2007/06/27

亜鉛

亜鉛は古代から銅との合金の真鍮(しんちゅう)として使われてきた金属で、溶解した亜鉛に鉄板をつけて作るトタン板や乾電池の陰極の材料としてもなじみ深いのだ。
実は、この亜鉛は鉄に次いで人体の中に多い金属で、生物の体の中でも大活躍しているのだ。
ボクも亜鉛のサプリメントを飲んでいるんだけど、今回は人体の中の亜鉛の役割について少し調べてみたのだ。

亜鉛は必須の微量元素で、体重70kgの人には薬2.3gの亜鉛が含まれるんだって。
で、体の中で何をしているかというと、酵素の活性中心(実際に酵素反応をつかさどる部分)で働いているのだ。
亜鉛のまわりにタンパク質のアミノ酸残基が配位して錯体構造(亜鉛のプラスイオンのまわりにマイナスに分極したアミノ酸の残基が弱い電気的結合で結びついて立体的な形を維持するのだ。)を作るんだけど、これが酵素の反応を媒介する重要な働きをするんだ。
有名なのはZnフィンガーと呼ばれる構造で、デオキシリボ核酸(DNA)やリボ核酸(RNA)と結合するタンパク質に多く見られる構造なんだよ。
で、核酸にくっついてリン酸結合を加水分解することで機能を発揮するんだけど、これが遺伝子発現の制御や調節に重要な働きをしているのだ。

なので、亜鉛の欠乏症はこの機能に由来する障害が出てきて、主に細胞分裂・増殖の多いところで影響が出てくるんだよ。
例えば、マンガ「美味しんぼ」に出てきて有名になったけど、亜鉛不足では味覚障害が出て味がわからなくなるのだ。
これは舌の上に当たってものの味を感じ取るセンサーの味蕾(みらい)が機能不全になるためで、味蕾の数が減少するので発生するんだって。
そのほか、腸管の上皮細胞の増殖が抑制されて食物の吸収がよくなくなることで下痢になったり、新陳代謝の激しい皮膚の細胞の増殖が抑制されて皮膚炎や爪の形成不全が起こったりするのだ。
免疫機能の減退、精子形成の減退、甲状腺機能の減退なんていうのもあって、けっこう大変なことになってしまうのだ。

亜鉛はバランスのよい食事をとっていればそんなに欠乏症が起こることはないんだけど、ジャンクフードやインスタント食品ばかりを食べていると栄養がかたよって欠乏症になると言われているんだよね。
で、亜鉛を多く含む食品と言えばなんと言ってもカキ(オイスターの方だよ。)。
他の食品に比べて特段含有量が高いのだ。
お肉やうなぎ、レバーなんかにも比較的多く含まれているよ。
植物性のものでは豆類に比較的多く含まれていて、納豆や豆腐がよいのだ。
で、よくよく亜鉛を多く含む食品を並べてみていると、普通に野菜と肉、魚のバランスのよい食事をしている限りは問題なく摂取できることがわかるんだよね(笑)
でも、ベジタリアンの人やダイエットで食事制限をしている人は不足しがちなので注意が必要なんだ。
ボクもどうしても野菜が多めの食事になっていて、食物繊維の大量摂取は亜鉛の吸収を抑えるとも言われているので、念のためサプリメントを摂取しているというわけ。

とは言え、過剰摂取もよくなくて、亜鉛のような金属は毒性もあるのだ。
銅なんかも同じだけど、微量は必須だけど、とり過ぎるとダメなんだよね。
何事も適量がよいというわけ。

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