2008/01/06

グラタンじゃないんだよ

米国のドラマを見ていたら、大きなグラタンのようなおいしそうな料理が出てきたのだ。
それはミートローフと並んで米国の家庭料理の代表格であるキャセロール。
見た目も、おそらく味も、グラタンにそっくりなんだけど、米国発祥のオーブンを使った料理なんだよ。

もともとキャセロールは容器の名前で、オーブンや暖炉に入れてそのまま調理できる耐熱容器なのだ(欧州のものはキャセロール・ディッシュと呼ばれるのだ。)。
ほうろうのものや陶器のもののほかに、最近では耐熱ガラスのものもあるし、アルミの使い捨てのものもあるよね。
もともとフランスでは狩猟で獲ってきた獲物や家禽類と野菜と一緒にとろ火で煮込んだ料理をキャセロールと呼んでいて、これは容器のままテーブルに運んでいたかららしいのだ。
野菜のみのものもあるらしいけど、肉と野菜をとろ火で煮たシチューが本来のキャセロールだったわけ。

でも、米国のキャセロールは、野菜や肉、魚などをクリーム系の濃厚なソースと一緒にオーブンで焼いた料理で、よくショート・パスタやじゃがいもが入るし、上にチーズやパン粉をかけるので、まさしく見た目がグラタンそっくりなんだよね。
でも、ホワイト・ソース系のものだけでなく、トマト・クリームソース系などバリエーションもあるし、具もいろんな肉や野菜が使われるみたい。
とにかくまぜてオーブンで焼けばできあがり、という簡便さが重要なんだよね。
ミートローフもそうだけど、大量に簡単にできることが米国の家庭料理では重要なのだ(笑)

米国でキャセロールが浸透した背景としては、安価な耐熱容器が開発されたことと、冷蔵庫の残り物の肉や野菜で作れることこと、それと、スープの缶詰のキャンベル社が自前でクリームソースを作らずに濃厚なスープ缶詰を代用するレシピを広めたからなのだ。
なので、冷蔵庫にあるものとキャンベル社のクリーム系の濃厚なスープ缶さえあれば、あとは耐熱容器に入れてオーブンで焼くだけ、という簡便さなのだ。
第一次世界大戦の時代に節約が奨励されて一部の食品が配給制になるとかなり広まったようなのだ。
その後に来る世界恐慌もこれに拍車をかけ、簡単に安価に作れるキャセロールは米国の家庭料理として不動の地位を築くことになったみたい。
今でもパーティなんかで持ち寄る料理によく使われるんだって。

キャセロールはグラタンと違って大きな容器で作って取り分けるんだよね。
熱々のできたてを食べるのがおいしいんだろうけど、パーティなんかで出てくるのは冷めたものだよ(下から固形燃料で温めている場合もあるけどね。)。
でも、これが冷めてもそれなりにおいしいような味付けになっていて、そこも少しグラタンと違うのかも。
米国のパーティでグラタン風のものを食べたとしても、実はそれはキャセロールかもしれないので注意が必要なのだ(笑)

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