2008/02/03

マメとネズミ

米国時間ではまだ2日だけど、日本ではもう節分だよね。
節分にはイワシの頭とヒイラギでできたかざりを玄関先にかざって、豆をまくのだ。
大きな神社やお寺では豆まき行事もあるよね。
ボクは去年たまたま湯島天神で豆まきをやっているのに出くわして、戦利品をゲットしたのだ。
うちの近所のスーパーでは大豆を売ってないので、今年の節分は豆なしだよ(>_<)

もともと節分というのは中国式の季節の区切りである立春、立夏、立秋、立冬の前日のことなのだ。
西洋では春分、夏至、秋分、冬至がそれぞれ春夏秋冬の始まりになるんだけど、中国では春夏秋冬の中心にあたると考えるんだよね。
なので、季節の変わり目として別に立春、立夏、立秋、立冬をもうけているのだ。
立春以降は徐々にあたたかくなって、立夏以降は暑くなっていって、立秋以降は涼しくなり、立冬以降は寒さが本格化する、という季節の変わり目なんだよ。
なので、その前日は「季節を分ける」で「節分」になるというわけなのだ。

節分というと2月3日と思うけど、実は立春の前日というのが定義なので、立春が2月4日からずれると節分もずれるのだ。
これまでに何度か2月3日じゃなかったことがあるみたい。
今では立春を含む二十四節気は太陽の黄道上の位置(つまり、公転軌道上の地球の位置)で決めているんだけど、その太陽黄経が315度の時が立春なのだ。
実際には315度になるのは一瞬なので、その315度になる瞬間を含む日を立春としているんだよ。
ちなみに、「夏も近づく八十八夜♪」の八十八はは立春から数えて88日目ということで、むかしは立春をひとつの季節の目安にもなっていたのだ。

かつては立春は年の初めとされていて、お正月を新春というのはその名残なのだ。
今年の旧正月は2月7日だけど、実際に旧暦の正月と立春は近いんだよね。
で、その前日である節分には邪気払いをする習慣があって、それが現在の節分行事につながっているんだって。
イワシの頭やヒイラギのは、豆はまさに邪気払いのためのもので、かつては大晦日だった節分に邪気を払う習慣が残っている結果なのだ。
今も大晦日に歳神を迎えて幸福を祈る習慣があるけど、年の最後の日は特別な日だったんだよね。
節分の行事は延喜式にも載っていて宮中行事として行われてきたのだ。
中国から伝わった年末の邪気払いの行事の「追儺」が下になっているんだ。

「追儺」の儀式では、4つの黄金色の目を持つお面をかぶった方相氏がお供を従えて宮中を練り歩いて邪気を払うのだ。
中国の「鬼」は日本で言うと幽霊みたいなもので、目に見えない邪気、霊みたいなものなんだよね(「魂」という概念に近いのだ。)。
なんだけど、いつの間にかその鬼を払っていた方相氏が払われる方の鬼のように扱われるようになって、いつの間にか鬼の格好をさせた人に石を投げつけて町から追い払う野蛮な行事になってしまうんだ。
見えない「鬼」を払うのじゃ実感がないので、目に見えて追い出している感が必要だったのかも。
で、いつしか石ではなくて代わりに豆を投げつける安全な行事になって、今に至るんだよ。

米国では2月2日に春を占う行事があって、それはグラウンドホッグ・デーというものなんだ。
ペンシルヴァニア州のパンクサートニーの町でのものが一番有名で、米国の東部とカナダではかなりメジャーなものなんだよ。
グラウンドホッグというのは大きなげっ歯類で、伝説では、2月2日に冬眠から目覚めるんだけど、その後巣穴から出て自分おかげを見てしまうと驚いて再び巣穴にもどってしまい、冬が後6週間続くんだって。
逆に影を見ることなくそのまま外に出ると、春はもうそこまで近づいているんだって。
つまり、その日が晴れだとまだ冬(=寒い日)が続いて、くもりや悪天候だと春がそこまで近づいていると言うことなのだ。
ちなみに、今年は晴れていたのでまだ冬が続くみたい。

この習慣は古代欧州とキリスト教の習慣が混ざって、それが移民によって米国に伝わってできたものと考えられているんだって。
冬眠から早く目覚めた動物が自分の影に驚いて巣穴にもどる、といいうのは欧州の古い言い伝えで、2月2日というのはケルト人のお祭りでもあるし、キリスト教でも聖母マリアのお清めの日になっているそうだよ。
米国ではドイツ系移民が始めたと言われていて、欧州ではハリネズミがメジャーらしいんだけど、米国にはいないので代わりにグラウンドホッグが使われたみたい。

パンクサートニーのグラウンドホッグはフィルという名前で、町で飼育されているそうなのだ(げっ歯類はそんなに長生きではないので襲名制度があるみたい。公式HPによると寿命を伸ばす秘薬を使っていて、毎年同じグラウンドホッグが占っていると言っているらしいけど。)。
本当は冬眠から目覚めさせて、ということなんだけど、今ではお祭りの日に公園の広場に連れて行って、小屋から出てきたフィルとともに代表者が予報を読み上げるんだって。
でも、日の出前から昼過ぎまでこのイベントをやっているそうで、しかも、かなりの人が集まるそうなのだ。
お祭りの実行委員会の人たちはなぜかタキシードにシルクハットなんだよ(笑)

でも、洋の東西を問わず、この節分の時期は春に関係したイベントが行われているっていうのはおもしろいよね。
実際に立春は冬至と春分の間なので、西洋では冬の折り返し点だし、東洋では春の始まりで、ともにこれから気温が上がっていくという時期なのだ。
なのでこういう行事があるのかもね。

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