2008/03/17

油を分けろ

最近は原油価格高騰やガソリン税の暫定税率の延長などなど石油が話題だよね。
きっと昭和49年のオイルショック以来の大きな取り上げられ方なんじゃないかな(笑)
でも、重油が最後まで残ったドロドロの部分というのは何となくわかるんだけど、原油からどうやってガソリンを分けたりするのかがいまいちぴんと来なかったので、少し調べてみたのだ。

油田から掘り上げられたままの石油の原油は、いろんな成分が混ざっている黒い少しどろっとした液体で、まさに石油臭がするのだ。
で、油田からは石油だけじゃなくて、ガスも出てくるんだよね。
そのガスを精製して不純物を取り除いたものが液化石油ガス(LPG)で、いわゆるプロパンガスなのだ。
主成分が炭素が3つの炭化水素のプロパンだからプロパンガスと言うんだよ(和製英語だよ。)。
でも、炭素が4つのブタンもけっこう入っているんだよね(笑)

で、基本的に石油の輸出は原油のまま行われて、タンカーで各国に運ばれるのだ。
なので、ときどき事故で海に流出するのはあくまでも原油なんだよ。
そんな原油を輸入して、ガソリンなどに分けることを石油精製というのだ。
英語だとrefiningと言うんだよね。
石油精製ではまず常圧蒸留装置というものを使って、中の成分を沸点の違いで分けていくのだ。
この操作を分留と言って、徐々に温度を上げていくわけだけど、沸点が低いものは早く蒸発するので早く分留されて、沸点が高いものほど後まで残るのだ。
最後に残るのが重油やアスファルトなんだけど、さらにそれを分けるために、今度は低い気圧にして蒸留する減圧蒸留装置というものを使うこともあるんだって。
沸点はまわりの気圧が低いほど低くなるけど、減圧することで温度を高温にしなくてもさらに分留することができるんだよ(あんまり高温になると熱分解してしまうので、常圧では蒸留できなくなるみたい。)。

こうして沸点の違いで分けられたもののそれぞれは留分と呼ばれるんだけど、それぞれにそれぞれの使い方があるんだよね。
最初に出てくるのは沸点が40度から70度の石油エーテルで、水に難溶性の物質を溶かす有機溶媒として使われたりするみたい。
あんまり身近なものではないのだ。
次に出てくるのが沸点が60~100度の軽ガソリンと100~150度の重ガソリン。
これはあ主に自動車燃料になるわけだけど、ガソリン精製の場合はさらに不純物の硫黄を除くのだ。
最近では環境への配慮からベンゼンも少なくするんだよね。
でも、ガソリンは別に自動車燃料だけじゃなくて、ベンジンのようなドライクリーニングの溶剤にも使われるのだ。
ガソリンで洗うとかえって汚くなってしまいそうだけど(笑)、自動車燃料用のガソリンはわざとオレンジ色に着色してあるみたいで、ベンジンなんかの汚れ落としに使うものは透明だよね。

その次に出てくるのは沸点が120~150度の軽ケロシンと150~300度のケロシン。
ケロシンってあんまりなじみがないけど、ジェット機やロケットの燃料に使われるものなのだ。
でも、いわゆる灯油もこのケロシンなんだよね。
日本語でケロシンというと純度の高いジェット燃料やロケット燃料だけを指すことが多いけど。
その先は沸点が250~350度のガス油と呼ばれるもの。
ディーゼル燃料や軽油、灯油なんかが含まれるみたいだけど、ちょっととろみがあるのが特徴だよ。
沸点が300度未満で一応蒸留できる最後の部分が潤滑油で、エンジンオイルなどのかなりとろーっとした液体なのだ。
で、最後まで蒸留されずに残るのが石油残渣で、この中には重油、タール、アスファルトなんかが含まれているんだ。
もうこのあたりになるとドロドロだよね。
タールやアスファルトなんかは液体というよりも、流動性がある、と言った方が近いのだ。

沸点はほぼ炭化水素の炭素数と対応しているんだけど、メタン、エタン、プロパン、ブタンは分子量が小さすぎて常温・常圧では気体なので、これは最初から原油に含まれていないのだ(溶け込んでいることはあるけどね。)。
で、炭素数が5~7のものは無色透明なもので、これをナフサというのだ。
ドライクリーニングの溶剤なんかに使うわけだけど、留分で言うと石油エーテルと軽ガソリンに含まれるみたい。
炭素数が8~12くらいが自動車燃料のガソリンで、10~15くらいがケロシンだよ。
このあたりが液体燃料として有用なのだ。
炭素数が10~20の範囲からは灯油やディーゼル燃料(軽油)が作られるけど、かなりとろっとしてくるのだ。
さらさらのナフサとは大違い。
炭素数が16~20位は潤滑油とか残渣分で、固形成分なんかも含まれるようになるんだよね。
ちなみに、炭素数が重複しているのは、直鎖構造の場合と分枝構造場合では同じ炭素数でも沸点などの性質が変わるからなのだ。
一般に分枝構造だと石油臭が強くて沸点は低めになるのだ。

というわけで、けっこう原油を精製するのも大変なんだよね。
でも、この家庭で様々なもの化学物質が得られていて、燃料に使うわけじゃなく、プラスチックの原料になったり、化学製品の材料になったりと現代人の生活を支える多くのものが出てくるんだよね。
そういう意味では非常に重要なことなのだ。
ちょっと調べてみただけだけど、まだまだ奥が深そうだよ。

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