2007/11/03

ほうき星とながれ星

この前はオリオン座流星群が極大を迎えていて話題になったけど、今はホームズ彗星という彗星がアウトバーストという現象で大増光して話題になっているのだ。
流星は地球の近傍にあるチリが地球の重力に引き寄せられて地上に落下して来るんだけど、大気圏を通過するときに摩擦熱によって燃えるものなのだ。
一方、彗星は太陽の重力に引き寄せられて運動しているもので、太陽系の一因なのだ。
去年は冥王星が惑星から転落して大きな議論になったけど、そのときにできた整理で、彗星は小惑星なんかとともに「太陽系小天体(Small Solar System Bodies)」というカテゴリーになったのだ。

この彗星は氷とチリでできていて、氷の中に有機物や岩石質のものが混ざっていると考えられているのだ。
で、よく汚れた雪玉にたとえられるんだよね(笑)
これまで、ハレー彗星は大きな国際協力で宇宙機を使って探査されているんだけど(日本は「さきがけ」と「すいせい」で参加しているよ。)、その他にも、米国や欧州は彗星の探査をしていて、米国のスターダスト計画では彗星から資料を採取して見事2006年に彗星のチリの入ったカプセルが地球に帰還したのだ。
そんな彗星探査の結果と望遠鏡で観察した結果でこれはほぼ事実だと考えられているのだ。
実際に試料採取ができれば完全に証明できるので、それだけ期待が集まるのだ。

太陽から遠い位置にあるとほぼただの氷なのでまず観測できないんだけど、太陽に近づくと(3天文単位くらい、ちょうど火星と木星の間の小惑星帯のあたりらしいよ。)氷が蒸発してガスが吹き出したりチリが燃えたりして見えるようになるのだ。
氷の表面はかなり真っ黒らしいんだけど(太陽に近づいたときにチリが燃えてそのときに黒くなると考えられているみたい。)、ガスが噴出すると光を反射するようになり、チリが燃えると発光するようになるので、それで光って見えるようになるのだ。
で、このガスやチリは太陽風の影響を受けるので、太陽と反対側に流されるんだよね。
これが彗星の尾になるというわけ。

周期的にやってくる彗星は楕円軌道や超楕円軌道で数年から数百年以上かけて太陽のまわりを周回しているのだ。
でも、実は彗星の軌道は二次曲線で、放物線や双曲線の軌道のものもあるんだって。
こういう彗星は一度太陽に近づいたら二度ともどってこないので、非周期彗星と呼ばれるそうだよ。
とは言え、超楕円軌道の彗星の場合は数百年後でないと再接近しないから非周期の彗星に近いのだ。

彗星は古代日本では「ほうき星」なんて言われて、どちらかというと不吉な象徴だったんだよね。
ハレー彗星もそのむかしは地上の空気を持ち去るなんて噂が流れて、空気を確保するためにタイヤのチューブなんかを用意する人までいたらしいのだ(ドラえもんにこの話は出てくるよ。)。
彗星の場合は多くが暗くて普段は肉眼では見えないんだけど、突然明るくなって見え始めることが多いので、そういう風に思われたのかもね。
流れ星は願いをかなえてくれるというのとは大違いなのだ。
この増光はアウトバーストという現象で、彗星から出てきたガスやチリが彗星のまわりに集まって、それがさらに太陽の光を反射してよりガスやチリの噴出が促進される現象なんだって。
たまに条件がそろうとそういうことが起こるらしいのだ。
今回のホームズ彗星もそれで大増光して肉眼で観測できるようになっているそうだよ。

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