師走の輪
日本では年末の時期に飾られる輪と言えば、年越しの祓えの茅の輪なのだ。
神社に行くとたいてい茅の輪が置いてあって、右回りで何回くぐって、左回りで何回くぐって、っていう説明がしてあるよね。
これはその年の「けがれ」を除き去って、清らかな空で新年を迎えるためのものなのだ。
で、これに対して欧米で12月に飾られる輪と言えばクリスマス・リース。
日本ではクリスマスツリーだけを飾って、電飾でさらにきらびやかにすることもあるけど、まだまだリースまで飾っている家は少ないよね。
でも、米国に来てみると、ほとんどの家のドアにクリスマス・リースが飾ってあるんだよね。
日本の正月のしめ縄飾りや門松と同じようなものなのかもね。
日本ではこういう古式由来の風習は廃れつつあって残念だけど。
リース自体はローマ帝国時代までさかのぼるもので、もともとは飾るんじゃなくて祭事の際の冠として身につけられるものだったんだって。
女性はリースを身につけ、男性は冠を身につけたらしいよ。
よくローマ時代の象徴で出てくる月桂樹の冠などもリースのおおもとみたい。
で、古代ローマには葬儀用の飾りとして石棺リースを入れる風習もあったようで、そこから飾りとしての役割も出てきているようだよ。
で、時代が下るとともにかぶられるものから飾られるものに変遷してきて、花や葉で作った輪状の飾りを指すようになったのだ。
リース自体はお墓や祈念碑なんかにも飾られるし、結婚式などの祝祭時にも飾りで使われるのだ。
で、これがクリスマス・リースになると、一般に常緑樹で作って、そこに松ぼっくりや赤いリボンをつけるんだよね。
常緑樹で作るのは繁栄の象徴で、寒い冬でも緑を保つ常緑樹の生命力の強さで揺るぎない繁栄を表しているのだ。
日本のヒイラギとは実は種類が違うセイヨウヒイラギはこの時期に赤い実(holly berry)をつけるので、それが飾られることも多いんだよね。
日本の節分の飾りのヒイラギは魔除けだけど、欧米のセイヨウヒイラギは常緑樹としての繁栄の象徴なのだ。
この時期に実をつけるというのもポイントが高いのかもね。
でも、「縁起がよい」ということで選ばれている天では洋の東西を問わず発想は同じなんだけど。
西洋では降臨節(Advent)というキリストの降誕を待つという行事がこの時期にあるんだけど、このときにろうそくを4本用意し、1日経つごとにろうそくに火をともしていくという風習があるらしいのだ。
これはドイツで始まった風習といわれているらしいけど、このときに常緑樹で作った輪にろうそくを立てるアドベント・リースというのを作るそうで(これはろうそくを立てるので寝かして使うんだよ。)、どうもこれもクリスマス・リースと関係ありそうなんだよね。
祭事にリースを飾るという風習から発生しているんだろうけど、ひとつはもうひとつのアドベントのろうそくの風習と結びついて寝かせて使われるようになり、もうひとつは従来の祝祭時の飾りとして普通に飾られるようになっているようなのだ。
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