2007/06/04

たんたんたぬき

タヌキは、むかしから人里近くにも住んでいたので、日本人にとても親しまれてきた野生動物なのだ。
なのでよく民話とかにも登場するんだよね。
でも、必ずしもきちんとタヌキを識別できていたわけじゃなくて、姿・大きさの似ているアナグマやテン、ハクビシンなんかもいっしょくたに扱われていたっぽいんだよね。
それで方言なんかに混乱が見られるのだ。

タヌキの異称として、ムジナとかマミとかがあるけど、どれが何を指すのかは地方によってもまちまちで一定していないのだ。
一般には、ムジナはアナグマのこととされるけど、どうも後付けみたいなんだよね。
マミにいたっては、辞書で調べると、「タヌキ又はアナグマ」とか書いてあるんだよ!
なので、タヌキとかムジナとかマミっていうのは、人々のイメージの中でタヌキっぽい動物一般を指す言葉で、きちんと区別して使っていたわけではなさそうなんだよね。

タヌキは食肉目イヌ科の動物で、アナグマは同じ食肉目でもイタチ科で近くで見ると全然違うんだよね。
でも、タヌキはアナグマが使っていた穴を巣穴にしたりするので、余計に混同される結果となったのだ。
ハクビシンは食肉目ジャコウネコ科の動物で、長らく中国大陸からの帰化動物と考えられていたんだけど、よくよく調べてみると、タヌキやアナグマと区別されていなかっただけで、もとから日本にいたものかも、と考えられ始めているらしいのだ。
ハクビシンもやっぱりアナグマやタヌキが使った巣穴を使うんだって。
こうやって同じような行動ばかりするから間違われるんだよね、本人たちはそんなこと知ったこっちゃないだろうけど(笑)

俗にタヌキは「八畳敷」なんて言うけど、実際のタヌキの睾丸は体のサイズに比べて特別大きいわけではないのだ。
はく製を見れば一目瞭然。
これは、むかし金細工を作るときにタヌキの皮を使って延ばすと金がよく延びたので、そこからイメージがついたみたい。
一説には1匁(3.75g)の金が八畳程度の大きさまで延びるからとのこと。
さらに、福を呼ぶイメージが定着し、タヌキの置物がかざられるようになったらしいのだ。
で、大きな「袋」はそのときのおまけみたいなものみたいだよ。
「金がよく延びる」からデフォルメして大きくしたんだろうね。

キツネに比べるとおっとりした感じで親しみやすいけど、これはタヌキの動物としての性質によるみたい。
キツネはかなり俊敏な動物で、警戒心も強いんだけど、タヌキはどちらかというとどうもまぬけな感じなのだ。
「タヌキ寝入り」なんて言うけど、これは漁師の鉄砲の音に驚いてタヌキが気絶してしまうことから来たようで、漁師は仕留めたと思って捕まえるんだけど、実は気絶してただけなので、油断していると後で逃げてしまうのだ。
これが死んだふりと思われたわけだけど、ようは臆病で逃げることもできずに腰をぬかしているんだよね(笑)

タヌキの中には妖術で高名な(?)やつがいるのだ。
このへんはキツネや天狗といっしょなんだけど、それだけ妖怪としても庶民にも親しまれていたってことかな?
四国の八百八狸を従える隠神刑部(いぬがみぎょうぶ)、屋島の禿(はげ)、阿波狸合戦を制した金長大明神、佐渡からキツネを追い出した団三郎、芝居見物を好んだ淡路の芝右衛門などなど、有名な狸がたくさんいるんだよ。
どれもちょっとにくめない性格で描かれているのが特徴だね。
冷酷に描かれることの多いキツネやネコとは違うのだ。

これらの有名なタヌキたちも登場する、スタジオジブリの「平成狸合戦ぽんぽこ」にもあったけど、最近は山間部の開発が進んでいるので、タヌキは少なくなってきているんだって。
なんだかさびしい話だよね。
山が狭くなって、里に下りてくると、畑を荒らすので害獣とされたり、高速道路で車にはねられたりとさんざんだよ・・・。
愛らしい動物なので、なんとか自然を保護して生き残ってほしいよ。

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