2007/06/24

獅子身中の虫

ボクは夏の土用の生まれで獅子座なんだけど、今の時期は夜の早い時間に獅子座がきれいに見えるんだよね。
というわけで、ライオンのことが気になったので、少し調べてみたのだ。

ライオンはインドからアフリカにかけて生息していたらしいんだけど、今ではアフリカ以外ではほぼ生息していなくて、アフリカでも数はだいぶ減っているみたい。
絶滅危惧種にも指定されているらしいよ。
でも、動物園でわりと簡単に繁殖させられるので、まったくいなくなるということは避けられるみたい。
とは言え、野生の習慣なんかは失われていってしまうから、自然の姿で残すことが重要なのだ。

ライオンは「百獣の王」とも言われるくらいで、勇猛さで知られるわけだけど、それだけに、強さや高貴さ、勇猛さのシンボルとしても扱われるようになるのだ。
さらに、ライオンの群れ(「プライド」と言うんだって)は一頭のオスと多数のメス、それに子どもからなるんだけど、これがなかなか立派なハーレムなので、繁栄の象徴でもあるんだよね。
なので、欧州ではライオンを紋章に使う貴族が多いのだ。
後ろ足で立ったライオンのモチーフはよく見かけるよね。

でも、このライオンの群れはなかなか大変なもので、オスの地位は安定ではないのだ。
オスの子どもはたてがみが生える2歳くらいで群れから追い出されるんだけど、その後数年放浪した末に、別のオスの持っている群れを乗っ取るんだよね。
オス同士が戦って、負けた方が去っていくわけだけど、一度群れを追われたオスはたいがいは死んでしまうんだって。
もともとライオンはメスが狩りをしているし、乗っ取られてしまうようなオスは老齢だったりするからなのだ。
で、この後がすごくて、新たに群れのリーダーになったオスは、今いる子どもとその後生まれてくる子供(=メスが妊娠している子ども)をみんな殺してしまうのだ。
前のオスの血は残さないということなんだよね。
で、ライオンのメスはこの子殺しに出くわすと発情することが知られていて、新しいオスと子どもを設けるようになる、というようにうまく仕組みができているのだ。
こわい話だけど、自然の知恵なんだよね。

ライオンといえば、よく噴水で水をはいているけど、あれには意味があるんだよ。
獅子座はとても古くからある星座のひとつで、古代エジプトでは、太陽が獅子座の位置にあるときにナイル川が氾らんすることが知られていたのだ。
これでライオンと水が結びつくわけ。
ナイル川の氾らんは破壊ももたらすけど、同時に肥よくな土壌ももたらすものなので、ライオンにもこの二面性の性格が与えられることになったんだ。
なので、反映の象徴でもあって、大きな破壊力の象徴でもあって、畏敬される存在なのだ。

それと、ライオンといえばドアのノッカーになっていることもあるけど、これにも意味があるのだ。
「歴史」の中でヘロドトスさんが「ライオンは眠らない動物」ということを書いていて、ギリシアの大哲人のアリストテレスさんもこれを支持したので、長らく欧州では「ライオンは眠らない動物」と認識されてきたのだ。
なので、「寝ずの見張り」になって、ドアのノッカーになるわけ。
今ではライオンの映像はテレビでも見られるから、普段は寝てばっかりだってわかるけどね(笑)
ネコは「寝る子」だからネコっていう名前になったとも言われるくらいで、ネコの仲間は体力温存のためにもよく寝ていることが多いのだ。
おそわれるんじゃなくて、おそう方だからできる芸当なんだけどね。

ライオンと並んで欧州でよくモチーフに使われるのはドラゴン。
これは想像上の生物だけど、やっぱり貴族の紋章に使われたり、門柱に彫刻があったりするんだよね。
ドラゴンはヘビの不死性(ヘビは脱皮を繰り返すので、むかしの人は不死の生物と考えていたのだ。)がさらに誇張されたものと考えられていて、聖書に出てくるサタンはヘビとしても描かれるし、大いなる竜とも言われるよね。
北欧神話の英雄のジークフリードは全身にドラゴンの血を浴びて不死になるんだけど、唯一ドラゴンの血のつかなかった背中が弱点となるのだ。
で、このドラゴンは時代が下ると財宝を守護するものとも考えられるようになって、アーサー王伝説なんかでもドラゴン退治と財宝の発見がセットになってくるのだ。
この「不死」と「財宝」というので、家の繁栄を願って紋章に使われるようになるんだよね。
もともとはそんなに縁起がよいものでもないんだけど。

東洋だと「竜虎」だけど、西洋だとこうしてライオンとドラゴンとなるのだ。
ドラゴンと竜はもともとは違うものだけど、似ているよね。
(竜は暴風雨のシンボルと言われていて、姿は同じヘビをモチーフにしたから似ているけど、出自は異なるのだ。)
ライオンとトラも同じ大型のネコ科のほ乳類だし、けっこう共通点はあるものなのだ。

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