2008/01/16

赤いダイヤ

正月15日は小正月だけど、この日には一部の地方で小豆がゆを食べる風習があるのだ。
古くから小豆は神聖なもの、邪気を払うものと信じられていて、きっとそういう意味が込められているんだよね(小豆洗いや小豆はかりなどの妖怪も、もともとは小豆が神に捧げる神聖なマメだったことに由来しているとも言われているよ。)。
中国でも「幸運を呼ぶマメ」として縁起がいいものとして扱われているんだって。
やっぱりあの赤い色がいいのかな?

小豆はアジア原産のマメで、日本でも古くから食べられているのだ。
実際に高天原を追放された素戔嗚尊(スサノオノミコト)が大宜都比売(オオゲツヒメ)を殺すと、その死体から稲、麦、粟、大豆、小豆、蚕が生まれたなんて話が古事記にあるよね。
これが日本書紀になると月読命(ツクヨミノミコト)が保食神(ウケモチノカミ)を殺した話になっているのだ。
少なくとも奈良時代以前からすでにメジャーなマメとして認識されていたということだよね。

小豆はあんこに使うイメージが強いけど、なかなか栄養学的にも優れていて、タンパク質を多く含み、亜鉛などのミネラルも豊富で、薬膳でも欠かせないような食材なんだって。
赤い皮には目にいいと言われるアントシアニンも含まれているのだ。
で、この赤い色素は赤飯の赤さのもとなんだよね。
もともとは赤米という赤い色をしたお米を炊いたものが文字通りの赤飯だったんだけど、それが時代が下るとお米に小豆を混ぜて蒸し上げて赤くするものに変わったのだ。
赤い色が邪気を払うと信じられていたのと、小豆自体が神聖なものと考えられていたのが合わさったのかもね。
今でもおめでたい席には欠かせないけど、ボクなんかは単純に赤飯の味自体が好きだったりするのだ。

でも、関東の赤飯に入っているのは小豆ではなくてササゲ(大角豆)であることが多いんだよね。
このササゲはアフリカ原産のマメなんだけど、小豆のように赤く、でも少し小ぶりで小さいのだ。
日本には平安時代にはすでに入ってきていたようで、やっぱり長い間親しまれてきたみたい。
小豆の場合は煮たり蒸したりするとすぐに皮が破けてしまうんだけど、「切腹」につながるとして武士はこれを嫌って、赤飯をササゲで作るようになったらしいのだ。
それで江戸を中心にササゲの赤飯が広まったわけ。
ちなみに、ササゲは赤いものばかりでなく、白や紫の斑点のあるものもあるそうだよ。

小豆で忘れてはいけないのは「赤いダイヤ」という別名。
小豆は生産量が天候に左右されやすく、価格が乱高下するそうで、先物取引でも大きく値が動くそうなのだ。
その小豆相場をテーマにした作品が「赤いダイヤ」なのだ。
ドラマにもなっていて(1964年製作)、かなり当時は話題になったらしいよ。
ボクなんかは「赤いダイヤ」というタイトルしか知らないけど。
それでも「赤いダイヤ」というのは耳に残っているから、それほど社会に影響力のあるものだたんだろうね。
小豆は古代からついこの間までそれだけ重要なマメだったのだ(笑)

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