2020/07/25

うなー

例年のように、土用の丑の日に大量にウナギを見かけたのだ。
資源量が乏しくなっているはずなんだけど、専門店だけでなく、コンビニの弁当、牛丼系ファストフード店などなどでもうなぎ・・・。
よっと心配になるよね。
ウナギが好きだからこそ、サステイナブルなものとしたいのだ。

ウナギは世界の各地で食用になっていて、日本では古くは万葉集に「みなぎ」として出てくるんだそうで。
その当時から、脂ののっているウナギは勢力のつくものと考えられていたみたいだよ。
夏の土用にウナギを食べるのは江戸時代からのもので、しかも、実は油が落ちていてあまりおいしくない時期なんだよね・・・。
春先か秋が脂がのっていてよいらしいのだ。
でも、現在でも日本では圧倒的に夏に消費量が上がるんだって。

日本で食べられているのは主にニホンウナギ。
これがいわゆるウナギで、四万十川の天然物とか鹿児島の養殖物なんてのは基本的にこれ。
技術的にはやっと完全養殖(卵からふ化させてシラスウナギに成長させ、それを養殖、さらに産卵までさせる。)ができるようにはなっているんだけど、コスト的にはまだまだ。
怪しい出自のシラスウナギもあるようなんだけど、シラスウナギからの養殖の方が安いのでそっちがメインだよ。
このほか、日本にはオオウナギというのも生息していて、これは名前のとおり、大きいのだ。
食用にはなるんだけど、ニホンウナギには劣るので、メジャーには慣れないんだよね。
どうしても大型だと味も大味になるし、何より皮が固すぎることが多いのだ。

ローマ人がむかしから好んで食べていたのはヨーロッパウナギ。
向こうでは燻製にしたり、スープにしたり、ゼリー寄せ(これは英国の伝統料理)にしたりするんだよね。
スペインではシラスウナギのアヒージョもあるみたいだけど。
で、これに目をつけたのが中国。
中国でも日本食ブームでウナギが大量に消費されるようになり、もともと人件費の安い中国で養鰻・加工を行う業者も出てきたりで、ウナギ関連産業が発展したのだ。
で、希少なニホンウナギだけでなく、このヨーロッパウナギも養殖するようになっているらしいのだ。
スーパーで売っている中国産ウナギの中にはヨーロッパウナギもあるみたいだよ。

ヨーロッパウナギの方が身が柔らかい、脂がのっているなんて言われるんだけど、ほとんど素人じゃわからないみたい。
っていうか、養殖だともともと脂がのるものだから、区別つきづらいよね。
それぞれの天然物を食べくれべればわかるのかもしれないけど。
で、このヨーロッパウナギも実は絶滅に瀕していると言われていて、かなり危ういのだ。
スペインのシラスウナギのアヒージョも代替材料を使うようになってきているらしいよ。

そこで次に出てくるのがアメリカウナギ。
これは北米大陸にいるウナギで、実は米国ではあまり食べないらしいのだ。
でも、けっこう厳しい漁獲制限をしているとのこと。
これは「ロスタラータ種」と呼ばれていて、一時期養殖して日本式の食べ方をしてみる、ということも検討されたようなんだけど、けっこう風味が違うみたい。
見た目はそこまで変わらないんだけどね。
生息域が違うと食性も変わってくるから、そういうのの影響なのか。

で、現在最も注目を集めているのが、東南アジアに生息するウナギ。
「ビカラ種」というもので、インドネシアでは日系商社が養殖も開始しているようなのだ。
ニホンウナギに比べて頭が大きく、体長が短い、つまり、ずんぐりむっくりなんだけど、風味は蒲焼きにしてしまうと素人には区別できないくらいなんだとか。
こちらも資源量は豊富というわけでもないし、土地柄、なかなか厳しい漁獲量管理などはできないんだけど、シラスウナギの値段はニホンウナギの1/10!
今はまだ養殖技術が未熟で、成体に成長させるのが難しいので、最終的なウナギの値段はニホンウナギの1/3~半額くらいのようだよ。
養殖技術が成熟すれば、もっと安く提供できるのだ。
その前に、資源管理手法をしっかり確立することが先決だけどね。

こうして、日本人はウナギを求めて世界中に手を伸ばしているのだ。
ウナギ風味のかまぼこを作ったり、ウナギに近い風味のナマズを養殖したりと代替食品の開発も進んでいるんだけど、やっぱりウナギが食べたいんだろうね。
なんにせよ、サステイナブルにウナギを後世に残していくことが大事なのだ。
はるかむかしにはウナギというおいしい魚がいたらしい、なんて歴史の教科書に書かれるのはいやだよね。

2020/07/18

有料になりますが、よろしいですか?

いよいよレジ袋の有料化が始まったのだ。
っていうか、すでにスーパーでレジ袋は有料だったり、レジ袋不要の場合はポイント上乗せだったりと、任意の取組は行われていたんだよね。
でも、今回は法律上の制度というところが大きく異なるのだ。
もともとは、海洋のプラスチック問題が世界的な問題になっている中、オリパラに向けて環境対策をしっかりしてます、と政府としてアピールするため、と言われているよね。
で、レジ袋は実は氷山の一角どころか、小手先注の小手先のことなので、政府が旗を振ってやるような話か、という批判も出ているのだ。
欧米ではコロナの影響で感染を広めかねないエコバッグを使わせないよう、レジ袋が暫定的に無料化されているみたいだし。
どこまでこれが環境問題に貢献するのかはなんとも言えないけど、ひとつの「姿勢の問題」ではあると思うのだ。

で、今回ネット上で大きく批判されている大きな要因は、コンビニの対応だと思うんだよね。
スーパーなんかではもともと有料化されているところが多かったわけで、コンビニでもっとも大きな影響が出るのだ。
さらに、実は有料化対象のレジ袋という概念があって、一定の基準を満たすものは引き続き無料にしてもよいのだ。
ファストフード系はそれを利用して無料を継続しているから、それもあってコンビニに批判が集まるんだよね。
しかも、大手コンビニはみんな実はその無料基準を満たす袋に切り替えているらしいし・・・。
やっぱり弁当やホットスナックなんかを買うコンビニだと、エコバッグを使うのには抵抗が出るんだろうね。

で、その無料にしていい基準だけど、ひとつは、厚手のもので繰り返し使えるものであること、というもの。
つまり、実質上のエコバッグみたいなものというわけだよね。
それから、海洋生分解性プラスチック100%のもの。
海のプラスチックがもんだいになっていたわけで、これもさもありなん。
最後は、バイオマス素材の配合率が25%以上のもの。
基本的に無料でやっているところはこのタイプの袋を使って居るみたいだよ。
コンビニは有料だけど、このタイプのようなのだ。


まず、生分解性プラスチックだけど、これはわりと歴史のあるもので、大きく注目されたのは、長野の冬季五輪のとき。
会場で提供される飲食物に使う食器に生分解性プラスチックであるポリ乳酸が使われていたのだ。
生ゴミと一緒に捨てるとバクテリアが分解してくれるんだよね。
一方で、このポリ乳酸のような伝統的な生分解性プラスチックは海洋では必ずしも分解されないんだって、。
もともとぬれに強い(=撥水性がある)、腐食しづらい、というのがプラスチックの最大の利点なわけで、生分解性歩浦須チックといえども、そのまま放置するだけで分解されるようでは使い物にならないのだ。
なので、生分解性プラスチックと呼ばれるものでも、土壌中に埋める、他の生ゴミと一緒に捨てるなど、もともと分解してくれるバクテリアが繁殖している環境中に置かないと分解されないわけ。
で、海洋というのはその環境ではないんだよね。

そこで、現在は海洋環境中で分解されやすいプラスチックの開発が進められているそうだよ。
実は、漁具(ブイ、漁網など)が海洋プラスチックの大きな割合を占めるようなので、こういうものが時間をかけてゆっくり分解されるような海洋生分解性プラスチックに置き換われば、かなり状況は改善するんだよね。
どのみち耐用年数はあるものなので、コスト的に見合えば使われると思うのだ。
それと、レジ袋以上に問題なのはペットボトルのようなので、代替する容れ物も必要なんだろうなぁ。
ペットボトルは非常に便利なのだけど。

バイオマス素材配合のプラスチックというのは、原材料が違うというだけで、ものとしてはこれまで使われていた一般的なポリエチレンのレジ袋と同じもの。
石油系材料ではなく、カーボン・ニュートラル(=炭酸ガスの増減に影響を与えない)な材料を使うというだけだよ。
なので、無料になっているレジ袋も基本的にはこれまでのレジ袋と何ら変わるものではないのだ。
おそらく製造コストがちょっと高いだけ。
一方で、さっき出てきたポリ乳酸のようなバイオマス由来の生分解性プラスチックを使って、バイオマス材料使用+生分解性ありというレジ袋も作ろうと思えば作れるのだ’(例えば、生ゴミを発酵させると、乳酸ができて、その乳酸を化学的に重合させると生分解性プラスチックのポリ乳酸が作れるのだ。)。
これはかなり高価になるので、なんらかの認証制度と組み合わせて環境意識高い系の人々に積極的に買ってもらうようにするような戦略がないと実用性はなさそうだけど。
ま、民間企業にとってはこれは大きな話なんだろうけど。

2020/07/11

マメの底力

遅ればせながら、家で豆苗の再生を試みているのだ。
といっても、水につけておくだけの水耕栽培なので、ほとんど手はかからないのだけど。
そんなわずかの手間で、あれよあれよと芽が伸びてくるのでびっくりしているよ。
すごい生命力だよね。
テレビなんかでたびたび再生できるというのを見てやってみたくなったのだ。

この豆苗、名前のとおり、マメから出た新芽(スプラウト)を食べるもの。
マメ由来のスプラウトと言えばもやしも同じだけど、灯明の場合は光を当てて育てるので、鮮やかな緑なのだ。
ちなみに、豆苗はエンドウマメ、もやしはリョクトウやダイズを使うよ。
スプラウトとしてはカイワレダイコンがメジャーだったんだけど、ちょっと辛いんだよね。
で、エンドウマメのスプラウトの場合、ほのかなマメの香りと甘み、しゃきしゃきとした食感、アクのなさなどで、そのままでも食べられるし、さっとゆでるだけ、炒めるだけでも食べられるので、広がってきているそうなのだ。
そして、極めつけは、再収穫。
もともと豆苗は水耕栽培により植物工場で栽培されていて(畑じゃない!)、マメ本体と根と脇芽さえ残っていれば、そこから新しいスプラウトができてまた食べられるのだ♪
脇芽というのは、豆本体のすぐ上くらいにある芽の部分だよ。

もともとは中国の高級食材で、栽培しているエンドウの「若菜」をわざわざ摘み取ったものなんだって。
これはとても手間がかかるので上流階級のヒトの食べ物だったんだよね。
ところが、米国でブロッコリーのスプラウトがブームになった頃、エンドウマメのスプラウトも同様に作れることがわかり、そこで豆苗の植物工場による水耕栽培が始まったのだ。
20世紀の終わりくらいから市場に出始め、中華料理の炒め物などで食べられるようになるんだ。
リーマン・ショック行こう、節約志向が高まると、再生できるというメリットで家庭にも普及。
生でも、ゆでても、炒めても、という使い勝手の良さで一気に普及したらしいのだ。
もともとエンドウマメはいろんな食べ方をしていて、日本では伝統的に成熟・乾燥させた豆を煮豆(うぐいす豆)などに加工していたし、西洋では熟し切る前の豆をグリーンピースとして食べるのだ。
このほか、未成熟のままさやごと食べるサヤエンドウ、まめができたところでさやごと食べるスナップエンドウもあるよ。
そして、この豆苗なのだ。
エンドウマメは重要な栽培種なんだよね。

スプラウト系の大手の村上農園によれば、豆苗の再生の場合、毎日水を取り替えるとよいんだって。
これは雑菌などの繁殖を防ぐためだとか。
肥料を上げた方が育ちはいいけど、余計なもが生えたりもするので、栄養はマメ本体に完全に依存して、水だけあげるのがよいそうなのだ。
そして、直射日光ではなく、室内で割と日当たりのよいところに置くのがベストらしいよ。
直射日光かだと育ちがまばらになって、すぐ育ちすぎで堅くなるみたい。
そして、マメ本体は水につからないようにするのも大事みたい。
1回の再生は確実で、2回目もまあまあいけるんだけど、さすがに3回目以降はきついみたい。
ま、1回でも再生できれば得した気分だよね(笑)

2020/07/04

ゆれてゆられて

ボクも小さい頃はけっこう乗り物酔いしたんだよね。
長距離のバス移動なんかはきついし、船もよく揺れるようなやつはダメ。
なので、よく乗り物酔いの薬のお世話になったのだ。
正直、聞いているかどうかはあやしいのだけど(笑)
気休めくらいにはなっていたのだ。
まさにプラシーボ効果だね。

この乗り物酔い、実は今もってどういうメカニズムで発生しているかよくわかっていないんだって。
っていうか、「乗り物酔い」っていうのをどう定義するかの問題もあるんだよね。
バランス感覚を司っている三半規管に影響が出て諸症状が起こっているのは確かなんだけど、その症状は、頭が重くなる、気持ち悪くなって場合によっておう吐する、冷や汗が出る、血の気が引くなどなど。
どういうメカニズムでそういう症状が出てくるかの詳細はわからないのだ。

本音を言えば、死ぬような症状ではなく、不快だ、というだけなので、医学者がしのぎを削って突き詰めていく、ということがなかったんだよね。
でも、この不快感をなんとかしてほしい、というニーズはあるので、酔い止めの薬というのは存在しているのだ。
ところが、この酔い止めの薬の開発が大変だったんだ。
というのも、小型実験動物としてよく使われているネズミやウサギは乗り物酔いをしないのだ!
ひょっとしているとしているのかもしれないけど、外から見ただけでは撚っているかどうか判断できないのだ。

人間と同じように乗り物酔いするのは、イヌ、ネコ、サルなどの大型の動物ばかり。
これらの動物は乗り物酔いをすると「吐く」んだよね。
なので、撚っているかどうかが明らかなのだ。
でも、実験動物としては大きいし、何より1匹1匹が高い!
そこで、小型の実験動物が求められていたのだ。
そこで目をつけられたのが、ジャコウネズミ。
ネズミと言ってもむしろモグラの仲間でげっ歯類ではないのだ。
なので、実験動物そしては「スンクス」と呼ばれることが多いよ。
ちなみに、このスンクスを実験動物の傾倒して確立したのは日本なのだ。

スンクスはネズミくらいの大きさで、揺れる台の上に固定して適宜揺らすと乗り物酔いをして、吐くんだよね。
なので、薬を投与してその様子を観察すると、吐き気が抑えられたかどうかがわかるのだ。
こうしていろんな薬が試されていって、今では確立した酔い止めの薬というのが存在しているのだ。
なんで聞くのかわからないものもあるのだけど。

その中で、比較的作用がわかっているのが、抗ヒスタミン剤。
風邪薬や花粉症の薬に入っているもので、眠気をもたらす副作用もあるよ。
この副作用は中枢神経系に対して鎮静作用を持っているからなんだけど、どうもこれが他にも聞いているのだ。
実は、吐き気についてはわりとよくわかっていて、脳の中にあるCTZ(化学受容トリガー領域)という部分があって、そこが刺激されるとおう吐反応が起こるのだ。
なので、そこを抑制すると吐き気が止まるわけ。
まさに抗ヒスタミン剤はここに作用することが知られているよ。
ただし、実は問題があって、ここに薬を作用させると吐き気は止まるんだけど、気持ち悪さ(悪心)までが解消されるわけではないらしいのだ。
つまり、ここだけをターゲットにして薬を作っても、「気持ち悪いんだけどはけない」という最悪な状況をもたらしかねないのだ。
なので、実験動物で調べた後、ヒトがどのように感じるかを詳細に調べる必要があるんだよね。
こういう「気持ち悪さ」みたいなのは数値化もしづらいので、けっこう大変なんだと思うよ。
でも、酔い止めというのは、臨床現場で使われるようなくすりではないし、ある程度プラシーボ効果も見込まれるもので、そこまで厳密でなくてもなんとかなっているんだよね。
とはいえ、つわりの軽減や抗がん剤の副作用である悪心・おう吐への対応という他の用途もあるので、さらに研究は進められているみたい。

この乗り物酔いという状態には、加速度の時間変化である躍度又は加加速度が関係していると言われているお。
距離の時間変化(時間による微分)が速度、速度の時間変化hが加速度で、加速度がどのように時間変化をするか、というもの。
このままだとイメージしづらいし、直線運動だと理解しづらいんだよね。
ある点を中心にそのまわりをぐるぐる回る等速円運動を考えると比較的イメージしやすいのだ。
等速円運動をしているとき、その物体は円の中心方向に引っ張られるように力がかかっていて、進行方向から見て円の中心方向に90°ずれた方向に加速度がかかっているのだ。
この加速度が一定だと同じ速度で円を描くんだけど、この加速度がぶれると、その円がぐちゃぐちゃになるのだ。
まさにカーブを曲がるときにきれいになめらかな曲線を描いて曲がるのではなく、ふらふら揺れながら曲がる感じ。
そういう動きを思い浮かべると、確かに乗り物酔いしそうだよね。
それと、加速度の時間変化というのは、来るまで言えばアクセルやブレーキのきかせ方ということなのだ。
アクセル踏みっぱなしでどんどん速度を上げている時は快適だけど、頻繁にアクセルの踏み込み具合を変えたり、ブレーキをちょこちょこ踏んでみたりすると車の動きがぎこちなくなるよね。
下手な運転で車酔いしやすいのはこういうところに原因があるみたい。

2020/06/25

本物のシャリ

お釈迦さんの遺骨や遺髪は「仏舎利(ぶっしゃり)」といって信仰の対象になっているんだよね。
キリスト教で言うところの「聖遺物」なのだ(イエス・キリストの場合は復活後に昇天していてしたいが残されていないので、当然遺骨はないよ。)。
そして、聖骸布や聖十字架の信憑性が怪しまれているのと同じように、「仏舎利」も怪しいのが多いのも事実。
そもそも、世界中にある「仏舎利」といわれるものの総量はゾウ何頭分もあるとも推測されているのだ。
釈迦牟尼にはいろんな身体的特徴があって、常人とはかなり異なるんだけど、そこまでの巨人とは言われていないのだ(笑)

日本には仏教伝来初期から仏像があるのでいまいちイメージがわきづらいのだけど、世界三大宗教はどれも「偶像崇拝」はしないのが基本なんだよね。
今でも偶像崇拝の禁止が徹底されていることで有名なのはイスラム教で、そのために幾何学模様が発達したのだ。
原始仏教においては、釈尊は明示的に仏像を作ることを禁じていたわけではないのだけど、もともとバラモン教でも神像を作る習慣がなかったこともあり、仏の似姿を作って信仰の対象にする、という教えはなかったのだ。
ところが、古代インドで仏教が広まって行くに従って、ヘレニズム文化の影響を受けたガンダーラなどで「バタ臭い(=西洋っぽい造作)」の仏像が作られはじめ、ここにヒンドゥー教由来の神様なんかも混ざって、多種多様な仏像が作られるようになるのだ。
日本に伝来しているのは基本は中国でフォーマットが確立されたものだけどね。

仏像以前の世界では、お釈迦様の教えである言葉が仏典として伝えられ、それが信仰の対象になっていたわけど、これは無体物なので、深く教義を理解していない信者には信仰の対象として扱いづらいのだ。
そこで、目に見えるものとして、お釈迦さんの遺体や遺髪があがめられるようになるんだ。
それが仏舎利信仰の起こり。
当然数に限りがあるので、このほかにも、仏典を仏塔に入れて「見える化」したものや、お釈迦様の足跡を刻みつけたもの(仏足石)なんかが信仰の対象になるよ。
仏像が出てくるとそっちがメジャーになるんだけどね。

インドから東南アジアくらいまでは仏舎利も足りていたんだけど、中国まで広がるとそうもいかないわけで・・・。
そこで、仏舎利が納められた仏塔(ストゥーパ)の前で、仏舎利の代替品となるものを供養して持ち帰り、それをあがめる、という方式が編み出されたのだ。
多くの場合宝石などが代替品に選ばれたみたいだよ。
当然、日本仏教は中国仏教から来ているわけで、この方式が踏襲されているのだ。
法隆寺の五重塔には仏舎利の代替品であるダイアモンドが心礎の中に納められていたというよ。

で、代替品であることがきちんと認識されているうちはいいんだけど、いつしか「仏舎利を納めている」というところだけが残って、それが代替品なのか本物なのかがわからなくなるようになってくるのだ。
そんな状況で、もともと代替品を納めていたところからさらに仏舎利が分けられたりすると・・・。
瞬く間に仏舎利が増殖していくんだよね。
おそらく、世界中に巨人に相当するような仏舎利があるのはこのため。

でも、実は本物の仏舎利といわれるモノがあるのだ。
それは、19世紀の終わりに英国人ウィリアム・ペッペさんがインド・ネパール国境付近で発掘したもの。
非常に古い水晶の壺になにやら仏舎利らしきものが収められていて、その壺に書いてある古代の文字を解読したところ、釈迦及びその一族の遺骨である、と記されていたことがわかったのだ。
すでにインドでは仏教が廃れていたので、英国政府はこの遺骨を当時の随一の仏教国であるシャム(タイ)の国王に寄贈するのだ。
シャムの王様も立派で、その一部をさらにビルマ(ミャンマー)、セイロン(スリランカ)、日本などの仏教国に分けたんだよね。
で、日本にも来ているわけ。
ちなみに、本当の本当の仏舎利は、釈迦の入滅後その所有を巡って争いが起き、8等分されてしまうんだけど、古代インドのアショーカ王はそのうち7つを集め、さらに細分化してインド中の寺院に配ったと言われているんだ。
とすると、発見されたのはアショーカ王が手に入れられなかったやつ?

そして、日本に来ることになったその仏舎利だけど、当然国内でも誘致合戦になるんだよね。
特定の宗派の所有にすることもできなかったので、最終的には、超宗派で名古屋に覚王山日暹寺というお寺を作り、そこに納めることにしたのだ。
「覚王」とは「釈迦」の別名で「暹」は「シャム」のこと。
シャムが対に国名を変えてからはお寺の名前も「日泰寺」に変更されているよ。
その仏舎利(真舎利)は奉安塔の中に納められているんだけど、取り出すにはこの塔を取り壊すしかないらしいよ。
ま、こういうのは見ないに越したことはないのだろうね、たとえ本物であっても。

2020/06/20

まとめて処罰

先の参議院選挙における選挙違反事件が大きな展開を見せたのだ。
最初はウグイス嬢への法定上限を超える報酬が支払われた、という話だったんだよね。
ところが、さらに事件の捜査が進むと、地元有力者への金銭をわたしていたのではないか、という買収事件になったのだ。
地検特捜部がいまもっとも力を入れている政治スキャンダルなんだよね。
で、今般、ウグイス嬢への違法な報酬の件で担当秘書に実刑判決(懲役1年6月、執行猶予5年)が出たので、次の焦点が、連座制の適用の有無になってきたんだ。
とはいえ、この「連座制」というのがいまいちよくわからないので、少し調べてみたよ。

一般的に「連座制」というと、罪を犯した本人のみならず、その関係者も合わせて処罰することのようなのだ。
でも、近代の罪刑法定主義の世界では、原則的に行為者の恋又は過失があった場合のみ犯罪が成立するものとしていて、関連する集団に属していると言うだけでその周りの人が処罰されることはないのだ。
日本国憲法でも、第31条で「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」と罪刑法定主義の大原則を掲げていて、法律上定められている罪を犯さない限りは処罰されないのだ。
なので、関係者だからといってついでに処罰なんてもってのほかで、共犯であることがきちんと証明され、当該犯された犯罪に対して一定の責任を持って何らかの行為が行われた、という認定が必要なのだ。

このため、一般的に日本の刑法の世界には連座制の適用はなく、あくまでも共犯かどうかという観点で見るんだよ。
ただし、明確に法律上監督責任が定められていて、その責任を十分に果たし切れていなかったという責任に対して刑法上の罪に問われる場合はあるよ。
これも法律上定められているものなので、民法で言う一般監督義務とか善管注意義務とは少し経路が違うのだよ。
例えば、会社の部下が強盗をしたからといって、その上司は形状上の責任は問われないよね。
詐欺集団の組織的犯罪における上司部下関係だったら別だけど、これは上司も罪を犯しているのだ。

そんな中、公職選挙法だけは連座制が適用されるのだ。
候補者本人だけでなく、その塩田で選挙運動を取り仕切る人や、会計・出納の責任者、親族、秘書などが買収などの違反行為をした場合、党外候補者も罪に問われ、当選が無効となるとともに一定期間の立候補禁止などの罰が与えられるよ。
これがニュースでよく言われている連座制で、秘書に有罪判決yが出た場合、連座制が適用されれば当選が無効になるので、ここが正念場になるというわけ。
でも、国政選挙の場合、そこまで連座制が適用される例は多くないのも事実。
今回は検察が頑張っているので、「くび」をとろうとしていると思うけど。

公職選挙法上、連座制が適用される場合については第251条の2から第251条の4に規定されているんだ。
で、これに該当するような事件が発生した場合、一定の手続きを経て、連座制の適用の可否について判断が行われるのだ。
具体的には、次のようになるそうだよ。
①秘書等に有罪判決が出る。
②当該有罪判決について控訴・上告がない、或いは、控訴/上告があったが棄却されて裁判手続きが終了し、刑が確定する。
③検察が刑に処する旨の通知を申し立てる。
④最後に審判を行った裁判所が、有罪判決が出た旨を候補者に通知する。
⑤候補者は通知の費から30日以内に、「違反者は公職選挙法に定める連座制適用の範囲には該当しないこと」又は「公職選挙法に定める免責事項に該当すること」を理由に、立候補禁止や当選無効に当たらないことの確認を求める訴訟を高裁に提起する。(提起しなかった場合は自動的に連座制が適用される。)
⑥高裁で候補者の敗訴が確定すると連座制が適用される。

今は①に来たわけだけど、その後上告されればもう一度秘書の裁判をするし、そうでない場合も、候補者(現議員)が訴訟を起こして裁判所の判断を仰ぐことになるのだ。
つまり、まだまだ時間はかかりそう。
今回のケースでは、離党はしても議委員辞職はしないみたいだから、連座制が適用されることになるとしても、まだしばらく議員では居続けられることになるよ。
参議院であれば人気が6年なのでさすがに次の選挙まで引っ張ることはないんだろうけど、衆議院の場合は、連座制の適用を争っているうちに次の選挙に突入なんてこともあり得るんだよね・・・。
なんて考えていたら、議員本人の買収疑惑がいよいよ濃くなって逮捕、という流れになったね。
もはや連座ではなく、本人の罪が問われることになるよ。
こっちが検察の本命なんだろうけど。

2020/06/13

あぶらっけのぬけたやつ

高級な醤油で、「丸大豆醤油」というのがあるよね。
ボクはてっきり、「丸大豆」という大豆の高級品種をつかっているのだと思っていたのだ。
普通の大豆より球体に近い形状なので「丸大豆」みたいな。
ところが、これは「まるごと」とか「まるのまま」の「まる」で、大豆全部を使ってと言う意味だったのだ!
逆に言うと、「丸大豆」と書いていない醤油は何を原料にしているのか?
それは、「脱脂加工大豆」というやつだったのだ。

音的な響きだと「脱脂乳(スキムミルク)」に似ているよね。
脱脂乳は生乳を遠心分離して乳脂肪の多いクリームを完全に取り除いたもの。
じゃ、大豆からはどんな油脂をとるのか、というと、そのままの「大豆油」。
日本で使われている食用油の4割くらいは大豆油だって。
ごま油なんかは香りを楽しむものだけど、大豆油は色も透明で香りも薄いので、いわゆる「サラダ油」に向いているそうなのだ。
ただし、江戸時代から日本の油の主流である「菜種油」にはかなわないみたい。

ゴマや菜種は油分が多いので、圧搾法と行ってそのままぎゅっと締めて油を搾り取るのだ。
低温で絞った方が油が酸化せず、香りも飛ばないのでよいとされいるよ。
「玉締め」なんてのが有名だよね。
一方、大豆は同じように圧搾して油がとれないわけじゃないんだけど、もともとそこまで油が多くないので、極めて効率が悪いのだ。
そこで、現在採用されているのが、抽出法という方法。
原料を砕いたりした後に揮発性のある溶媒(大豆油の場合はヘキサンが使われるみたい。)とまぜ、そこに脂分を溶かしこむのだ。
溶媒と混ざった油はこの後に蒸留装置に通すんだけど、溶媒は揮発性なので、ここで分離できるのだ。
で、残った液体の油が大豆油というわけ。
この後も食用油としては生成過程があるんだけど、今回注目したいのは、溶媒に脂分を溶かした後によけられた「かす」の方。

これは「大豆粕」と呼ばれるのだけど、これこそが「脱脂加工大豆」なのだ。
確かに脱脂加工は受けているよね・・・。
脂分の抜けた、おからのようなものなんだけど、これと小麦や麹、塩などの他の原料を混ぜて発酵させて醤油や味噌が醸造されるよ。
この「大豆粕」を使わず、そのままの大豆を原料にして醤油を作った場合、「丸大豆醤油」となるのだ。
でも、もともと脂分を取り去った「大豆粕」で醤油ができるくらいで、醤油の醸造過程ではこの脂分は必要ではないのだ。
すると、「丸大豆醤油」の醸造過程ではどうなっているかというと・・・。

発酵させて「醤油粕」を取り去った後の「生揚げ醤油」にこの脂分が含まれていて、これを整地しておくと油の層が醤油の表面にできるんだ。

これは「醤油油(しょうゆあぶら)」と呼ばれるもの。
って、「油」の時が重なってる!
これは醤油として出荷するときには不要なものなので、副産物として取り去るんだけど、古くはこの油が行灯の燃料に使われたりしたんだって。
行灯の油には魚油なんかも使われたらしいけど、燃料の油によって行灯からはいろんなにおいがしたんだろうなぁ。
醤油はけっこう香ばしくてよい方だよね。
魚油はすっごいくさかったと言うから。
現在は、石けん原料や機械油に使われるほか、カーボン/ニュートラルなバイオ燃料としても使われているらしいよ。

「丸大豆醤油」の場合は、そもそも原料に大豆そのものを使うのでそこで少しコストが高くなり、さらに、醸造過程で後で油を取り除く手間が課かかるので、さらにコストが増すのだ。
これが「丸大豆醤油」が高級な理由。
後で除去するんだから最初から取り除いた大豆を原料にしても同じような感じはするけど、風味とかは変わってくるんだろうね。
それと、やっぱり「大豆粕」と言われると産業廃棄物的なイメージがあるから、「低級」という受け取られ方なってしまうよね。
そういうのもあって、「大豆粕」ではなくて「脱脂加工大豆」と呼んでいるんだろうけど。」
最後に、大豆油の生成過程では、脂肪酸だけを残して、リン脂質が取り除かれるのだ。
このリン脂質が「大豆レシチン」で、今では健康食品としてありがたがって買ってもらえるようになっているよ。
ビールの絞りかすのビール酵母がけっこう高い値段で売られているのと同じように・・・。
醤油を絞った後の「醤油粕」は古くから燃料や肥料、家畜用飼料なんかになっていて、これは今もあまり変わっていないみたい。
けっこう栄養にトムものなので、家畜用飼料としては優秀らしいよ。