2007/12/18

タイガー・ボックス

そろそろ忘年会の時期だよね。
この時期には街で酔っぱらいをよく見かけるけど、むかしのように千鳥足でふらふらしている人は見かけないし、ましてや、酔いつぶれて道に倒れている人なんてまず見かけなくなったのだ。
お酒自体の消費量は増えているようだけど、飲み方が変わってきて、酔いつぶれるまで飲むことが少なくなったんだろうね。

この流れを受けて、警視庁では「トラ箱」を廃止することにしたらしいのだ。
トラ箱というのは泥酔者保護所のことで、全国でも警視庁のみが設置していて泥酔者保護専用の施設だったんだって。
麻布や六本木に近い鳥居坂と、浅草・吉原に近い日本堤に設置されてから、三鷹と早稲田にも設置され、4ヶ所あるそうだよ。
各警察署にも泥酔者などを保護する保護室というのがあるんだけど、かつては忘年会の時期ともなるとすぐにその保護室は埋まってしまったので、専用の施設が必要だったそうなのだ。
でも、最近はさっぱり使われなくなったので、各警察署の保護室だけで十分だろうと言うことで廃止されるわけ。
最盛期は年間で1万3千人も保護していたらしいけど、1日あたり数十人も保護していたことになるよね。

で、酔っぱらいのことを「トラ」、手に負えないような酔っぱらいを「大トラ」ということから「トラ箱」と呼ばれるようになったんだよね。
酔っぱらいを「トラ」と呼ぶのは、公家言葉でお酒のことを「ささ」と言うので、それとの取り合わせで「トラ」と呼ぶようになったとか。
暴れるところなんかもなかなか言い得て妙だよね(笑)
「ささ」はもともと女房詞(にょうぼうことば)と言われていて、「さけ」の最初の時を重ねて言った、とか、中国でお酒のことを「竹葉」と言うからとか、いろいろ説があるみたい。

酔っぱらいの足下がおぼつかない歩き方を千鳥足と言うけど、これはチドリが歩いている姿が無目的にふらふらしているように見えるからなんだとか。
もともとは砂地の上にいる虫を捕らえるときに、一見無関係な動きをしていると見せかけて油断させ、急襲するという高等テクニックなんだそうだよ。
まさに酔拳、Drunk Monkeyの世界なのだ!
酔っぱらって顔が赤い人は「猩々(しょうじょう)」と呼ばれるんだよね。
猩々は伝説上のヒヒだけど、顔が真っ赤なのでそう呼ばれるのだ。
お酒を好む性質があるというのも決め手なんだよね。

いずれにせよ、日本はこういう言葉遊びが好きなんだよね。
今では意味がわからなくなってしまったことも多いけど、こういうセンスはいいと思うんだよね。
トラ箱はなくなってしまうけど、文化としてのこういう言葉遊びは残していきたいものなのだ。

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