2007/12/11

静かなる刺客

米国も冬が近づきかなり乾燥してきたので、「例のやつ」がふたたび現れるようになったのだ。
それは静電気。
乾燥度合いが半端じゃないので、日本にいたときと比べてバチバチ度が段違いだよ!
これからは気をつけないと、手が痛いだけじゃなくてパソコンなどの精密機械にも影響があるかもしれないのだ。

この静電気といわれるのは正確にはたまった静電気が火花とともに放電する現象のことなのだ。
誘電体(絶縁体)同士がこすれて摩擦が生じると、そのときに電子のやりとりが起こって、表面に正や負の電荷がたまるんだよね。
これが静電気の正体で、雲の中の粒子同士の摩擦による静電気は雷のもとなのだ。
表面にたまる電荷の正負はこすれ合う誘電体の関係で決まって、より電子をためやすいものが負に帯電するんだよ。
特に化学繊維や羊毛などは静電気をためやすい性質で、皮膚との摩擦や他の服との摩擦で簡単に静電気がたまるのだ。
で、一定程度の静電気がたまったところで金属のような電気をよく流す性質のものにさわろうとすると、指先などから火花を伴う放電現象が起こって、バチっとなるわけなのだ。
これは自分の指先から電気が放電されているのであって、指が外から刺激を受けるわけじゃないんだよね。

電位差(電圧)が高いとやけどの後が残るくらいになるので、けっこうおそろしいものなのだ。
ドアノブや窓のサッシ、電気のスイッチなんかが危険なんだけど、そういうときは鍵などの金属製のものでまずドアノブなどに触れて電気を逃がしてやるとバチっと放電しないのだ。
最近では静電気を逃がすグッズなんかもあるし、静電気の帯電を防止するようなスプレーなんかもあるよね。
静電気がたまりづらい服というのもあって、ガソリンスタンドの制服なんかがまさにそういう素材なんだよ。
さすがにガソリンスタンドでバチっといったらしゃれにならないからね。

ガソリンスタンドだけじゃなくて、火薬や爆発物を扱う場所、ICや半導体などの精密機械・部品を扱う場所でも静電気は大敵なので、防止する工夫が撮られているのだ。
腰から鎖を地面まで垂れ下げてアースにしたり、静電気のたまりにくい導電性の高い素材の靴や服を身につけたりするのだ(金属が織り込んであったりするのだ。)。
入室する際もまず金属板に触れて静電気を逃がしてから入る、なんて工夫もされているんだよね。
さすがにに日常生活ではなかなかマネできないけど、静電気を逃がしてからものにさわるようにする、というのは参考になる方法なのだ。

静電気の存在自体は紀元前600年ころにタレスさんがすでに発見していて、その後もずっと研究されているんだけど、まだわからないことが多いみたい。
これだけ電磁気学が進んでいるように見えても、日常的な静電気の問題にもまだ未解明なところが残っているというのはなかなかおもしろいのだ。
実は、こういうところの問題の方が深遠な問題を含んでいるのかもね。
とりあえず有効な静電気防止技術はいろいろと考案されているのでよいのだけど。

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