適正温度を保て!
寒くなってくるとついついあたたかいものがほしくなるよね。
でも、寒ければ寒いほどすぐに冷めてしまうのだ。
そんなときに活躍するのが魔法瓶。
最近ではマグカップ型のものもあって、数時間はコーヒーをあたたかいままにしておけるのだ。
お弁当を暖かいままに保温する魔法瓶弁当箱なんてのもあって、よく建設現場や道路工事のおじさんたちが持っているのを見かけるよね。
この魔法瓶は冷たいものは冷たいままに、あたたかいものはあたたかいままに保温する機能を持つものなんだよ。
熱の伝達や放射を抑制することにより一定の温度に保つようになっているのだ。
基本的には内層と外層からなる二重構造になっていて、その間は真空に近い極低圧状態なっているんだ。
さらに、内層の内側は鏡面になっているんだよね。
魔法瓶の中をのぞくと鏡面になっているのがよくわかるよ。
冷めたり、ぬるくなったりするのは熱伝導によって外界と熱交換をしてしまうことによって起こるんだけど、内層と外層の間に真空があると、熱が非常に伝わりにくくなるので、この熱伝導をかなりおさえることができるのだ。
でも、実際には内層と外層を完全に分離することは構造的にできなくて、どうしても内層と外層をくっつけておく支持体がいるので、そこを通して熱伝導は起こってしまうんだよね。
さらに、完全な真空は再現できないので、多少は熱伝導が起こるのだ。
なので、ずっと同じ温度に保つことはできなくて、時間が経てば冷めたり、ぬるくなったりしてしまうんだよね。
さらに、内層の内側の鏡面はあたたかいものが冷めるのを遅くさせる効果があるのだ。
まわりより温度の高い(=熱エネルギーを多く持っている)物体は熱を赤外線の形で放射してだんだんと冷めていくんだけど、鏡面はこの赤外線を反射するので、ものが冷めにくくなるのだ。
さすがに100%反射することはできず、ある程度は熱を吸収してしまうんだけど、それでもけっこう効果があるんだよね。
空がくもっていると放射冷却が弱まるのと同じような原理なのだ(放射冷却の場合は赤外線の形で放射された熱が雲に吸収されたり、雲に反射されたりすることで地球外に逃げにくくなるので、熱がこもることになるのだ。)。
最近は火を使わずにとろ火料理ができる、なんていう鍋もあるけど、あれも構造的には魔法瓶と同じで、内層と外層の間の真空層や内側の鏡面によって熱が逃げにくくなっているので、加熱し続けなくても一定の温度が長時間保てるようになっているんだ。
とろ火料理の場合はぐつぐつと煮立てるよりも、むしろ沸騰しないくらいの火加減でじっくり煮ることが大事だったりするので、まさにうってつけというわけ。
しかも、基本的にはものに味がしみこむのは冷めていくときなので(2日目のおでんやカレーがおいしい、と言われるのはこのためだよ。)、じっくりと時間をかけて冷めていくこの調理器の場合はぐつぐつと煮るよりも味がしみこみやすいんだよ。
ちなみに、普通の魔法瓶でも、お湯と生卵を入れておいて温泉卵を作る、なんて使い方もできるのだ。
最近では節電タイプで魔法瓶の原理を使って保温するようなポットもあるよね。
これから地球温暖化を防ぐためにも省エネ技術は必要になってくるけど、そういう身近なところから省エネできるというのはなかなかよいことだと思うのだ。
これからはもっと魔法瓶の活躍の場が広がるのかもね。
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