クジラの脂
日本でクジラの脂というと、真っ先に思い浮かぶのはクジラのベーコンだよね(笑)
クジラのベーコンは下あごから腹にかけての畝須(うねす)と呼ばれる部分や、皮の下の皮須(かわす)と呼ばれる部分を塩水につけ、その後に燻製にしたものなのだ。
今では効果になっているけど、むかしは歌肉のベーコンよりはるかに安かったので、庶民の大事な食材だったのだ。
一方、米国でクジラの脂といえばやっぱり鯨油。
黒船が江戸時代に日本にやって来たのも、捕鯨船の給油地点を確保することが目的のひとつだったんだよね。
鯨油は脂皮(クジラ類に特有の皮の下の厚い脂肪層のことだよ。)や骨から搾り取った油脂で、ランプなどの明かりの燃料にしたり、せっけんやグリセリンの原料にしたりして使ったのだ。
その後には食用油や化粧品にも使われるようになったんだって。
石油も19世紀には使われていたけど、まだまだメジャーではなくて、暖炉や窯に使うのは石炭や薪、ランプには鯨油を多く使っていたのだ。
こうして捕鯨が盛んになって、乱獲された結果、捕鯨規制につながるんだよね。
鯨油はシロナガスクジラなどのヒゲクジラとマッコウクジラなどのハクジラではちょっと種類が違うようで、もにヒゲクジラをとっていたみたい。
世界最大のほ乳類でもあるシロナガスクジラはあまりにも大きかったので長い捕鯨の歴史の中でずっと捕鯨の対象にはならなかったんだけど、技術が発展して大型の捕鯨船ができるようになると捕鯨の対象になり、鯨油が最も多くとれるという理由で乱獲されてしまうのだ。
それで現在はかなり数が減少してしまったんだよね。
ノルウェー、アイスランド、日本、アラスカやカナダのイヌイット(エスキモー)なんかはむかしから捕鯨をしているんだけど、それは主な目的は食用なので、乱獲することはなかったのだ。
しかも、他の文化は大きく違うけど、こうした伝統的な捕鯨国はクジラを捕ると隅から隅まで使うんだよね。
※日本は江戸時代に大きな船を造ることを幕府が禁じたので、近海で小型のクジラを捕獲するか、死んで海岸に流れ着いたクジラを食べていたのだ。
日本ではクジラは捨てるところがない、と言うけど、これは他の国でも同じなのだ。
なので、国際捕鯨委員会(IWC)なんかではこの点でよく対立があるんだよね。
鯨油のためだけにクジラを乱獲して絶滅の危機に追い込んだ欧米諸国がクジラを保護しなくちゃいけないって手のひらを返したように言い始め、これまでクジラを大事な資源として扱ってきた国に制限をかけようとするんだからもめて当たり前なのかもしれないけど。
何はともあれ、クジラを人間の都合で絶滅させるのはよくないけど、資源として適切に考えて、有効活用することは大事だと思うのだ。
日本のクジラ料理は伝統・文化として残していきたいし、何より、世界にほこる伝統芸能の文楽人形はクジラのヒゲがないと動かせないのだ!
クジラだけを保護してもかえって生態系に悪影響を与える可能性もあるから、中長期的にしっかりと調査研究をして、今後クジラをどう扱うべきかを考えていくことが大事なんだろうね。
こういうときは感情論は捨てて、冷静に考えるべきと思うのだ。
ども捕鯨問題は別の観点が大きく影響しているように見えて仕方がないんだよね・・・。
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