2007/05/07

ぷるぷる

ゼリーと寒天ってよく似ているよね。
でも、食感とかは微妙に違うのだ。
それに、生パインや生パパイヤは、ゼラチンでは固められないけど、寒天だと固められるんだよね。

この違いはかためている「素材」の差なのだ。
ゼラチンはタンパク質でかたまったもので、カレイの煮付けでできる煮こごりや、牛すじ肉の煮込みでできる煮こごりと同じで、複雑にからみ合ったタンパク質が水を抱え込んで凝集して、液体の流動性がなくなってかたまるんだよ。
これを「ゲル(gel)」というのだ。
で、生パインや生パパイヤにはタンパク質分解酵素が入っているので、タンパク質のゼラチンでは固められないというわけ。

一方、寒天は糖(糖鎖)でかたまったもので、複雑にからみ合った糖鎖が水を抱え込むのだ。
これはタンパク質分解酵素で分解されないので、生パインでも生パパイヤでもかためられるんだ。
寒天はテングサという海草から作るんだけど、テングサを煮て、そのうわずみをとって冷やしておくとやがてかたまってくるのだ。
これがところてん(心太)。
で、このところてんを寒いところに置いておいて、一度凍らせてから、乾燥させて水分をぬいたものが寒天。
このとき、水分と一緒に不純物もぬけていくので、ところてんより透明度が高くなるんだよ。
寒天をよく見るとわかるけど、網目構造になっているんだよね。(豆腐を凍らせてから乾燥させて水分をぬく高野豆腐も同じで、細かい網目構造になっているよね。)
この網目に水がからみついてかたまると、あのぷるぷるした「ゲル」の状態になるんだ。

「ゲル」というのはあくまでも液体の状態で流動性がないものなので、固体とは性質が違うのだ。
氷と寒天で固めた水じゃ全然性質が違うよね。
実際に圧力をかけると水分がぬけてくるし、氷は融解と凝固が0度を境にして分かれるけど、寒天の場合、とけるときはより高い温度で、かたまるときはより低い温度で非対称(例えば、60度にしないととけないけど、20度以下にならないとかたまらないとか。)なのだ。

豆腐は大豆タンパク質の、こんにゃくはマンナンという糖鎖のゲルで、同じような仲間なんだよ。
おもちはお米の中のデンプンがからみあって、それがゲル状になっているもの、うどんは小麦のデンプンでかたまっているのだ。
それから、紙おむつに入っている高分子吸収体というのも同じようなもので、水を吸ってゲルにするので液体がもれないという仕組み。
1,000倍以上の体積の水を保水するんだって!

それから、化粧品ではやりのヒアルロン酸やコラーゲンもこのゲルの作用で保水力を保っているんだよ。
ヒアルロン酸は2つの糖がからなるユニットが長くつながったもの(ムコ多糖というのだ。)。
似たようなもので、プロテオグリカン(ヘパランとかコンドロイチン)というのもあって、この場合は、アミノ酸が一直線につながったタンパク質に枝状に糖鎖がたくさんついていて、この糖鎖の部分が保水するのだ。
でも、それなら豆腐とか寒天とかをぬったんじゃダメなのかな?
きっと、豆腐や寒天は皮膚から吸収されないんだろうね(>_<)

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