行って来いでちゃら
米国は広いだけあって、国内の移動には主に飛行機が使われるんだよね。
短距離だと車で行くけど、何より鉄道がもうあんまり走っていなくて不便だからなのだ(鉄道は主に貨物の輸送に使われているのだ。)。
で、そんな状態なので、主要都市の空港の間にはシャトル便が運航されていて、日本の新幹線のように使われているんだよ。
米国の航空システムはハブ&スポークと呼ばれていて、複数の航空便が発着する基点(ハブ)と、そこから放射状にいろんなところにつながる航空便(スポーク)で構成されているんだよね。
で、特に重要な地点間は日に何度も往復している便があって、それがシャトル便なのだ。
で、今回の注目はその「シャトル」。
バスにも「シャトル・バス」なんてのがあるけど、もともと「シャトル」は織機の杼(ひ)のことなんだよ。
杼というのは横糸を巻いておさめた平らな舟形のもので、織物をするときに縦糸の間に横糸を通すのに使うのだ。
がっちゃんがっちゃんて力織機を動かすとき、あの「がっちゃん」は2つの縦糸の上下を入れ替えている音なんだけど、縦糸を入れ替える前に杼で横糸を通し、織物を作っているのだ。
するするするーって通すやつだよ。
で、シャトル・バスやシャトル便は行ったり来たりするから、この杼の動きに例えられてシャトルと言われているんだ。
同じような言い方に「ピストン輸送」なんてもあるけど、これもピストン運動のように行ったりもどったりを繰り返すからだよ。
スペース・シャトルの考え方も同じで、宇宙に行って帰ってくる往還機で、何度も再利用できるからシャトルなのだ。
帰ってくるだけで次にまた宇宙に行けないようではシャトルとは呼べないんだよね(笑)
バドミントンの羽はシャトル・コックというけど、これもなんどもお互いのコートを行ったり来たりするからだよ。
もともとはコルクにニワトリ(cock)の羽をつけたものを使っていたのでシャトル・コックなんだって。
で、行ったりもどったりするものじゃなくて、杼と形が似た紡錘形のものもシャトルと呼ばれるのだ。
ステーキなんかの付け合わせに出てくる紡錘形のニンジンの形はシャトルと言うのだ。
小さい子はニンジンが食べられなくてフォークでこねくり回すから、行ったり来たりの運動をしているという説もあるけどね(笑)
今ではシャトルというとどうしてもスペース・シャトルが思い浮かぶけど、もともとは産業革命の代表的な発明のひとつでもある、ジョン・ケイさんの飛び杼の動きなのだ。
これはまさに飛ぶように縦糸の間を行ったり来たりする杼なんだけど、今ではそれが地球と宇宙を結ぶ動きをも意味しているんだから技術の進歩はすごいよね。
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