2007/12/28

みかんは食べるだけじゃないよ

いわゆる日本のみかんの温州みかんは米国でもフロリダなんかで栽培されていて、サツマ・オレンジとして売られているのだ。
小型のオレンジのタンジェリンなんかはかなり近縁で似たような感じなんだけど、やっぱりオレンジとみかんは風味なんかが違うんだよねぇ。
で、ついつい売っているとみかんを購入してしまうのだ。
ちなみに、フロリダには既に明治時代に苗木が送られていて、そこから栽培が始まっているとか!

みかんは食べてもおいしいし、ビタミンCをたくさん含んでいるので、風邪の予防にもよいと言われているんだよね。
むかしは温室栽培なんかもないから、冬にビタミンCが摂取できるさつまいもやみかんは貴重だったはずなのだ。
でも、みかんはそれだけじゃなく、皮も利用できるんだよね。
みかんの皮を乾燥させたのが漢方薬(生薬)の陳皮で、健胃薬、鎮咳薬なんかに使われるんだよ。
これには薬用成分の効能だけじゃなく、独特の香り成分も大きく貢献しているんだよね。
七味唐辛子にも入っているのだ。

で、この陳皮の香りの主成分はリモネンというテルペノイドのひとつの単環式モノテルペンの一種なのだ。
テルペノイドというのは生体内で作られる物質で(植物や昆虫、菌類が作るのだ。)、イソプレンという炭素が5個つながった物質を単位にして、つなげたようなものなのだ(これは生合成の経路による特徴なんだよ。)。
もともとは精油の中から見つかった、イソプレンが2つつながった炭素10個の物質の一群に与えられた名称だったんだけど、同じようにイソプレンを複数つなげて作られる一連の物質が後から見つかったので、まとめてテルペノイドと呼ばれるようになったみたい。
このテルペノイドには様々な効能を持つ物質があるんだけど、リモネンはその中でも有名なもののひとつなんだよね。

柑橘類独特のシトラス臭がいわゆるリモネンの香りで、荒涼として使われることもあるくらい。
シトラス風味の中性洗剤の香料にはこのリモネンが使われていることが多いんだよ。
このリモネンは揮発性でかつ引火性もある物質で、さらに、発泡スチロールなどの樹脂をよく溶かすことで知られているのだ。
天然成分で比較的安全と言うことで発泡スチロールの溶剤に使われてもいるんだよ。
このリモネンはプラスチックも溶かすので、みかんの皮をしぼると出てくるオレンジ色の油のついたてでプラスチック製のメガネのレンズをさわるとそのレンズはダメになってしまうことがあるのだ!
子どもなんかはよくみかんの皮をしぼって油を飛ばして目つぶしに使ったりするけど、メガネをかけている人に当たると、そのメガネがダメになることもあるので注意が必要なのだ。
でも、この油の積極的な使い方もあって、なかなか落ちない油性マジックの汚れなんかはみかんの皮でこすると油性インクがリモネンで溶けてきれいに落ちたりするんだよね。

リモネンには引火性もあるので、ライターの火にみかんの皮をしぼると青い炎になるのだ。
これはリモネンが燃えているからだよ。
リモネンは揮発性なんだけど、みかんの皮の中では小さな袋の中に入って閉じこめられているので、そのままでは揮発していかないのだ。
なので、乾燥させて陳皮の状態にして残っていて、それが陳皮の香り成分となるわけ。
乾燥した陳皮も燃やすとちょっと青い炎が出るんだよ。

それから、この時期のみかんの活用法といったらなんと言ってもあぶり出し。
みかんを搾った汁で字や絵を描くとあぶり出しになるのだ。
実はちょっと色がついているので完全に見えないわけじゃないんだけど(笑)
このあぶり出しは軽くライターの火であぶってあげると茶色くなって字や絵が浮き出るのだ。
みかんを食べたらひとふさ残しておいてあぶり出しに使って、皮は油性マジックのシミを消すのに使ったり、乾燥させて陳皮にしたりすればまさにいろんな用途に使えるんだよね。
なかなかあなどれない果物なのだ。

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