エイズ発見の日
今日新聞で「今日は何の日?」のコーナーを読んでいたら、エイズ発見の日であることがわかったのだ。
1981年、ロサンゼルスの同性愛者の男性が奇妙な肺炎の症状を示していることを米国疾病管理センター(CDC:Center for Desease Control and Prevention)が症例報告して、これが後にエイズであることがわかったんだって。
その前から怪しい病気があることは認識されていたけど、このときを境に「エイズ」という病気が認識されたので、エイズ発見の日となったのだ。
エイズ(AIDS)は、後天性免疫不全症候群(Acquired Immune Deficiency Syndrome)の頭文字をとったもので、名前のとおり、後天的に(=生まれながらではなくて)、免疫機能がダメになってしまう病気なのだ。
この病気はヒト免疫不全ウィルス(HIV:Human Immunodeficiency Virus)による感染症で、エイズ発見の年から2年後の1983年にはパスツール研究所で見つけられているんだって。
今では詳細な遺伝子構造なんかまでわかっているんだよね。
エイズの病原のHIVはレトロウィルスという種類のウィルスで、遺伝情報をリボ核酸(RNA)の形で保存しているのだ。
で、このHIVはヒトのリンパ球のひとつのT細胞に進入して、自分のRNAを鋳型に、T細胞のデオキシリボ核酸(DNA)にあるもともとの遺伝情報を書き換えてしまうのだ!
これを逆転写(reverse transcription)と読んでいて、レトロウィルスの「レトロ(逆)」はここから来ているのだ。
で、免疫系がダメにされてしまうので、だんだんと病気にかかりやすくなっていくんだよね。
最初はカゼのような症状だけど、末期には、普通の人は自然免疫のおかげでかからないような感染症にかかってしまったり、がんにかかりやすくなってしまうのだ。
潜伏期間が長いことも特徴で、いつ発症するかわからないところもおそれられているんだよね。
エイズの判定テストも、ある程度ウィルスが増殖した状態でないと検査できないので、感染後数週間から1ヶ月たたないとわからないらしいのだ。
これがますます感染を拡大する原因にもなっているんだよね。
今では世界中でどんどん感染者が増えているのだ。
今ではエイズの治療薬も多少あるけど、これはHIVの特徴でもある逆転写を止めるもので、逆転写酵素を阻害するのだ。
でも、HIVの増殖を抑えるだけで、HIVを駆逐するわけではないので、根治にはいたらないんだよね。
他にもHIVに特徴的なタンパク質合成を阻害するプロテアーゼ阻害剤というのもあるんだ。
これはHIVを構成するいくつかのタンパク質がはじめは一本の長いタンパク質として作られて、それがいくつかのパートに切断されて作られていくことをターゲットにしたもので、その切断を阻害してしまうことでウィルスの増殖を抑えるのだ。
でも、これもやっぱり根治にはいたらないんだよね。
エイズといえば有名な都市伝説があって、「エイズ・メアリー」(男女が入れ替わった「エイズ・ハリー」というバージョンもあるのだ。)というものがはやったことがあるのだ。
これは、旅先のバーで知り合った女性と意気投合し、そのまま勢いで一夜をともにしてしまうんだけど、翌朝はその女性は消えているのだ。
で、ふと鏡台を見ると、口紅で「エイズの世界へようこそ」と書いてある、という話なんだよね。
これはエイズがもっぱら体液接触で感染することから来たもの。
カゼのように飛沫感染はしないので予防はしやすいはずなんだけど、潜伏期間が長くて自分がウィルスのキャリアだって知らないことも多いので、なかなか難しいみたい。
それと、そもそも途上国ではまだまだ避妊具が普及していないこともあって完全な予防は難しいみたい。
よく途上国に避妊具を普及させるキャンペーンをやっているよね。
他の感染経路しては、母体から胎児へ感染してしまう垂直感染や、HIVを含む輸血用血液や血液製剤の使用による薬害があるんだよね。
特に薬害エイズは大きな社会問題にもなったけど、これは完全に人為的なミスでもあるから、誰かの責任を追及するのもいいけど、二度と起こさないようにすることがまず一番大事だと思うな。
エイズに似た病気は動物の世界にもあって、HIVはもともとサルのウィルスがヒトにうつって進化したものと考えられているんだよね。
RNAはDNAより不安定な物質で変異が入るのが早いので、比較的短期間でヒトにエイズを発生させるウィルスになった可能性もあるのだ。
ネコにも同じようなウィルスがあって、通称ネコエイズと呼ばれているのだ。
後尾だけでなくてけんかのときの傷口からも感染するので、野良猫の間でかなり流行してしまって問題になっているんだよ。
飼い猫でも基本的には自由に外に出るから、けんかしたり野良猫と交尾させないように気をつけないといけないのだ。
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