2008/03/14

広い・せまい

最近、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA:Japan Aeroapace Exploration Agency)が超高速インターネット衛星(WINDS:Wideband Internetworking Engineering Test and Demonstration Satellite)「きずな」の打上げに成功したのだ。
でも、気になったのは、英語では「wideband internetworking」となっているのに、日本語では「超高速インターネット」となっている点。
そこで、「ワイドバンド」についてちょこっと調べてみたんだよね。

今ではナローバンド、ブロードバンドというとインターネットの接続速度の速さを表すことが多いけど、もともとは通信で使う周波数帯域の広さで、よりせまい帯域を使うものがナローバンド、より広い帯域を使うものがワイドバンドと呼ばれているのだ。
ブロードバンドというのはワイドバンドの別名だよ。
で、このナローとワイドは別にどこまでがナローでどこまでがワイドということはなくて、相対的なものなんだって。

いわゆるナローバンドは無線通信や電話などの音声通信が主なのだ。
一方、ワイドバンド又はブロードバンドは画像転送やより精細な音響の通信なんかに使われるんだ。
これは、デジタル通信にした場合、周波数帯域が広ければ広いほど、一度に伝送できる情報量が増えるためなんだよ。
そうすると「大きいことはいいことだ」でワイドバンドの方がいいような気もするけど、有線の場合は同じ伝送路(電線)で多重化(一度に複数の信号を送ること。)できる回線数はナローバンドの方が多いし、なんと言っても、すでに全国に電話線がひかれているので網羅性があるというメリットがあるのだ。
さらに、伝送に使うエネルギーも少なくて済むので、情報量が少ないものについてはわざわざワイドバンドにする必要はなくて、ナローバンドが活躍できる素地があるのだ。

さらに、使用できる周波数帯には限りがあるので、何でもかんでもワイドバンドにするわけにはいかないんだよね。
ナローバンドを使った方がチャンネル数は増やせるので、全部をワイドバンドにするのは得策じゃないというわけ。
衛星による無線や移動体通信の場合は、まさにこの周波数の問題が出てくるんだよね。
なので、単純に音声をやりとりできればいい通信にはナローバンドを使うし、逆に大容量のデータ通信が必要なものにはワイドバンドが使われるのだ。
今回の「きずな」は一気に大容量のデータ通信を行うことができるワイドバンドなので、結果として「超高速インターネット通信」になるというわけ。

米軍なんかだおきちんと使い分けをしていて、主に船舶無線として衛星通信を使う海軍ではナローバンドの衛星通信システムを運用・開発しているんだけど、アフガンやイラクなどの「現場」に衛星画像などの大容量のデータを送信する通信システムとしてはワイドバンドのものが運用・開発されているのだ。
ワイドバンドの方は空軍の担当なんだよね、主に使うのは海兵隊と陸軍だけど。
全軍が使う必要のあるシステムは一括して空軍が運用・開発することになっていて、個別の軍資か使わないようなものはそれぞれが運用・開発することになっているのだ。
なので、GPSのような軍だけじゃなく民間も使うようなものは空軍が担当だけど、船舶無線に使うナローバンドは海軍が担当するというわけ。
海軍の場合、衛星画像なんかもらっても一面青い海原だから、むしろチャンネル数多く無線の回線が確保できた方がよいんだよね(笑)

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