カサの東西
今日はひさびさに本格的な雨だったのだ。
なぜか米国では大きなカサを持っている人は少なくて、ほとんどの人が折りたたみガサなんだよね。
しかも、日本のビニールガサのような便利なものもないので、フードをかぶっただけでぬれながら歩いている人もかなり多いのだ。
DCに来てかなり経つけど、実際にカサをささないといけないような雨は滅多にないから、それでもよいのかも。
日本の伝統的な和傘は中国から朝鮮半島経由で伝わった天蓋がもとになっていて、仏教の儀式用の道具として使われたのが最初だって。
それは衣笠と呼ばれるもので、雨を防ぐんじゃなくて日傘のように日光を防ぐんだよね。
もともとは高貴な人の日よけなのだ。
それが平安時代になると製紙技術が進歩して、竹細工の技術を取り入れて改良されていったんだって。
さらに室町時代になって油を塗った油紙が使われるようになって防水性が増し、いよいよ雨よけのためのカサになったのだ。
でも、当時は閉じることができないもので場所をとることもあって、庶民は(頭にかぶる)笠や蓑を雨よけの道具に使っていたんだよね。
江戸時代にはいると、フィリピンからろくろを使った開閉可能なカサが導入され、普及していったのだ。
すでに確立していたカサ職人グループがこの技術を日本のカサに取り入れ、元老時代には蛇の目傘や番傘が誕生したんだって。
カサに屋号を入れたりすることで宣伝にも使われ、店先で貸し出したりもしていたそうだよ。
時代劇では魯人中の侍がカサ張りの内職をしていたりするけど、それだけ需要があるほど庶民の間に普及したということなのだ。
農村部ではまだまだ笠や蓑も使われていたようだけど。
明治時代になって洋傘が入ってくると、その重さ、持ち運びの不便さから和傘は敬遠され、姿を消していってしまったのだ(いわゆる「こうもり」がどんどん普及していったんだよね。)。
なかなか風情があるから、ボクなんかは使ってみたいと思うときもあるんだけどね。
一方、洋傘ももとは天蓋で、偉い人の日よけから発達したのだ。
18世紀頃に英国で現在のような形状のカサが発明されたんだけど、英国は霧雨が多いこともあってぬれて歩く人が多かったんだよね。
しかも、カサをさすのは男らしくないとなかなか男性には普及しなかったのだ。
でも、徐々に普及していって、極限まで細く巻いたカサは英国紳士のシンボルにもなったのだ。
これは巻き直すのが大変だから、なかなかささないんだよね(笑)。
でも、当時の洋傘は材料費も加工費も高く、高級品だったようなのだ。
なので、庶民が易々と手に入れられるようなものではなかったそうだよ。
材料費が安くて庶民にも広まっていた和傘とは大違いなのだ。
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