2007/07/27

しぼう

「おまえはもう死んでいる」の「死亡」ではなくて、「脂肪」だよ。
今日、新聞を見ていたら、New England Journal of Medicineに掲載された論文の紹介がされていたのだ。
その論文では、30年にわたる追跡調査をしたところ、肥満の人と親しい人は肥満になるリスクが高くなる、という結論を出したものなのだ。
身近に太った人がいると、より肥満になることの抵抗がなくなるという心理的効果と考えているみたいだよ。

でも、米国って、肥満の人が増えていて、社会問題になっているんだよね。
大人から子どもまで肥満の人の割合が増えているんだって。
だとすると、今後加速度的に肥満になるリスクが高くなっていって、肥満の人がもっともっと増えていくのかも!
とか考えていたら、肥満のもとである「脂肪」のことが気になったので、少し調べたのだ。

いわゆる脂肪というのは隊なの脂肪組織に蓄えられたトリアシルグリセリドと呼ばれる物質で、血液検査で調べる中性脂肪がそれなのだ。
グリセロールの3つの水酸基にそれぞれ脂肪酸がエステル結合したもので、動物の場合は飽和脂肪酸がつくことが多いので融点が高く、常温でも固体の脂なのだ。
脂肪組織は肝臓や皮膚の下にあるんだけど、そのほかにも内臓のまわりにけっこうあるんだよね。
小腸のまわりにある腸間膜なんかにもけっこうあるのだ。
で、そこに脂肪がたまるわけだけど、度が過ぎると「肥満」という状態になるわけ。

皮下脂肪の場合は外から見て明らかに脂肪がついたのがわかるんだけど、肝臓や内臓のまわりについたものは外からではわかりづらいんだよね。
これが最近生活習慣病予防で話題になっている「かくれ肥満」というやつなのだ。
一般に男性は内臓脂肪がつきやすく、女性は皮下脂肪がつきやすいと言われているよ。
で、内臓脂肪は適度な有酸素運動をすることで燃焼させ安いんだけど、皮下脂肪は落としにくいとも言われているのだ。

アジア人は人種的に脂肪がつきやすい人種で、つまりは太りやすいのだ。
いわゆる人種は生活環境にそれぞれ適応していった結果なんだけど、どうもアジア人(モンゴロイド)は飢餓状態が長く続くような環境だったようで、エネルギーを貯蔵しやすい体質の人種としてできあがったようなのだ。
アザラシやホッキョクグマ、ペンギンなんかは寒さをしのぐために皮下脂肪をたくさんつけているけど、そういう気候の要素もあるのかな?
でも最近は欧米諸国の方が肥満の人の割合が増えてきているんだって。
これは完全に食生活の違いだろうけどね。
アジア人は脂肪はつきやすいけど、多くのアジア人は脂肪をため込むほど余分に栄養を摂取できていないというのが大きいと思うのだ(日本もアジアだけど、逆に言うと日本は例外的に恵まれているんだよね。)。

でも、実は脂肪は外から摂取しなくても体内で作られてしまうんだよね。
脂肪酸やコレステロールは一切口にしなくても、糖なんかを分解して材料にして作ることが可能なのだ。
でも、人の体の中で作れない種類の脂肪酸もあって、それが必須脂肪酸なんだよね。
必須脂肪酸は特定の位置に不飽和結合が入った脂肪酸のことで、オリーブオイルに多く含まれるオレイン酸やベニバナ油やコーン油に多く含まれるリノール酸なんかがそうなのだ。
植物にはこの必須脂肪酸を作る酵素があるので、光合成で作った糖をもとに作ることができるんだよ。
とは言え、外からはいる文を減らせば全体の量は減るので、必須脂肪酸はしっかり摂取した上で全体的に油を控えめにするのはよいことなのだ。

歴史的には、太っていることは「豊かさ」の象徴で、逆に好まれたことがあったんだよね。
日本でも「しもぶくれ」のおたふくみたいな顔が美人とされていたと言うし、欧州でもスリムよりは肉付きがよい方が好まれたのだ。
彫刻や絵画を見ても、今の基準からだとちょっとぽっちゃり系の女性が多いのはそういうわけ。
丸みがあるほうが女性らしいとみなされていたのだ。
アフリカでは今でも太った女性がもてたりするよね。
でも、「飽食」の時代となった現在は、逆にほうっておくと太るので、「やせている」ことが美的とされるように変わってきているのだ。
いずれの時代でも「苦労しないと手に入らない」体型がもてるということなのかも。

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