたえ

昨日夕食にパスタを食べたんだけど、超アルデンテだったのだ!
っていうか、固ゆでを通り越して普通に芯が残っている感じ・・・(>_<)
確かに日本ではアルデンテが好まれると言うけど、口の中でぼきぼきと折れる感触があるのはまずいよね(笑)

アルデンテはイタリア語で「al dente」(歯に・・・)という意味。
かんだときにかすかに歯に残った芯が当たるくらいのかみごたえという少しかためのゆで加減で、理想的なゆで加減とされるのだ。
スパゲティでもペンネでもラザニアでも、乾麺(?)になっているパスタには共通だし、お米を使ったリゾットでもかすかに芯が残るくらいのアルデンテがよいと言われるのだ。
でも、どうもそれって日本が過剰にそう思っているだけで、本場のイタリアではそんなにこだわっていないらしいのだ。
乾麺を食べることが多い南イタリアではそれなりに認知されているようだけど、そもそも生麺を食べることが多い北イタリアではあまり一般的でないらしいよ。
ソフト麺のように柔らかくゆでてしまう米国は別としても、欧州でも通常は「固めで」と頼まない限りはアルデンテでは出て来ないらしいのだ。
豚骨ラーメンなんかでは麺の固さを選べるけど、それと同じで本来は個人の好みで好きなゆで加減にすればよいのだ。

よくアルデンテの状態というのは(スパゲティの場合)髪の毛の細さほどの芯が残ってて、それがぷつんという独特のゆで加減になるというのだけど、これは本来ゆであげた時点での話。
パスタの場合はゆでた後に水でしめたりしないので、通常はそこからさらに余熱で火が通っていくのだ。
すると、ソースとからめて食卓に上るころにはその芯の部分にも火が通っているような状態になるはず。
逆に言うと、芯がなくなるまでゆでてしまうと食べるころにはすこし伸びている状態になるので、早めにあげておいて余熱で最後まで火を通す、というのがもともとのはずなのだ。

かつての日本では、スパゲティと言えばトマトケチャップで炒めたナポリタンが主流で、その場合はゆであげた後にさらに火を通すのでそもそもアルデンテなんて概念はなかったんだよね。
ところが、俳優から映画監督になった伊丹十三さんが海外では固めにゆでた「アルデンテ」という歯ごたえのある状態のパスタを食べる、とエッセイで紹介したころから、そういう「本場志向」が出てきたみたい。
で、今となっては、ファミリーレストランでもアルデンテと言って固めにゆでたパスタが出てくるようになったんだよね。
その結果、日本がアルデンテ大国になってしまったのだ。
本来は好きな固さにゆでて出してもらうのがよいんだろうけど、お店の側としては一定のゆで加減で統一した方が品質管理をしやすいので、アルデンテということで早めのタイミングでゆであげる、ということでマニュアルを作っていったんだろうね。

日本人が麺の固さにこだわるのは何も舶来のパスタだけでなく、そばやうどんでも同様。
のどごしを楽しむと言われるそばではそれほどでもないけど、うどんはそれこそ「コシ」ということでかなりのこだわりがあるよね。
よく言われるのは、讃岐うどん系のしっかりとコシのあるうどんがよいとか、関西風のやわらかいうどんがよいとかだよね。
めずらしいものでは、まったくコシが存在しないくらいまでしっかりゆでた伊勢うどんや、生麺を味噌味の出しで煮てしまう名古屋のみそ煮込みうどんなんてのもあるよ。
みそ煮込みうどんの老舗ではうどんに芯が残った状態で出てくるって話はわりと有名だよね(通称「アルデンテ」と呼ばれているのだ。)。

いわゆるうどんのコシはうどんをゆであげてから、冷水でしめることによって出てくるのだ。
コシと言われる弾力性の正体はうどんの中に含まれるタンパク質のグルテンと言われるけど、これはうどんの生地を練るときにこねればこねるほど弾力がますみたい。
讃岐うどんでは足で踏んでしっかりと生地を打つというよね。
たぶん、グルテンが全体に分散した方が弾力性が出るのだ。

でも、タンパク質は熱で変性していくので、ゆですぎるとかえって弾力が失われるわけ。
一方、うどんの主成分である小麦粉のデンプンはゆでることで糊化(こか)していわゆる麺の形状になるわけで、ちょうどよいゆで加減で抑える必要があるんだよね。
デンプンが糊化するとぬめりが出てくるし、余熱でそれ以上火が通らないようにゆであげた後に水でしめるのだ。
そうすることでコシのあるうどんができあがるわけ。
温うどんの場合は、それを再度新しいお湯で温めてからつゆに入れるんだけど、これを「湯だめ」というんだよね。
うどんをゆでるのはけっこう時間がかかるんだけど、湯だめにしておくことでさっと提供することができるのだ。

これに対し、水でしめないでゆであげた状態そのままで食べるのが釜揚げ。
これは時間の経過とともに余熱で火が通っていってしまってどんどんのびていくので、その場でさっと食べることが必要なのだ。
でも、釜揚げの場合はゆでたてのもちもちした食感が楽しめるということで人気があるんだよね。
水でしめるとそのもちもちした食感がコシに変わるのだ。

そんな麺の固さにはもともとこだわる日本人なので、ラーメンなんかだとゆで加減を気にするんだけど、パスタだけはアルデンテ一本槍なんだよね。
ま、これもそのうちゆで加減を選ぶのがスタンダードになるのかもしれないけど。
きっと、パスタでも種類やソースによって、固めがよいもの、むしろやわらかいものがよいものなんかがあるはずだからね。

2010/01/23

動く大地

最近の研究で、マダガスカル島にいるほ乳類はアフリカ大陸から漂流して流れ着いたものの子孫であることがわかってきているのだ。
現在の海流だとむしろ島から大陸に行く方向に流れているんだけど、かつては大陸も島ももっと南の位置にあって、海流も大陸から島に流れる方向だったことがわかったとか。
スパコンを使ったシミュレータで過去の地形と海流を予測した結果だそうだよ。

で、ここで気になったのが「むかしはもっと南の位置にあった」という部分。
これって古生物の話だとよく出てきて、オーストラリア大陸は早い時期に他の大陸から離れたので独自に有袋類が繁栄したとか、日本海はかつて湖だったので大陸からナウマン象がわたってきたとか、そういう話はよく聞くよね。
今や常識となりつつある「大陸移動説」、プレートテクトニクスだけど、実はこの説はけっこうつい最近になって認められてきたものなんだよ。
よくよく考えれば、自分の足下の大地が日々わずかに動いているっていうんだから、なかなか信じづらいよね。

このプレートテクトニクスが最初に想定されたのは第一次世界大戦後のドイツ。
ヴェーゲナーさんという人が、アフリカ大陸の西側のくぼみと南アメリカ大陸の東側のでっぱりがうまいことかみ合うんじゃないか?、と妄想したことに始まるのだ。
そこで出てきたのが、もともとは世界はパンゲアと呼ばれるひとつの超大陸で、それが分裂していろんな方向に動いていって今の形になっていったとするもの。
もともと古生物の世界では化石の分布からアフリカと南米の間で何らかの動植物の交流があるっぽいことがわかっていた、というのもこの発想が出てきた背景だよ。

でも、当時は固いはずの大地が動くなんて想定しづらいし、大陸が動く原動力も潮汐力や地球の自転による遠心力に求めていたので、いまいち信憑性が低く、あまり振り返られることがなかったんだよね(>_<)
ところが、地球の内部構造が徐々にわかってきて、数kmの厚さの固い近くの下には流動的なマントルがあって、そこでは対流があるらしい、ということがわかってくると、そのマントルの上を近くが滑るように移動しているのではないか、ということで見直されてきたのだ。
さらに、海洋学の分野で、海嶺で新しい物質が内部からわき上がってきて海底は徐々に拡大していき、海溝では逆に押し出された物質が内部に沈み込んでいく、という海洋底拡大説が出てくると、大陸の移動も同じように起きているんじゃないか、とプレートテクトニクスの現在の考え方がまとまっていったのだ。
それが1960年代だよ。
つまりは、まだ50年そこそこの話なのだ!

その後さらに証拠は積み上がっていって、岩石に残された古地磁気を比較することで、大陸の移動がどうなっていたのがわかるようになっていたのだ。
地球は長い時間で見ると古代と比べて地軸がずれて傾きが変わっているんだけど、それによって地磁気の方向も変わっているのだ。
岩石の中には微弱ながら古代の地磁気が記憶されているんだけど、その磁北の方向を比較することで古代の北極点はどのあたりにあって、どのように大陸が移動していったかの目安がつけられるということなのだ。
今ではGPSを使った衛星測位と電子基準点の組み合わせで、年間数mm~数cmという大地の動きを精確に観測することもできているよ。

大陸や海洋が動くときの単位がプレートで、プレートが「1枚岩」でなく、いくつかに分かれているからこそ地形が変わっていくのだ。
プレートとプレートの境界では、軽い(比重の小さい)大陸プレートの下に重い(比重の大きい)海洋プレートが沈み込んだり、プレート同士が衝突してその部分が盛り上がったり、プレートがすれ違って巨大な横ずれ断層ができたりしているのだ。
日本海溝は太平洋プレートが北アメリカプレートの下に沈み込んでいる位置にあるんだよ。
太平洋プレートは西に動いているんだけど、そのせいでハワイは徐々に日本に近づいているのだ。
でも、日本の手前で日本海溝に沈んでしまうんだよね・・・。

一方、ヒマラヤ山脈はインドプレートとアジアプレートが衝突して盛り上がったところで、今でもちょっとずつ高くなっているんだよ。
カリフォルニアの西部から何部にかけての巨大なサンアンドレアス断層は太平洋プレートと北アメリカプレートの境界で、ここでは沈み込みや衝突はなく、すれ違いにより大きな横ずれ断層になっているんだ。
地上だとそんなに多くないけど、海底にはけっこうあるみたい。

このプレートが沈み込んだり、衝突したり、すれ違ったりするところには、プレート間の摩擦でゆがみやたわみが蓄積されてしまうんだよね。
それが閾値までたまって一気に開放されると大きな地震が起こるのだ・・・。
地震多発地域はだいたいプレートの境界にあるんだよね。
日本でもリスクが高いと言われている伊豆半島近辺は、太平洋プレート、北アメリカプレート、フィリピン海プレートの3つのプレートがひしめく(?)位置で、そのせいで富士山は盛り上がっているんだけど(伊豆半島はフィリピン海プレートにのっていて、それが本州に食い込んでいるのだ!)、それだけゆがみやたわみもたまりやすいのだ。
そのエネルギーが活火山である富士山の噴火として放出されるか、大きな地震となって放出されるかのリスクがあるんだよね。
富士山の火山活動は現時点ではそんなに活発でないので、地震が心配されているんだ。
というわけで、大きな話で超長期のタイムスパンのような話でありつつ、地震というわりと身近なところにも関わっている話なのだ。

2010/01/16

カゼとお風呂

今回久しぶりにカゼをひいたのだ・・・(>_<)
普段あまり病気をしないから、たまにかかるとつらいねぇ。
ボクの場合、冬に寒くなって、かつ、つかれがたまったころにかかることが多くて、節々が痛くなり、寒気がしてから発熱するのだ。
たいていは1~2日安静にしていれば治るんだけど。

で、カゼをひいたときに気になるのはお風呂。
ボクの場合は発熱して汗をかくことも多いのでできればさっぱりしたいんだけど、通説では入っちゃダメと言われるよね。
さすがに高熱でうなされているときはそれどころじゃないけど(笑)
でもでも、最近は病院でも、熱がなければお風呂に入っていい、と指導しているようなんだ。

カゼをひいたときにお風呂に入ることの問題点はいくつかあって、ひとつはなんと言っても湯冷め。
もともとカゼの原因になるくらいで、これはよくないのだ。
次に問題なのは熱すぎるお風呂に入ること。
これは湯冷めしやすいだけじゃなく、かえって体が疲れてしまうのでダメなのだ。
お風呂って意外と体力を消耗するんだよね。
なので、カゼをひいたときにお風呂に入るときは、脱衣室と浴室をよくあたためておいた上で、少し温めのお風呂にさっと入って、すぐに寝間着を着て寝るのがよいのだ。

逆にお風呂に入るメリットも多くて、湿度が高い空間なのでのどによいのだ。
さらに、適度にあたたまると新陳代謝がよくなって、免疫力も高まるよ。
そして、さっぱりするとともにリラックスもできるのでぐっすり眠れるのだ。
このとき重要なのは、ここでのお風呂は浴槽に入ることが想定されていること。
シャワーだけだと湯冷めもしやすいし、体が芯まであたたまるってことはあまりないからね。
ただ、西洋ではカゼの時に熱いシャワーをさっと浴びて寝てしまう、という民間療法もあるようだけど。

というわけで、そのときの症状に応じて入ればよいのだ。
のどが痛くて、くらいだったら入ることでむしろのどがうるおってよいけど、高熱で体力を消耗してふらふらしているときに入るのは完全にNGなのだ。
というわけで、ボクは熱でふらふらだった1日目は避けたけど、症状が緩和した2日目はお風呂に入ってすっきりしたのだ。

2010/01/09

食べ飲み放題注意!

年が明けて気になるのが「正月太り」・・・。
お節料理ってあっさりしているように見えても、栗きんとんや黒豆は糖分たっぷり、数の子は魚卵だから脂肪とコレステロールがたっぷり。
しかも、なぜかおもちは同量のごはんより多く食べられてしまうので、基本的に食べすぎになるのだ。
ボクも今年初めての経験になったけど(笑)、実家に帰省するとそのほかにもあれ食べろ、これ食べろと勧められて食べ通しになるので、ぶくぶくといくよね)>o<(

そんなときにいつも以上に目につくのがカロリーの低い食品・飲料。
このところは春雨スープやカロリーオフ飲料がはやりだよね。
でも、「カット」だとか、「オフ」だとか、「ひかえめ」だとかいろいろ種類があって複雑なのだ。
でも、実はあれって一定のルールに従って表記されているんだよ。
それは、健康増進法第31条に基づく栄養表示基準なのだ。

ざっくり言うと、一般的なものに比べて少なめなのが、「低」、「ひかえめ」、「小」、「ライト」、「ダイエット」「オフ」で、これらは以外と含まれているので注意が必要なんだよね。
食品の場合、100gあたり熱量だと40kal以下、糖類5g以下、塩分(ナトリウム量)120mg以下なのだ。
飲料だと、100gあたり熱量だと20kcal以下、糖類2.5g以下、塩分(ナトリウム量)120mg以下だよ。
春雨なんかはもともと緑豆のデンプンから作っているのでそれなりに熱量があるんだよね。
なので、春雨ヌードルだとこっちが多いのだ。
スポーツドリンクもエネルギー源のクエン酸や果糖、ブドウ糖が入っていることが多いし、マグネシウムやカリウム、ナトリウムなどの塩分を入れる必要があるので(浸透圧を上げないと吸収しにくいため)、けっこうこっちのカテゴリーが多いよ。
軽めではあってもそれなりに気をつけておかないと摂取過多になるよ!

一方、徹底的に抑えたのが、「無」、「ゼロ」、「ノン」、「レス」で、これらの表示の場合は含まれている量が非常に少ないのだ。
でも、完全に入っていないわけではないので、その点は間違わないようにしないといけないんだ。
食品、飲料ともに、100gあたり熱量だと5kal以下、糖類0.5g以下、塩分(ナトリウム量)5mgとされているよ。
缶コーヒーだとブラックでないとなかなかこの基準は満たせないよね。
なので、甘さひかえめの缶コーヒーなんかは「カロリーオフ」が多いみたい。
脱脂粉乳だけ入れたカフェオレとかだとたまに「ノンカロリー」にできるけどね。
コーラのようなものの場合は、合成甘味料で糖類を完全にシャットアウトできるので、「ゼロ」とかの表示も使えるんだ。

ここまで出て来ないものとしては「カット」というのがあるけど、これは自社の他製品に比べて、ということなんだよね。
当社比○倍と同じなのだ。
なので、比較対象のもとのものが大きく影響してくるわけ。
糖分50%カット、と言われても、他に流通している「カット」でないものがそれよりも糖分量が少ない場合もあるのだ。
A社の通常商品の100gあたりの糖分量が15gの場合、50%カットだと7.5gになるけど、「オフ」表示にするには食品だと5g、飲料だと2.5g下回る必要があるので、B社製品は6gでも無表示になるのだ。
すると、実は「カット」になっていないB社の方が糖分量が少ないという状況が出てくるんだよ。

というわけで、きちんと基準に従って表示されて入るんだけど、きちんと自分でそのものの量を確かめないといけないのだ。
「カロリーオフ」とか「カット」という字面に踊らされているとダメなんだよね(>_<)
ボクも正月のツケを返さないといけないので、今まで以上に気をつけないと!

2009/12/31

年を迎える前に飾ろう♪

いよいよ今年も終わりつつあるねぇ。
街中もすっかりお正月モードになっていて、「謹賀新年」などの文字が目につくのだ。
クリスマスを過ぎたらこんなものだけどね(笑)
で、同時に目につくのが、お正月の飾り。
今でも玄関先に飾っている家が多いよね。
今回は、そのお正月の飾りについて調べてみたのだ。

あのお飾りは注連(しめ)飾りと呼ばれるもので、玄関先に飾るものを特に玉飾りというそうなのだ。
台所やトイレなどの水回りには注連縄(しめなわ)をまるめたようなものを飾るけど、それは輪じめと言うそうだよ。
神社にある注連縄は現世と神域の境界を示す結界のように扱われるけど、もともとは神様が宿る依り代としての意味があったのだ。
お正月の飾りはまさにその依り代で、年神様を迎えるものなんだそうだよ。
これは童謡「一月一日」に♪松竹たてて門(かど)を取り~♪と歌われている門松も同じ。
両方飾ってあるとかぶってしまうのだ!

通常注連飾りには縁起物がつけられて色鮮やかに飾られるんだよね。
目立つのは「代々」をかけた橙(ミカンじゃないよ!)、長寿を表す伊勢エビ、依り代であることを表す紙垂(しで)、末広がりを意味する扇、シダの一種であるウラジロなんかがつけられているよね。
ウラジロは由来がだんだんわからなくなってきているそうなんだけど、これは裏側が白くなったシダというだけではないようなのだ。
一説には、ウラジロは茎が長く伸びていって、毎年その先端に2枚の若い葉が出てくるんだけど、それが世代の交代を表していて、かつ、裏が白くなると言うことで「夫婦ともに白髪の生えるまで」という縁起物と言われているのだ。

同じように年神様を迎えるのに飾られるのは鏡餅。
もともとは武家で具足(甲冑)を飾っていて、その前に餅が置かれていたらしいんだけど、いつしか餅だけになったのだ。
この鏡餅にも同じように橙やエビ、ウラジロなどの縁起物が飾られるよね。
丸い形は家庭円満を表し、二つ重ねるのはそれが代々続きますようにという願いが込められているそうなのだ。
ちなみに、これは後付の説で、もともとは魂の形と考えられていた円形に形作り、それが古代の円鏡に似ていたので鏡餅と言うらしいのだ。
二つ重ねるのも陰陽をそれぞれ表していて、福徳が重なって縁起がよい、ということらしいよ。

で、これらの飾りを飾る時期だけど、大晦日ではダメなのだ!
旧暦の一番最後の日である12月30日や今の暦の最後の日である31日だと「一夜飾り」となってしまって年神様に失礼に当たると言われているんだ。
さらに、29日だと「九」が「苦」につながるので縁起が悪いと言われるのだ。
なので、28日までに飾るのがスタンダードらしいよ。
今はクリスマスがあるから25日~28日に飾ることが多いみたい。
むかしはそれこそ新年にそなえて12月10日くらから準備したらしいけど。

というわけで、街中ではまだまだ正月飾りを売っているのを見かけるけど、すでに遅いのだ(笑)
飾らないよりはいいのかもしれないけどね。
何事も事前の準備が重要ということかな?
年末の大掃除もそうだけど、すっきりして年を越したいものなのだ。

2009/12/19

マスのサケ

クリスマスが過ぎると、一気に年末っぽくなるねぇ。
今年ももう1週間をきっているのだから当たり前だけど。
で、クリスマスケーキやローストチキンが消えた後に出てくるのが、お正月の定番のお節料理の材料(特にかまぼこ、数の子など)や切り餅などなど。
そして、かつてのお正月の定番と言えば、冷蔵庫がなくても保存できる新巻鮭なのだ。
産卵期に川を上ってきて脂が落ちきったサケの内臓をぬき、そこに塩を詰めて保存食にしたのものなのだ。
でも、最近では、塩抜きが大変だし、そんなにたくさん食べられないから、雰囲気だけと普通にサケを買うことも多いみたいだよね。
なぜかスモークサーモンなんかが一緒に並んでいたりするのだ。

で、このところ注目を集めているサーモンと言えば、一気に知名度が上がってきたトラウトサーモン。
サーモントラウトとも呼ばれるけど、「トラウト」は「マス」、「サーモン」は「サケ」だから、本来はどっちつかずの不思議な名前なのだ。
そうなると気になってくるので、とるものもとりあえず(?)調べてみたよ。

正体から言うと、このトラウトサーモンというのは、子どものころによく川でつかみ取りをしたニジマス!
そのニジマスをチリやアルゼンチンの南の「冷たい海」で養殖して大きく育てたものを輸入しているんだよ。
もともとニジマスはカムチャッカから北米大陸北部の寒い地域の原産で、サケ・マス類ではあってもそのほとんどの個体は海に降らずに淡水域にとどまるのだ。
たまに海に出て大きく育つやつが出てくるらしいんだけど、それがスチールヘッドと呼ばれるものなのだ。
よく食卓に上るベニザケは逆で、ほとんどの個体は海に降って大きく育つんだけど、一部が淡水域に残るとヒメマスと呼ばれるんだよね。
で、その降海型のスチールヘッドと比較的大きなニジマスとを交配していってできあがったのが、大きく育つドナルドソン・トラウトという系統で、米国ワシントン州立大学のドナルドソン博士が作り上げたんだそうだよ。
で、そのドナルドソン・トラウトを完全海洋養殖したのがトラウトサーモンというわけ。
でも、生物種としては完全にニジマスなのだ。

海流が比較的早い冷たい海で養殖することで、脂がのりすぎることもなく身も引き締まるのだ。
また、サケ類は寄生虫がいるので生食せずに燻製にしたりするわけだけど、北極海を回遊中に寄生虫に寄生されることが知られていて、養殖する場合は寄生虫フリーになるんだって。
つまり、スモークサーモンやルイベ(サケを冷凍してから薄く切ったもの)にしなくても、お刺身でいけるんだよ。
輸入物だけど安価に手にはいるので一気に人気が出てきたのだ。
アトランティックサーモン(タイヘイヨウサケ)やギンザケも養殖物が出回っているらしいけど、成長が早く安くできるのでここのところトラウトサーモンの流通量が増えてきているんだって。
(通常ムニエルやスモークサーモンなどの洋風の料理に使うサケは欧米で一般的なアトランティックサーモンだよ。)

川にいるニジマスも流通しているのはほとんど養殖物で、どうも日本では放流してもほとんど定着しないみたい。
知床半島の一部で定着している例もあるそうだけど、多くの場合は釣りなどの目的で放流されているものを見かけているのだ。
最初に日本に移入されたのは1877年というから明治10年。
さすがにそのころからのおつきあいだから、養殖ものだろうとは思っていても、日本にむかしからいるのかと思っていたよ。
一部の例外を除いて、あまり定着しないから今でも盛んに放流しまくっているのかもしれないけどね。

ニジマスはエラから尾びれにかけて赤~赤紫の模様があって、これが虹色の光沢があるのでニジマスと言うのだ。
これが海に降って大きくなると頭部が黒くなるのでスチールヘッド(和名ではテツ)と呼ばれるんだって。
淡水域に生息しているものでは成熟後に数年にわたって複数回の繁殖が可能で、サケの川上りのように一生に1回の繁殖というわけではないのだ。
サケ類としては比較的高温でも生息可能だけど、それでも冷たいくらいの水温が好きで、もともと流れが急なところに住んでいるので、溶存酸素量(水の中に溶けている酸素の量)も多い方がいいみたい。
なので、ニジマスの養殖場にはよく水車があって、それで水をよくかき回しているらしいのだ。
トラウトサーモンを海流のある海域で養殖するのも同じだね。

しょうがのパン

いよいよ年末が近づいてきて、寒さがきびしくなってきたねぇ(>_<)
こういう季節には体が温まるものが恋しいのだ。
鍋物がなんと言っても恋しいけど、この時期同じ恋しくなるのがしょうがの味。
さわやかな辛みと風味を与えてくれるとともに、体がぽかぽかとするのだ。

日本だと甘酒に入れたり、葛湯に入れて飲むなどの飲料系、煮物・鍋物に入れるなどのスープ系などで使われることが多いよね。
欧米だと、ジンジャーエールのようにしょうがを砂糖で煮て作ったシロップを使う飲料もあるけど、
香辛料のひとつとしてクッキーなどの焼き菓子やパンにも使うんだよね。
で、その代表格が、クリスマスの時期になると見かけるジンジャーブレッドやジンジャークッキー。
ともにしょうがをすり下ろしたもの(またはその絞り汁)や粉状にしたジンジャーパウダーを練り込むのだ。

ジンジャーブレッドは十字軍の時代に中東から欧州に持ち込まれたもののようで、しょうがを入れ込んだパンなのだ。
通常はドライフルーツやナッツも入れて、菓子パンにすることが多いみたい。
甘みをつけるのにサトウキビの絞り汁を煮詰めて遠心分離で粗糖を分離した後に残る糖蜜を使うんだけど、そのせいで黒いことが多いのだ。
糖蜜は言わば砂糖をのぞいた後のカスみたいなイメージだけど、もともとサトウキビに含まれるアミノ酸などの成分が凝縮されているので、栄養も満点。
さらに、煮詰める過程で中でカラメルができていて風味もよいのだ。
なので、素朴な甘さとうまみ、独特の風味をつけるものとして、欧米ではけっこうお菓子なんかに使われるんだよね。
ジンジャーブレッドみたいに甘さを抑えつつ、しょうがの風味と合わせようとするときには最適なのだ。

これと似たようなものがジンジャークッキー。
こっちはしょうがを練り込んだクッキーだけど、甘みをつけるには砂糖ではなくて黒砂糖やハチミツが使われるんだって。
やっぱりしょうがの風味は単純な砂糖の甘さではなく、アミノ酸などのうま味成分や風味成分が合った方が合うということなんだろうね。
日本では特にジンジャーブレッドとよく混同されるけど、どうも実はそんなに明確な差があるわけでもなさそうで、固くて乾いていればジンジャークッキーという程度みたい。
でも、米国だとしけたようなサクサクタイプのクッキーもあるから、そうなるとますます境界はあいまいかも。

混同する原因のひとつは、クリスマスの時期にかざりにも使う人型にしたジンジャークッキーをジンジャーブレッドマンと呼ぶことがあげられるよね。
さらに、ジンジャークッキーで作ったお菓子の家はジンジャーブレッドハウスで、こっちもずれているのだ。
でも、日本で触れるのはこのふたつが圧倒的に多いから、どうしても誤解してしまうよね。
おそらく、もともとは固めに焼いたジンジャーブレッドで作っていたものが、より日持ちがするクッキーで作るようになったんじゃないかと思うんだよね。
欧州のクリスマスケーキである、英国のクリスマス・プディング、フランスのブッシュ・ド・ノエル、ドイツのシュトーレンなどはどれも日本のお節料理と一緒で保存食としての面を持っているので(これは休みの期間中に料理をしなくてすむようにだよ。)、おそらくこのジンジャーブレッドもそうなのだ。
クッキーにすればクリスマスツリーに飾った後も食べられるというわけ。

しょうがの辛みと風味はジンゲロールやショウガオールと呼ばれる成分で、これが体をぽかぽかさせるのだ。
漢方薬でしょうががショウキョウとして使われるときの薬効成分でもあるんだよ。
免疫力を高める効果もあると言われていて、風邪の予防にもよいのだ。
クリスマスはもともと冬至のお祭りであると言われているけど、これは寒さが厳しくなる季節。
そんな時期に体の温まるしょうがを使ったものを食べるという習慣はよくわかるのだ。
日本ではカボチャを食べたり、ゆず湯に入ったりするけど、カボチャは冬に不足しがちなビタミン類の補給ゆず湯は体をより温める効果があるので、発想は似ているんだよね。