2007/06/03

血液型

今日は医学関係の展示と遺伝学の展示を見たので、血液型のことが気になったのだ。
これって、一番身近なものだよね。

日本で一般に「血液型」と言われているものは、1900年にオーストリアの医学者のカール・ラントシュタイナーさんが発見したABO式のことなのだ。
この他にも、Rh式なんかは有名だよね。
他にも、MN式とかもあるそうだよ。
臓器移植とかになると、これに白血球の型(HLA抗原の型)なんかも出てくるのだ。

この血液型と性格判断をリンクさせているのは、日本と一部の国だけで、外国では通じないんだよ。
星占いは共通しているんだけどね。
血液型と性格・行動については、統計学的にも相関はなさそう、という結果は示されているみたい。
性格に影響を与えるような遺伝子と血液型を決める遺伝子が染色体上ですぐ近くにあったりすれば、ひょっとしたら関係はあるのかもしれないけど、肯定的な証拠は出ていないのだ。
一般的には、あんまり関係ないと言われているよね。
そもそも、血液型ごとの性格も、誰にでもそういう一面はあるよな、っていうのが多いのだ。

このABO式の血液型というのは、赤血球表面の糖鎖抗原の違いで、A型の人はB型の抗原に対する抗体を持っていて、B型の人はA型の抗原に対する抗原を持っているのだ。
O型の場合はこの抗原がまったくない状態で、A型・B型両方の抗原を持っているんだよ。
逆にAB型は両方の抗原を持っているので、抗体はないのだ。
で、この抗原と抗体の反応が起こるから、血液型の異なる血液を混ぜると凝集が起こるというわけ。
簡易的な血液型テストはこの抗原への反応性で赤い凝集(沈殿)ができるかどうかで調べるんだよね。

で、この血液型はよく遺伝学の授業でも出てくるんだけど、A型抗原の情報を伝えるA遺伝子、B型抗原の情報を伝えるB遺伝子、どっちの情報も持っていないO遺伝子があって、その組み合わせなのだ。
A遺伝子とB遺伝子は優劣がないんだけど、O遺伝子はA遺伝子、B遺伝子に対して劣性なんだよね。
なので、例えば同じA型でも、AA型の遺伝子の人と、AO型の遺伝子の人がいるのだ。
なので、A型とB型の両親からO型の子どもが生まれることがあるんだよ。
このせいで血液型で血がつながっているかどうかを単純に判断しようとするとむずかしいんだよね。
祖父母の代までさかのぼって血液型を調べたり、いろいろなパターンを考えないといけないのだ。

世界全体ではO型の血液の人が多いらしいけど、日本はA型が多かったりと、地域でのかたよりがあるみたいなのだ。
そういうのを考えると、なんか血液型が民族性に影響を与えているような気もしてくるよね。
例えば、鎌状赤血球症(sickle cell anemia)という特殊な病気があって、赤血球がまるい形じゃなくて「鎌」のような形にひしゃげているのだ。
で、酸素運搬能力がまるい赤血球に比べて劣るので貧血気味になるらしいんだけど、実は、この赤血球はマラリアに耐性があることが知られているのだ。
なので、貧血気味なのとマラリアにかかりにくいのの間で、この血液型の人たちも生き残ってきた、と言われているんだ。
ひょっとしたら、血液型でもそういう関係があって、地域ごとに「適した」型があるのかも。
残念ながら、血液型と病気との相関はほぼないことが証明されているので、あるとすれば、「暑いのに強い」とか、「乾燥に強い」とかそういうののはずなのだ。

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