2008/03/20

道路からゆらゆら

春から夏にかけての天気のよい日なんかにはよく陽炎が見えるよね。
地面すれすれの高さのところがもやもやして見えて、そこだけ像がゆがんでゆらゆらするのだ。
夏に陽炎を見ると暑さを実感してしまって少しいやな感じがするけど、春先に陽炎を見つけるとあたたかくなってきたなぁとうれしくなるのだ。
同じ現象なんだけどね(笑)

陽炎は空気の屈折率の違いによって発生する現象で、空気は温度によって体積が変わるので、密度も変わるのだ。
均一な状態の空気の中を進む場合は光は直進するんだけど、あたたかい空気と冷たい空気が接しているところでは空気の密度に違いができるので光が屈折してしまうんだよね。
一般に、あたたかくて密度の低い方から冷たい密度の高い方に屈折するようなのだ。
陽炎の場合は、地面が太陽の光で温められ、その輻射熱で地面すれすれの空気が温められたとき、風がなくて空気が撹拌されないとあたたかい空気が地面すれすれのところにたまって、より上空の冷たい空気と混ざり合わないのだ。
すると、そこにあたたかい空気と冷たい空気の境目ができて、そこで光の屈折が生じるというわけ。

この屈折の世で景色が少しゆがんで見えるんだけど、もともとあたたかい空気と冷たい空気の接している部分は不安定だから、それがゆれて見えるのだ。
ちょっとした気温差だと陽炎なんだけど、もっと気温差が大きくなって屈折が大きくなると、今度は逃げ水なんかが見えるのだ。
逃げ水は蜃気楼の一種なんだけど、実際の位置より下に物が見えるようになるのだ。
これは、向こうからやってくる光が温度差のあるところにさしかかると、冷たい空気のある上の方に屈折してしまうんだけど、人間の頭の中では光は直進してくるものと認識しているので、実際よりも地面が下にあるように見えるのだ。
なので、建物なんかがあると、それが地面から浮いているように見えてしまうんだよね。
何もないと、空の青い色が見えて、それがいわゆる逃げ水になるのだ。

一方、いわゆる蜃気楼はこれとは逆で、下に冷たい空気があって、上にあたたかい空気がある状態なのだ。
寒流なんかが流れている場合、その上方で空気が冷やされて発生するのだ。
日本では富山湾の蜃気楼が有名だけど、きっとリマン海流(寒流)が流れているのがひとつの要因で、それに地理的条件などが重なっているはずなのだ。
オホーツク海で蜃気楼が見られるのもきっと海の水が冷たいからだよね。
で、下に冷たい空気があると、温度差のあるところで光は下に曲がるので、実際の位置よりも上にあるように見えるのだ。
すると、本来水平線の向こう側にあるものが浮かび上がって見えたり、逆さになった像が上に浮かんで見えたりと様々な現象が起こるんだ。
これも光が来るときには屈折しているのに直進してきたものと認識するからそう見えるんだよ。
普段は見えない遠方の島が見えたりすると、まさに蜃気楼という感じだよね。

むかしの中国人は年を経た大きなハマグリが霧のようなものを出して、それで人を惑わしていると考えたんだよね。
なので、
ハマグリの出す気の楼(建物)」で蜃気楼になるのだ。
蜃気楼で見えているものは、もともと見えているものの像が逆さまになったものだったり、水平線の下にあるものが見えるようになっているものだったりで、本来存在しているものが見えているだけなんだけど、像がぼやけていることもあってむかしの人はそこがあたかも竜宮城のような理想郷があるように見ていたんだよね。
でも、単に空気の屈折率による現象と考えるよりは、そういう理想郷のようなものがたまーに見えると考えた方がなんだかすてきな気がするよ。
実際はまだ知られていない深海に住む大浜繰りが冷たい息を出して、それで海上に冷たい空気の層ができて蜃気楼ができているのかもしれないけどね(笑)

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