2007/07/26

燃えろよ燃えろ

東京電力管内では新潟の原子力発電所が停止してしまって、電力不足の危機があるんだよね(新潟自体は東北電力の管内なんだけど・・・。)。
3年前の夏も福島の原子力発電所でトラブルがあって、電力危機になりそうだったんだけど、幸いその年はそんなに気温も上がらず、結果としては電力消費が伸びなかったのでなんとか間に合ったのだ。
今回はどうなんだろう?

で、現在検討されている方策は、他の電力会社からの融通と他の電源保有者からの電気の購入(製鉄会社とか石油会社とかガス会社が大きな発電所を持っていて、卸しで電気を売っているのだ。)、卸電力取引所の活用などなど。
それと、重要なのが東京電力が保有している火力発電所の最大活用なんだよね。
火力発電は燃費も高めだし、環境面への配慮もあって停止しているものが多いんだけど、それに再度火を入れようというわけ。
品川、川崎、横浜なんかにそういう火力発電所があるみたいだよ。

というわけで、今回は少し火力発電について調べてみたのだ。
火力発電は燃料でわけると大きく3つに分かれて、石炭、石油、ガスのそれぞれを燃料とするものだよ。
石炭と石油を燃料とする場合は汽力発電で、燃料を燃やした熱で水を水蒸気に換え、その水蒸気で蒸気タービンを回す発電方式なのだ。
原子力発電も同じように蒸気タービンを回すんだけど、熱源が核分裂反応のエネルギーというところが違うんだよね。
蒸気タービンは始動するまで(回転数が安定するまで)に少し時間がかかるので、立ち上がりが遅いんだよね(電気は周波数が決まっているので、きちんとした回転数に達しないと意味がないのだ!)。
さらに、石炭の場合はじわじわと、ゆっくりと燃えるので、立ち上がりもゆっくりだし、途中で出力変更も難しいのだ。
これは原子力発電も同じで細かな出力変更は困難と言われているんだ。
その点、石油は一度燃え出しちゃうと燃料を加える量を調節するだけで簡単に出力変更ができるんだよ。
なので、石炭火力や原子力はベース電源と呼ばれる常に稼働させておく電源として使われて、石油のような電源は調整電源とかピーク電源といわれて需要の増減にあわせて電気の出力の調整に使われることが多いのだ。

一方、ガス火力発電は少し方式が異なるのだ。
内燃力発電と呼ばれるもので、燃料の可燃性ガス(基本的には天然ガス)と圧縮空気を混ぜて爆発的に燃焼させて、そのときに出てくる高温高圧の排気ガスを通過させることでガスタービンを回すのだ。
飛行機のジェットエンジンなんかも同じ原理だよ。
熱エネルギーでなくて、爆発的な体積膨張のエネルギーを電気に変換するところが違うのだ。
気体は温度が高ければ高いほど体積が大きくなるので、ガスタービンの入口温度が高い方がタービンをたくさん回せるんだけど、実際はあまりに高温だとタービンの材料がもたずにとろけてしまうので、少し回り道をさせたりして冷却してから通すんだって。
なので、タービンの入口温度をいかに高くするかが効率化のカギで、そのための材料開発がさかんに行われているそうだよ。

さらに、ガスタービンを通した後の排気ガスもかなり高温なので(1,000度を超えるんだって。)、この熱を使ってさらに汽力発電を行うこともできるんだよね。
これがコンバインドサイクル発電というやつで、このおかげでガス火力は石炭火力や石油火力に比べてエネルギー変換効率が高く、環境にもやさしいと言われるのだ。
一般的にはこういう排熱利用でエネルギー効率を高める方法はコージェネレーションと言われるんだよね。
ちなみに、ゴミ焼却場の排熱を使った温水プールはコージェネレーションじゃないんだよ。
エネルギー産生の排熱を使うから、co(一緒)のgeneration(産生)なのであって、ゴミ焼却の場合はただの排熱利用なのだ。

ガス火力は、立ち上げは早くできるんだけど、石油火力ほどの柔軟な調整はできないのだ。
これは発電の原理から来るもので回避しようがないんだ。
なので、電源としては主に石炭火力と石油火力の中間的な立場で利用されていて、ミドル電源と呼ばれるのだ。
突然需要が高まって電気の供給量が大幅に不足するようなときにも使うとか(真夏に天気予報で気温が上がらないと言われていたのに一気に気温が上がったりすると、そういう事態が発生するのだ。)。
平日の場合、電気は通常昼間の使用量が多くて夜間に少なくなるんだけど、普段はそういうおおまかな変化の調節に使うみたい。
最近はエネルギー効率がよいのでもっとベース電源的に使うこともあるみたいだけど、なんと言っても石炭火力は発電コストが安いのが魅力で、逆にガス火力は一番発電コストが高いので、うまくバランスを考えないといけないのだ。
そうしないと電気料金が高くなっちゃうんだよね。

一口に火力発電と言ってもけっこう種類があるんだよね。
戦前は水主火従と言われて、水力発電がベースで、火力発電で調整をしていたんだけど、戦後になると水力発電だけじゃ間に合わなくなって、火力が増えてくるのだ。
で、水力と火力の立場が逆転するんだけど、さらにそこに原子力発電が登場するんだよね。
それでまた火力発電の使われ方が変わったのだ。
今回は、そんな火力発電が再び主力の電源として投入されようというもので、まだ原子力発電が主力じゃなかった時代にもどるようなものなんだよね。

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