2008/01/20

特殊な奴ら

日本語の動詞は基本的にウ段で終わるんだけど、古文にはこえに例外があって、イ段で終わるのがあるんだよね。
それがラ行変格活用をする4つの動詞、「あり」、「おり」、「はべり」、「いまそかり」なのだ!
「あり」は現在の「ある」、「はべり」は「あり」の丁寧語、「いまそかり」は「あり」の尊敬語なんだけど、「おり」は必ずしも現在の「おる」の意味だけじゃないのだ。

「おり(居り)」にはもともとじっとそのままの状態でいる、という意味があったみたいなんだけど、主に座っている場合に使われるのだ。
居酒屋、居間、居眠り、居座り、居待ち月(18日目の月)なんかの「居」はまさにこの「おり」で、「すわっている」という状態を表しているのだ。
現在の「おる」だと「いる」という存在だけの意味が強くて、そのままでは意味が通らないのだ。
居酒屋はやっぱり座ってなくちゃいけないし、居間も普段すわっているところなのだ(英語でもsitting roomと言うんだよね。)。
すわったまま寝てしまうのが居眠り。
満月の後に月の出るのが送れるのにあわせて、十六夜の後に立ったまま月を待つのが立待ち月、もう少し遅くなるのですわって待つのが居待ち月、さらに遅くなって横になって待つのが臥待ち月、もっともっと遅くなって寝ながら待つのが寝待ち月で、「居」が「いる」というだけの意味だとこの月を待つ流れが不可解になるんだよね。
言わば「逆ギレ」を意味する「居直り」も、もともとは「すわり直して姿勢を正す」ことを意味していて、そこから態度を大きく変えるということを意味するようになったのだ。

そう考えると、この「居」という接頭辞はなかなか感慨深いものがあるのだ。
たった一語加わるだけだけど、状況をよく説明しているものなんだよね。
英語なんかを勉強するときに、接頭辞や接尾辞を覚えると単語力に幅が出るなんて言うけど、これは日本語も同じなのかもしれないね。
そういう目で日本語を見てみるのもなかなかおもしろいのだ。

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