2007/11/24

薬屋

米国で最大の薬局チェーンのCVS/PharmacyはDCにもたくさんあって、薬局とはいいながらドラッグストアに近くて日用品やお菓子、飲み物も置いているのでボクもよく買い物に行くのだ。
でも、ここは薬局だけあって調剤業務もやっているんだよね。
日本でもマツモトキヨシは調剤をやっているけど、米国のドラッグストアは基本的に調剤はしないので、やっぱり薬局(pharmacy)で、これがCVSの大きな特徴なのだ。
で、CVSって24時間営業のお店があるんだよね。
そういうお店はやっぱり調剤業務は時間を限定しているのかな?
そうでないと24時間薬剤師さんを勤務させないといけないよね。

一方、日本のドラッグストアには2種類あって、薬局と薬店に分かれるのだ。
薬局は薬事法という法律に定められているもので、薬剤師さんがいて医師・歯科医師からの処方せんに基づいて調剤を行うお店なのだ。
医療機関以外で調剤を行うのが薬局だよ。
なので、処方せんがないと買えない医療用薬品を扱っているんだよね。
保険が使える薬局の場合は更に保険薬局と呼ばれるのだ。

もうひとつの薬店は薬事法上は一般販売業というやつで、いわゆる大衆薬(OTC:Over the Counter)の一般用医薬品を売っているお店。
一般用医薬品は処方せんがなくても買えるかぜ薬やうがい薬、ぬり薬なんかだよ。
でも、薬事法の規定では、一般販売業の薬店であっても、医薬品の管理を行う薬剤師さんを置かないといけないとしているのだ。
なので、けっきょく薬剤師さんを配置しないといけないんだけど、都道府県知事の許可を得た場合はその薬剤師さんの兼業も認められたりするので、そういうので対応していたりするのだ(悪質なものは「名義貸し」と呼ばれるんだけどね。)。

米国では国民皆保険制度をとっていないこともあって医療費がもともと高いのでそんなに薬を出さないし、医薬分業も進んでいるので、基本的に病院では診察しかしないのだ。
で、街の薬局に行って医師の処方せんに基づいて薬をもらうんだけど、そのときにより安価な後発医薬品(ジェネリック医薬品)なんかを選択することもできるのだ。
後発医薬品というのは、薬の有効成分に関する特許がきれた後に同じ成分を使って安く大量に作られる医薬品のことで、むかしは「ゾロ新」なんて呼ばれていたんだよね。
製造法を工夫することでコストを抑えたりすることができるし、特許使用料も発生しないので安く提供できるのだ。
最近は日本でも使われることが多くなっているよ。

で、日本の場合は厚生労働省はむかしから医薬分業を提唱しているんだけど、これがなかなかうまくいかないんだよね。
問題のひとつは病院の収入の大きな割合を薬品が占めていることで、悪い言葉では「薬漬け」なんて言われたけど、何かあればすぐ検査して薬を出す、というようなことでもしないとなかなか病院経営は黒字にならないのも事実なのだ。
で、厚生労働省は医薬分業を進めるために保険点数の見直しなんかをしているんだけど、あんまり進まないんだよね(>_<)
もうひとつの原因は、調剤をする薬局には医薬品を常に常備しておく義務があって、基本的には調剤を断れないのだ。
で、実際に医薬分業が進むと、今度は薬局の方がいろんな医薬品を常に備えておかないといけないからつらいというわけ。
調剤業務による収入はあるけど、医薬品のデッドストックによる損失が大きくなるリスクがあるのだ。

でも、医薬分業のメリットはかかりつけの薬局を作れることなんだ。
病院で調剤してもらうと、別の病院にかかっているときにそこでどんな薬が出されているかの情報がわからないことが多いんだよね。
でも、医薬分業で薬は必ずかかりつけの薬局でもらうようにすると、その薬局で薬の情報が一元化されるのだ。
薬の中には一緒に飲むとまずいもの(飲み合わせの悪いもの)なんかがあるので、そこでそういう事故が防げるというわけ。
今でもお薬手帳なんかで服用している薬の情報をまとめる取組は行われているけど、気軽に相談できるかかりつけの薬局があればなおよい、というコンセプトなんだ。
ま、たしかに理想的ではあるんだけど、そのためにはまだまだハードルが高そうなのだ。

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