2007/06/15

せっけん

お風呂で新しいせっけんをおろしたので、今回はせっけんについて調べてみたのだ。
せっけんは、高級脂肪酸の塩の総称で、一般には脂肪酸ナトリウムか脂肪酸カリウムなのだ。
脂肪酸というのは、酢酸のように炭化水素にカルボキシル基(-COOH)がついたもので、酢酸の場合はCH3-COOHという化学式になるんだけど、この炭化水素(-CH2-)が長くなると水に溶けなくなって、いわゆる「油脂」になるんだよね。
で、「高級」というのは特に炭素鎖が長いもののことを言うのだ。

せっけんの簡単な作り方は、古くなった油(=酸化した脂肪酸)に水酸化ナトリウムを加えてよく混ぜ、そこに食塩を大量に入れるのだ(むかしは水酸化ナトリウムの代わりに木の灰なんかを使ったのだ。灰の中にはけっこうアルカリが含まれているんだよね。)。
そうすると、脂肪酸と水酸化ナトリウムが反応してできた脂肪酸ナトリウム(=せっけん)が沈殿してくるので、それをこして形を整えるとできあがり。
むかしはよく手作りせっけん教室なんてのがあって、廃油利用とか言って作ったりしてたけどね。
で、そのままだとにおいも色もよくないので、少し香水を入れたりして香り付けをしたり、クレヨンの削ったものなんかを入れて色をつけたりするのだ。

工業的には、これとほぼ同じ方法で大量に作ったりもするけど、未反応の水酸化ナトリウムが残るとよくないので、中和法という方法で、もう少しマイルドなアルカリで脂肪酸を中和して作る方法もあるんだって。
で、そこに保湿成分だとか薬用成分だとか、殺菌成分を加えるのだ。
それでいろいろな用途のせっけんができるというわけ。
ナトリウムじゃなくてカリウムでもせっけんはできるんだけど、より水に溶けやすくなってしまうので、固形せっけんはナトリウムで作るみたい。
逆に液体せっけんはカリウムで作るらしいのだ。

せっけんは、もともとの脂肪酸の炭素鎖の部分が親油性といって油をひきつける性質を持っていて、塩になっているカルボキシル基の部分は親水性で水に溶けやすい性質になっているのだ。
なので、せっけん自体は水にも油にも親和性があるというわけ。
で、炭素鎖の部分でもともと水に溶けづらいもののまわりを囲んで、反対側にある水に溶けやすいカルボキシル基の作用で水の中に溶けるという仕組みなのだ。
つまり、水に溶けにくいものが溶けやすくなるように間を取り持つわけ。
こういうのを界面活性作用と言うんだよね。
台所用の中性洗剤を界面活性剤と呼ぶのはこのためなのだ。

で、油と水を橋渡しできればいいので、別に脂肪酸のアルカリ塩である必要はなくて、カルボキシル基の代わりにスルホニル基(-SO3H)を使うと、より強力な界面活性作用が得られるのだ。
でも、そうすると手が荒れちゃうから、あまりせっけんには向かないけどね。
台所用の中性洗剤の場合は、炭素鎖の部分に工夫をして、手が荒れないようにしてあって、より強力な洗浄作用(=界面活性作用)を実現しているんだ。
さらに、別に親水性の部分はマイナスのイオンになる酸性のものである必要はなくて、プラスのイオンになるアルカリでもよいのだ。
で、実際にアミンで作るのが逆性せっけんというもの。
でも、これは洗浄作用が弱い代わりに殺菌力が強いので、主に消毒剤で使うらしいよ。
ちなみに、普通のせっけんと逆性せっけんを混ぜるとより強力になりそうな気もするけど、プラスとマイナスのイオンが結びついてしまうので、かえって界面活性作用は弱まってしまうので、混ぜちゃいけないんだよ。

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