2007/08/04

軍手

米国に来てからもよく道に軍手が落ちているのを見かけるんだよね。
たぶんこっちでは「軍手」という認識はなくて作業用の手袋ということなんだけど、ま、平たく言えば「軍手」だよね(笑)
で、そんなことを考えていたら、そもそも「軍手」って何だ?、と疑問に思ったので、調べてみたのだ。

軍手はそのまま軍用手袋の略で、旧日本軍の兵士が使っていたのでこの名前があるんだって。
今では左右の区別のない作業用手袋を一般的に軍手と呼ぶそうなのだ。
ただし、ゴムの滑り止めがついているやつはゴムのある面とない面で左右の区別ができてしまっているんだけどね。
何より丈夫で安価なことが特徴なのだ。
同じ素材と製法で作る、足先の指が分かれた靴下の「軍足」というのもあるよ。
これは軍手からのアナロジーで名付けられただけで、軍で使われていたわけではないのだ。

軍手の起こりは江戸時代末期までさかのぼって、もともとは鉄砲隊の使う手袋だったとか。
当時は高価な鉄砲に手のあかがつくとさびやすくなったので、手袋をはめたそうなのだ。
幕府が大がかりな軍隊を整備してからは需要は伸びて、それは明治政府になっても引き継がれたみたい。
今はメリヤス編みだけど、当時は白い布手袋一般を軍手と呼んだみたいだよ。
第二次世界大戦のことになると、鉄砲の表面の処理技術は発達したので防さびという目的は薄れるんだけど、逆に作業用手袋として今のように使われ始めたとか。

でも、このころの軍手は布をはり合わせて縫い上げる手間のかかる製法で作っていたので、大量生産には向かないし、なにより安価ではなかったのだ。
戦後もしばらくはそんなむかしながらの製法で作っていたんだけど、1950年代になって指の部分が縫える半自動機織機が開発され、一気に大量生産体制が確立されたみたい。
1970年代までには全自動で縫い目なく手袋を編み上げる機械ができたので、安価な作業用手袋として普及していったんだって。

最初はメリヤス編みだったんだけど、後に化学繊維やリサイクルの綿布なんかも材料に使われはじめてバリエーションも増えたみたい。
化学繊維の軍手はメリヤスに比べてさらに安くできるので、価格は暴落したのだ。
でも、熱いものを扱う場合は化学繊維だと溶けてしまうから、メリヤスの方が優れていて、ガラスや金属の加工ではまだまだメリヤスの軍手が使われるのだ。
最近はゴムの滑り止めがついたものもあるよね。
ボクは滑り止めがない方が使いやすいような気がするけど。

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